「テストのケアレスミスがとても多い…」こんな発達障害ADHDキッズに悩んでいませんか?今回は、発達障害ADHDタイプのお子さまが、テストでケアレスミスをしてしまう原因と効果的な3つの対策をご紹介します。
【目次】
1.「テストのケアレスミスが多い…」発達障害ADHDキッズに悩んでいませんか?
2.なぜ発達障害ADHDタイプは問題をよく読まないの?
◆自己コントロールが苦手
◆ワーキングメモリが少ない
◆「見る力」が弱い
3.テストのケアレスミスに効果抜群!!発達障害ADHDタイプの3つの対策
◆大事な部分に印を付けさせる
◆見直しの習慣をつける
◆好きなことを使って「見る力」を発達させる
1.「テストのケアレスミスが多い…」発達障害ADHDキッズに悩んでいませんか?
普段から不注意な様子や衝動的な行動が目立つ注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの子ども。
テストのときに
・「当てはまらないものを選べ」と言う問題で「あてはまるもの」を選んでいる
・「3つ選びなさい」と言う問題で1つしか選んでいない
・答えは合っているのに解答欄を間違えている
こんな風に勉強面でもケアレスミスが多いことに悩んでいませんか?
特にADHDタイプの場合は「問題をよく読まないで解き始めてしまう」と言う行動が勉強面でのミスにつながっていることも多いですよね。
実はこの「問題をよく読まないで解き始めてしまう」と言う行動には脳の特性が大きく関係しており、学習障害が原因の場合もあります。
そのため「もっと気をつけて問題を読みなさい!」と言う声かけでは残念ながらケアレスミスを減らすことはできないのです。
そこで今回は、発達障害ADHDタイプに効果的なテストのケアレスミス対策を紹介します。
2.なぜ発達障害ADHDタイプは問題をよく読まないの?
どうして発達障害ADHDタイプの子どもは勉強するときに、問題をよく読まずに解き始めてしまう傾向があるのでしょうか?
ここでは主な原因をお話しします。
◆自己コントロールが苦手
発達障害ADHDタイプは、自己に対してブレーキをかけることが苦手です。
これは脳の前頭前野という部分の働きが弱いことが関係しており、ここがうまく働かないと我慢したり集中することが苦手になります。そのために
・忘れ物をする
・早とちりをしてしまう
・行き当たりばったりで動いてしまう
など日常生活の中で不注意な様子や衝動的な行動が目立つようになるのです。
それが勉強面にも影響して、問題をよく読まないで回答してしまうためケアレスミスが増えてしまうんですね。
◆ワーキングメモリが少ない
ワーキングメモリとは、一時的に覚えておいた情報を使って考える働きのことです。ワーキングメモリが弱い子どもは問題文を見たときに、文章に圧倒されて考えることをやめてしまう傾向があります。
発達障害ADHDタイプの子どもは、ワーキングメモリが弱い傾向があります。そのため一時的に情報を記憶することは問題なくても、その情報を使って考えるところでつまずいてしまう場合が多いのです。
また、ワーキングメモリが弱いと見通しや目的を持って行動したり、自分の行動を振り返ることが苦手になります。
そのために見直しをきちんとすることができず、ケアレスミスに気づかないのです。
◆「見る力」が弱い
ADHDタイプの子どもは物を見るとき、パッとしか見ないことが多く、じっとよく見ることが苦手です。
実はこれには脳の「見る力」がきちんと発達していないことが大きく関係しています。
脳の「見る力」の発達には3段階あり、
①パッと見ることができる
②じっと見ることができる
③見た情報をもとに状況を理解することができる
という順で発達していきます。
ところが発達障害ADHDタイプの子どもは、まだ「①パッと見ることができる」という段階までしか脳が発達していない場合が多くあります。そのために
・テストの問題をきちんと読む(②じっと見ることができる)
・問題の内容を正しく理解して解く(③見た情報をもとに状況を理解することができる)
ということができないんです。さらに「見る力」が弱いと
・たくさんの情報の中から必要な情報を探し出すことができない
・視線を狙い通りに動かすことができない
などの苦手も出てきます。
