小学生の息子が漢字が覚えられないので困っています。息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生なのですが、漢字が苦手で、何回書いてもなかなかが覚えられないのです。小学生にオススメの漢字の勉強法を教えてください。
8歳・男の子のママ
漢字がなかなか覚えられない我が子に悩むお母さんは多いですよね。実は脳の特性を理解して適切なサポートをしてあげれば、小学生の漢字学習がスムーズになるんですよ!
発達科学コミュニケーション
トレーナー 森あや
【目次】
1.衝撃の事実!書けば書くほど漢字が覚えられない!?
2.発達障害の小学生が漢字学習が苦手な原因とは?
◆見る力が弱い
◆情報処理が苦手
3.漢字が覚えられない小学生に効く勉強方法とは?
①読み方を確認する
②イメージをつかむ
③分解する
④思い出す練習をする
1.衝撃の事実!書けば書くほど漢字が覚えられない!?
小学生の学習でつまずきがちな「漢字学習」。
「漢字が苦手だから何回も書かせているけれど、全然覚えられない!」と悩むお母さんも多いですよね。
我が家の息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生です。
注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向があるため、
・興味のないことにはなかなかやる気を出せない
・単調な作業をこなしたり丁寧に取り組むことが苦手
という特性があります。
幼稚園のときには園の平仮名教室に通っていましたが、
・何回も同じ字を書くことに飽きてくる
・見本通りに正確に書くことを要求され、書き直しが多いことでやる気をなくす
と言う理由で1年で辞めてしまいました。
小学生になれば毎日漢字の宿題が出されますし、テストも頻繁にありますよね。
ですから、サポート方法で悩むご相談者さんのお気持ちはよく分かります。
漢字が読めないと文章が読むことができないので、いろいろな教科でつまずく可能性があります。
また学年が上がると「合格するまでテストを受けさせられる」と言うケースも多く、漢字が覚えられないことで子どもが自信を失ってしまうこともあります。
だからこそ、お母さんは「なんとかして漢字を覚えさせないと!」と反復練習をさせようとしがちですよね。
しかし、実はこの「何回も何回も書かせること」こそが小学生の子どもが漢字を覚えられない原因なんです!
子どもたちが漢字を書くときには、
・手本をよく見て書く
・マスに収まるように書く
・間違えたら消しゴムできれいに消す
・同じ漢字を何回も書く
など、様々な能力が必要とされています。これらは全て発達障害の子どもが苦手とする力です。
特に学習障害があると、字を書くことが極端に苦手なケースが多くあります。
そのため子どもは「書く」という作業をこなすことで精一杯になってしまい、覚えるところまでたどり着けないんです。
頑張ってもうまく書けない、覚えることもできない、周りの大人からは「もっと練習しなさい!」と言われる…
こんなふうに失敗経験を積み重ねることで、子どもの漢字に対する苦手意識はどんどん強くなってしまいます。
さらに漢字学習は1年生からの積み重ねです。学年が上がるにつれて習う漢字はどんどん難しくなります。
ですから、低学年のうちに子どもに合った効率的な学習方法を見つけ、「覚えられた!」という成功体験をしっかり積んでおくことが必要なんです。
そこで今回は、漢字が覚えられない発達障害の子どもにオススメの勉強法をお伝えします。
2.発達障害の漢字学習の苦手の原因とは?
まずここでは、漢字学習の苦手に関係する発達障害の脳の特性について見ていきます。
今回は代表的なものを2つ紹介していきますね。
◆見る力が弱い
1つ目は、見る力が弱いことです。
ここで言う「見る力」と言うのは視力のことではなく、目から情報をきちんとインプットする力のことです。
特に漢字学習に関係しているのは「視空間認知」と言って、ものの形や空間的な位置を正確に把握する能力です。
漢字というのは、いろいろなパーツが組み合わさってできていますよね。
ですからまずは、「見本をよく見てどの部品がどこにあるのかを認識する」ということが必要になるわけです。
ところが、発達障害の子どもは「見る力」が弱いため、漢字の構成を正確に把握することが難しくなってしまうのです。
◆情報処理が苦手
2つ目は情報処理が苦手なことです。
私たちの脳には「ワーキングメモリ」と言って情報を一時的に記憶し、その情報を使って考えたり活動を行うという働きがあります。
漢字を覚えるときには、
・それぞれのパーツを覚える
・さらにそのパーツがどこに位置するのかを覚える
というプロセスがあります。そのため、情報処理が苦手な発達障害の子どもは覚える情報だらけで頭がパンクしてしまうのです。
つまり、漢字が覚えられない子どもに対応するときには
・ものの形や位置を正確に把握することが苦手
・新しく覚えることだらけだと頭がパンクしてしまう
という2点を理解しておくことが必要なんですよ。
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3.漢字が覚えられない小学生に効く勉強方法とは?
