【お悩み相談室】発達障害・ADHD傾向の息子の字が汚いので困っています。きれいな字が書ける方法はあるでしょうか?

発達障害・ADHD傾向の小学2年生の息子がいます。息子の字がとても汚いです。「きれいに書かないと読めないよ」と言っても、なかなかうまく書けません。どうしたらきれいな字が書けるようになるでしょうか?

 

7歳・男の子のお母さん

発達障害・ADHD傾向の子どもは字が汚い子が多いようです。私の小学生の息子も字が汚くて、「きれいに書きなさい!」と怒ってばかりでした。同じように悩んでいた私が実践した声掛けの工夫と、お家でできるトレーニング方法についてお伝えしますね。

 

発達科学コミュニケーション
トレーナー 石井花保里

 

【目次】

 

1.字が汚い発達障害・ADHD傾向の子どもVSノートを消すお母さん

 
 
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向のお子さんは字が汚い子が多いですね。
 
 
小学生になると宿題を提出しないといけません。先生が見ると思うと、きれいに書いてほしいと思うのが親心ですね。
 
 
我が家の息子も字の汚いことがとても気になっていました。
 
 
・何と書いているのか読めない
・大きさがバラバラ
・斜めになっている
・枠やマス目からはみ出す
・漢字のとめ、はねができていない…など
 
 
読むこともできないくらい字が汚いので、ついつい注意ばかりしていました。
 
 
ノートを消しては書き直させる、直らないのでまた消す、その繰り返しの日々です。
 
 
連絡帳には何と書いているのかわからなく、本人も自分が書いた字が読めないし、覚えていないので困ることも多々ありました。
 
 
繰り返し怒られるので、息子もだんだんと字に対する苦手意識が高まっていたようです。
 
 
親としてはノートの字はきれいに書くものだと思っているので、相談者さんのお気持ちはよくわかります。
 
 
けれど、子どもの字が汚いことでイライラするお母さんの悩みは、ちょっとした工夫で解決できます。
 
 
 
 
もうノートを何度も消さなくてもいいのです。
 
 
その方法についてお話ししていきますね。
 
 
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2.怒らないでOK!字が汚い理由は脳にあったのです

 
 
発達障害・ADHD傾向の子どもの字が汚い理由は脳にあります。
 
 
実は字を書く作業はとても複雑なのです。
 
 
「目で見ながら、字を書く」ため、脳の2つの部分を使っています。
 
 
1つは視覚系、もう1つは運動系です。書く作業は視覚と運動の協調によってできます。
 
 
まずは、視覚系のお話です。
 
 
文字を書くには正しい文字を見たり、マス目を見る必要があります。
 
 
しかし、発達障害・ADHD傾向の子どもは視覚機能が十分に発達していないのです。
 
 
じーっと見れる脳ではないので、じーっと見ることが苦手、パッと見て、パッと判断するので、文字の模倣が苦手です。
 
 
そして、細かい部分に注意を向けることも苦手なので、漢字の線の数を間違えたり、点を打ち間違えたりすることもあります。
 
 
次に運動系のお話です。
 
 
発達障害・ADHD傾向の子どもは細かい作業が苦手です。手先の不器用さがあるからです。
 
 
手先の不器用さのせいで、文字を枠に収めることができずマス目からはみ出てしまいます。
 
 
漢字のとめやはらいなど、文字の細部も書きづらいのです。
 
 
最後に、このタイプのお子さんは集中力も長く続きませんね。
 
 
集中力が途切れやすいので、始めは綺麗に書いていても、だんだんと集中が途切れていくにつれて、最後の方は汚なく読めない字になっていきます。
 
 
息子も、じっくり見るのが苦手なため、漢字の練習をしているとどうしても線を一本多く書いてしまうことがありました。
 
 
例えば「書」くの漢字でつまずいていました。
 
 
横線の数が多すぎて、書いている途中でわからなくなるのです。
 
 
「もうわからない」とよく言っていました。
 
 
そして、不器用さがあったので、バランスよく書けず、下の「日」が枠の中に書けなくなりはみ出ててしまうのです。
 
 
1年生のうちはマス目が大きいので、まだなんとかなります。
 
 
2年生になり学年があがると、マス目も小さくなり、マス目に収まらずはみ出しが増えていきました。
 
 
けれど、字が汚い、枠に収まらないのは脳に原因があるのならば、いくらガミガミ怒っても仕方がないことに気づきました。
 
 
 
 
そして、私は怒るのをやめて別の方法でサポートすることを考えました。
 
 
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3.たったこれだけ、字がきれいに書けるポイントを紹介!

