発達障害・グレーゾーンの低学年の子は学校が始まると少しずつ戸惑うことも出てきます。学校生活に馴染めるか心配な子どもが、楽しく学校に通えるようにお家でできるSSTのワークを小児科医の私が作りました。無料教材なので気楽に取り組んでみてください。 |
【目次】
1.発達障害・グレーゾーンの子にとってのソーシャルスキルとは?
2.小学校生活を楽しむために必要なソーシャルスキル
◆小学校1年生に必要なのは「基本的なコミュニケーションスキル」
◆小学校2−3年生に必要なのは「仲間スキル」
3.ソーシャルスキルトレーニングのプリントを無料ダウンロードしてみよう!
◆トレーニング前に、親子のコミュニケーションを円滑にしておこう
◆どうやってやったらいいの?
◆さらに応用させるには?
1.発達障害・グレーゾーンの子にとってのソーシャルスキルとは?
ソーシャルスキルとは、人や社会とうまく関わっていくために必要なスキル。
あいさつをする、自分の気持ちを伝える、上手に断る、イライラや怒りを解消するなど、さまざまなものがあります。
発達障害・グレーゾーンの子どもは、その特性からソーシャルスキルが育ちにくい背景があります。
ソーシャルスキルの弱さは、そのまま集団生活への苦手感として現れる場合が多いので、集団生活を経験するとき、とたんに不適応を起こしてしまうお子さんがいるのです。
では、どんなスキルがあったら困らないで済むのか?楽しく小学校生活を送れるのか?次の項でご紹介していきます。
2.小学校生活を楽しむために必要なソーシャルスキル
◆小学校1年生に必要なのは「基本的なコミュニケーションスキル」
小学校入学は、お子さんにとって大きな変化です。 新しい場所、先生、友達、生活リズムなど、生活のほとんどが一変し、たくさんの想定外がある中で、適応することを求められるのが小学校1年生。
しかし、発達凸凹を持つお子さんは、集団生活での成功体験が足りなかったり、状況判断がうまくできないことがあります。
その結果、求められるようにふるまうことができずに、悪い注目を集めてしまったり、失敗体験を重ねることで自信を無くしてしまうことがあるんです。
また、やる気を持続させることも大切。そのためには、新しい環境での「できた実感」「できる楽しさ」を積んでいくことが必要です。
「学校って楽しいところだな」と思いながら過ごせることが、1年生の目標といってもよいでしょう。
そのため、小学校1年生では、学校生活を楽しく送るためのソーシャルスキルを身に着けたいのですが、基本的なチカラは「見る」「聞く」「話す」になります。
つまりコミュニケーションのチカラです。
さらに、小学1年生では、クラスの仲間と力を合わせて一つのことを成し遂げていく経験も増えてきます。
それに必要な仲間スキルの第一歩として、人の気持ちを理解することや、自分の役割を最後までやり遂げるチカラも必要です。
これらを育てるトレーニングを、あらかじめお母さんとやっておくことで、小学校での時間が過ごしやすいものになっていくんです。
◆小学校2−3年生に必要なのは「仲間スキル」
小学2~3年生では、集団生活があたりまえになってきます。
そのため、発達凸凹を持つお子さんは、この時期の困りごとの大部分がソーシャルスキルの弱さによるものだと言われています。
この時期には学校生活にも慣れ、活動の範囲や友達とのかかわりが増えますが、集団行動が多くなることで、友達とのトラブルが増える時期でもあります。
例えば、「一緒に遊びたいのにうまく仲間に入れない」というお悩み。 どうやって仲間に入っていいのかがわからず、友達の遊びを妨害したり、気づいてもらおうと周りをうろうろする、などの行動をとってしまうお子さんはいませんか?
また、「自分でできないことを人に頼むことができない」というお悩み。
これは、自分のことは自分で完璧にやり遂げるべきだ、というこだわりを持っている、相手が言わなくてもやってくれると思っている、人に頼むとあいつはできないやつだと思われるのが不安、などの理由から起こるのです。
さらにこの頃の子どもは、自分と他人の違いを感じ始めますので、「どうして自分は他の友達のようにうまくできないんだろう」という悩みも出てきます。
そんな小学校2~3年生に必要なのはずばり「仲間スキル」。仲間に入れてもらう・質問をして会話のキャッチボールをする・あたたかい言葉がけをするなど、仲間関係を始める・維持するためのスキルが必要になります。
また、自分の気持ちをコントロールすることも必要になる時期です。自分の気持ちを知り、それを言葉に表す練習をすることが、気持ちのコントロールにつながっていくのです。
3.ソーシャルスキルトレーニングのプリントを無料ダウンロードしてみよう!