そのために、問題文を読んで必要な情報を選び取ることができない、問題を読み飛ばしてしまう、などといったことが起こってくるのです。
以上のように発達障害ADHDタイプの「問題をきちんと読まない」には脳の特性が大きく関係しています。だからこそ、ケアレスミス対策では適切な勉強のサポートをしてあげることがとても大事なんです。
3.テストのケアレスミスに効果抜群!!発達障害ADHDタイプの3つの対策
では、発達障害ADHDタイプのケアレスミス対策で必要なこととはなんでしょうか?ここでは効果的な勉強サポート法を3つ紹介します。
◆大事な部分に印を付けさせる
先ほどお伝えしたように、発達障害ADHDタイプの子どもは情報に圧倒されて考えることをやめてしまう傾向があります。
つまり、テストで問題をきちんと読ませるためには子どもに情報の整理の仕方を教えてあげる必要があるのです。
「大事な部分に○をつけようね」では発達障害の子どもはどうすればいいのか分かりません。
「出てきた数字に○をつけてね」
「何を答えるのか書いてある部分に○をつけてね」
など、どの情報に注目すればいいのかを具体的にきちんと教えてあげることが必要です。
そして子どもが○をつけられたら、「ちゃんと見つけられたね!」としっかり褒めてあげてくださいね。
◆見直しの習慣をつける
テストのケアレスミスをなくすためには、やはり見直しの習慣をつけることが大事です。
ADHDタイプはせっかちな傾向があり、正確にこなすことよりも早く終わらせることに重点を置きがちです。
さらにADHDタイプに限らず、発達障害の子どもは、
・自閉症スペクトラム(ASD)タイプはこだわりが強いことから自分の間違いを受け入れることができない
・学習障害(LD)タイプは読み書きが苦手で、そもそも自分の間違いに気づくことができない
など自分で間違いを見つけることが難しい傾向があります。
ですから、見直しの習慣をつけるためにはやる気を引き出す工夫が必要です。
「赤ペン先生、確認をお願いします!」
「間違いを見つけられたら1ポイントだよ!」
などと、子どもが前向きに間違いを探せるような声かけをしてあげましょう。
◆好きなことを使って「見る力」を発達させる
先ほどお話ししたように、ADHDタイプの「問題をよく読まないで回答してしまう」という行動には脳の発達が未熟であることが関係しています。
つまりテストのケアレスミス対策を考える上では、「見る力」を発達させて「じっと見る」ことができるようにしてあげることが必要なんです。
「見る力」を発達させるために必要なのは好きなことを使ってじっとみる経験をたくさんさせることです。
ここでは勉強にこだわらず、図鑑でも、漫画でも、ゲームの攻略本でも子どもの好きなものならなんでも構いません。
例えば子どもが図鑑を読んでいたら「何が書いてあるの?」と声をかけてみます。発達障害ADHDタイプの子どもは基本的におしゃべりが好きなのでお母さんが興味を示せばどんどん話してくれると思います。
それに対して「お母さん、知らなかったよ!」「そうなんだ!細かいところまでよく読めてるね!」などと褒めてあげてください。すると子どもに自信がつき、「もっとよく読んでみよう!」とさらに情報をインプットしようとし始めるのです。
読んだ内容を話すことで脳はさらに発達していきます。お母さんは積極的に興味を持ってあげてくださいね。
勉強の苦手に対処する場合、私たちは「もっと勉強をさせないと!」と考えがちですが、それでは子どもの苦手意識を強くしてしまうだけです。こうやって好きなことを使った方が脳の発達には効果があるんですよ。
いかがでしたか?
テストのケアレスミスを防ぐために必要なサポートは
・大事な部分に印を付けさせる
・見直しの習慣をつける
・好きなことを使って「見る力」を発達させる
ことの3つです。
勉強のケアレスミス対策を行うことは、大人になって仕事をこなすときに役に立つ能力を身につけることにもつながります。
お母さんの適切なサポートで発達障害ADHDタイプのテストのケアレスミスを減らしてあげてくださいね!
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執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)