 
 
もうお母さんはお子さんのノートを見て怒らなくて大丈夫です。
 
 
私が実践したのは、字を書くときに声掛けを変えたこと、そして日常生活であるトレーニングをはじめたことです。
 
 
その2つについてご紹介します。
 
 

◆①魔法の声掛け

 
 
まずは、お子さんの字をじっくり見てください。
 
 
汚い字ばかり気になっていたと思いますが、きれいに書けている字もあると思います。
 
 
お母さんは汚い字を注意するのではなく、きれいに書けている字に注目をします。
 
 
そして、子どもにその字を指さしてしっかり褒めます
 
 
「この字はきれいに書けているね」
 
「枠からはみ出さずに書けているね」
 
「正しく書けているね」
 
などできている部分に注目して褒めます。
 
 
すると、いつも怒られていた子どもは、「あれ?怒られない」「できているんだ!」と自信につながっていきます。
 
 
息子に対して、「この字きれいに書けているね」と何度も伝えるようにすると、文字への苦手意識がなくなりました。
 
 
自信がつくと字を書くことに必死だった息子は、だんだんと文字をきれいに書くことにも集中するようになってきました。
 
 
字に対する苦手意識を失くすことが、字をきれいに書くことにつながってきたのです。
 
 
また視覚の発達がゆっくりで、複雑な漢字がわかりにくく、何度書いても正しく書けない場合は工夫が必要です。
 
 
覚えたい漢字を大きく書き、へんやつくりのパーツに分けて書いてあげる工夫をします。
 
 
そうすると、細部まで注意を払うことができるようになります。
 
 
息子も「書」の字を上と下の部分にわけ、大きく書いてあげました。
 
 
しっかりと線がみえるようになり正しい数の線で書けました。
 
 
そして、初めは大きい枠で練習します。
 
 
そうすることで、小さい枠になってもバランスよく収めて書けるようになったのです。
 
 

◆②日常生活マル秘トレーニング

 
 
日常生活でできる、視覚と運動トレーニングをご紹介します。
 
 
それはずばり、お掃除です!
 
 
お風呂掃除、トイレ掃除、玄関履き、掃除機などは目と手の両方を使いながら行う動きがおすすめです。
 
 
これらをすることで、字を書くトレーニングになります。息子には毎日お風呂と玄関掃きをしてもらっています。
 
 
お風呂掃除では、視覚を発達させるため、
 
「スプレーをまんべんなくかけてね」
「隅っこもよーく見てね」
 
と声を掛けます。
 
 
また、
 
「端から端までしっかりこすってね」
「上の方もじょうずにこすれてるよ」
 
視覚と運動の連動を意識して声を掛けます。
 
 
玄関の掃除は
 
「ごみがどこにあるかな?」
「サッシはどうやってはいたらごみが取れるかな」
 
と細かい動きができるように工夫して声掛けをします。
 
 
毎日のお風呂と玄関のお掃除のお陰で、視覚と運動のトレーニングができました。
 
 
今では以前と比べると、字が汚いことは気にならない程度になりました。
 
 
 
 
いかがでしたか?
 
 
ポイントは
 
 
・きれいに書けているところを褒める
・難しい漢字はパーツごとに大きく書いてあげる
・掃除で目と手のトレーニングをする
 
の3つです。
 
 
息子は今でもとてもきれいな字を書けるというわけではありません。
 
 
けれども、怒って消して書き直すことはありません。
 
 
息子も怒られないので苦手意識が失くなり、自信がついたことで、少しずつきれいに書く意識が芽生えてきました。
 
 
お母さん自信も字をきれいに書かないといけないというイメージを緩め、多少文字が汚いのはOKとしましょう。
 
 
お母さんのイライラを失くし、良いところをしっかり褒め、親子で楽しい学習の時間になることを願っています。
 
 
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執筆者:石井花保里
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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