小学校低学年で必要なソーシャルスキルが分かったら、どんどん育てたい!でも、ソーシャルスキルってどうやって育てたらいいの?と悩んじゃいますよね。
そんな親子にピッタリのソーシャルスキルトレーニング(SST)教材を、パステル総研が作っちゃいました。
今回の教材のポイントは、「おうちで」「お母さんとできる」教材だということ。 SSTを紹介する書籍は多くありますが、おうちでできる教材ってほとんどないんです。
無料でダウンロードできますので、ぜひこの機会に利用してみてください。
この教材を使うにはいくつかポイントがあります。
◆トレーニング前に、親子のコミュニケーションを円滑にしておこう
おうちSSTは、お母さんと子どもの1対1のコミュニケーションをベースにして行います。
ですので、親子のコミュニケーションがスムーズでなければ、効果はないばかりか、お子さんが自信をなくしてしまったり、適切でないスキルを身につけてしまうこともあります。
まずは、発達科学コミュニケーションで紹介している方法をうまく使って、親子関係を良好にすることから始めましょう。
また、お子さんが悩んでいるときには、そこにお子さんのソーシャルスキルの課題が隠れていることが多いもの。
ピンチはチャンスと言うように、悩んでいるときこそそれを解決してあげたいのはやまやまですが、お子さんの悩みが深い場合、うまくいかなかったことを指摘されるのが嫌な場合は無理に進めないようにしてあげてください。
ソーシャルスキルには正解はありません。「こういうときにはこうやるべき」というお母さんの考えや常識を押し付けず、お子さん本人に合った、無理のない対応を目指しましょう。
◆どうやってやったらいいの?
この教材では、通常専門施設などで行われるSSTを、おうちで、お母さんと一緒に楽しんでできるようにアレンジしています。
お母さんは、お子さんに必要と思われるSSTを選んでやってみましょう。各教材にソーシャルスキルチェックシートをつけていますので、参考にしてください。
成功体験を重ねるために、いまできている得意なスキルから練習するのもいいですし、できているところはとばしても大丈夫です。
試しに「子どものお手並み拝見!」というつもりでやってみると、案外お子さんの課題が見つかることもありますよ。
教材には、それぞれのSSTの目標・注意点が書いてあります。できないところばかりを指摘するしつけ的なトレーニングはNG。お母さんのさじ加減で、必ず成功で終われるように誘導してあげてください。
SSTでは、練習したスキルをどんどん生活の中で使っていくことがポイントです。日常生活での会話も、少し丁寧にすることでSSTになりますので、親子のコミュニケーションを利用してどんどん上達させていきましょう。
ロールプレイにはそれぞれワークシートを付けています。お子さんとSSTをやってみて気づいたこと・気になったこと・できるようになったことを記録に残してみましょう。何度か繰り返すうちに、お子さんの成長を見つけることができますね。
◆さらに応用させるには?
SST教材のロールプレイでは、場面をいくつか設定していますが、お子さんが実際に困ったこと、失敗した状況を再現して練習することもできます。お母さんと一緒に答え合わせをすることができますし、より定着しやすくなりますね。
ただ、失敗体験はネガティブな記憶につながりやすいので、お子さんが嫌がる場合は、あらかじめ準備した架空のシチュエーションで練習するようにしましょう。
また、練習したスキルを日常生活で使えときに、「これこの前一緒に練習したよね、上手にできたね」、という声かけをするのも効果的です。
おうちSSTは、あくまでも「本番前のリハーサル」という位置づけ。前にお母さんといっしょにやったやつだ、とお子さんが思うことで、さらに安心感を感じることができますね。
慣れてくると、お子さんの習慣や特性に合わせて、お母さんがトレーニングをアレンジできるようになってくると思います。どんどんアレンジして、お子さんに合ったおうちSSTに進化させていってくださいね。
教材の使い方について動画で学べます。
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おうちSSTが成功するコツは「うちの子!すごい!」って思えることなんです。
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執筆者:森博子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)