さて、皆さんは小学生のお子さんに漢字を覚えさせるときに、いきなり書かせていませんか?
実は「とりあえず書く」というのは、漢字が苦手な子どもにはやってはいけない勉強方法なんです。
大事なことはいかに書く回数を少なくして、漢字を効率的に覚えるかということ。
そこで今回は漢字が覚えられない子どもに効果的な4つのステップを紹介します。
◆①読み方を確認する
まず最初にやってほしいことは、読み方を確認することです。
最初にお伝えしたように、「漢字を書く」ということは発達障害の子どもにとって多くのつまずきポイントが隠れています。
さらに、読めない漢字を覚えるというのはかなり難易度が高いですよね。
ですから、まずはハードルを下げ「読む」ことから始めて、「文字」と「音」をしっかり結びつけてほしいんです。
◆②イメージをつかむ
2つ目にやることは、漢字のイメージをつかむことです。ここで必要なのは、漢字の成り立ちを使うことです。
漢字の成り立ちを教材にすることで
・漢字をイラストと結びつけることで大まかな輪郭をつかむことができる
・漢字の意味が理解しやすい
などの利点があります。
発達障害の子どもは見る力や情報処理能力が弱いため、まずは大雑把に漢字を覚えることはとても大事です。
さらに人間の脳は、ポジティブな感情やエピソードを関連付けることで記憶が定着しやすい、という特性があります。
「『室』は建物の絵が元になっているんだね」
「『走』は人が両手を振って走っている姿からできたんだね」
などと成り立ちを説明すると、「漢字はただの記号ではなく意味のある形である」と理解することができ、ぐっと記憶しやすくなります。
親子で楽しく会話をしながら取り組んでくださいね。
また、子どもの好きな題材を使って例文を作ると、自分の生活と漢字の結びつきを強く感じることができ、記憶に残りやすくなります。
題材はポケモン、漫画など子どもの好きなものならなんでもOK!ちなみに我が家の息子はぞうが大好きなので
「ぞうに『羽』が『生』えて、『高』くとんでいった」
「『黄色』と『黒』のぞうが『走』っていった」
などと例文を作って一緒に勉強しています。
◆③分解する
3つ目は、子どもがわかるところまで漢字を分解することです。
先ほどお話ししたように、覚える情報が多すぎると漢字が苦手な子どもはパンクしてしまいます。
ですから漢字を分解することで、「難しそうに見えるけど、実は自分の知っている文字でできているんだな」と子どもに理解させてほしいのです。
例えば「星」は「日+生」でできていますよね。もっと簡単にするなら「日+ノ+三+1」でもいいと思います。
こんな風に1つ1つのパーツがわかれば、後はそれぞれの位置を覚えればいいだけなので、子どもの負担はぐっと減るんですよ。
ここの段階で、初めて書く作業に入ってくださいね。
「まず『日』を書いて…そうそう丁寧に書けてるね!」
「次は『生』だね。きれいに書けてるよ!」
などと声をかけながら書きましょう。
単なる作業として書くのではなく、覚えるために頭を使って書くことが大事です。
◆④思い出す練習をする
そして最後に大事なのは、思い出す練習をすることです。
記憶すると言うのは、「覚えること」(インプット)と「思い出すこと」(アウトプット)がセットです。きちんと復習することで、記憶を定着させてあげてください。
私たちは漢字学習というと「覚え方」(インプット)ばかりに目が行って、「覚えられたか確認する作業」(アウトプット)は疎かにしがちです。
ですから、きちんとアプトプットすることで、記憶を定着させてあげてください。
もちろん書かせるのもいいですが、オススメはクイズのようにしてしまうこと!
「『星』は何と何でできてるんだっけ?」と言う感じで質問するだけでも、漢字の確認テストができますよ。
また、指で空中に字を書く「空書」もゲーム感覚でできるので取り組みやすいですよ。
そしてここで大事なのは、できているところをしっかり褒めてあげることです。
漢字の一部分しか答えられなくても「この部分はちゃんと覚えてるね!」とできているところに注目して、「今ここまで覚えてるから、もう一息じゃん!楽勝だよ!」などとやる気を引き出してあげてください。
発達障害の漢字学習で重要なのは、いかに子どもに苦手意識を持たせないか?なんですよ。
さて我が家の息子ですが、1年生の頃からこんな風に漢字学習を行なっているので、漢字に対する苦手意識は持っていません。
最近では「『魚』は『ク』と『田』と点が4つでできてるんだね!」と分解しながら覚えたり、本に出てきた漢字の成り立ちを調べるなど、私のサポートがなくても自分で学習を進める場面が増えてきました。
いかがでしたか?漢字が覚えられない発達障害の小学生の子どもに効果的な勉強法は
・読み方を確認する
・成り立ちを使ってイメージをつかむ
・子どもがわかるところまで分解する
・思い出す練習をする
の4ステップです。ぜひやってみてくださいね!
また、こちらの記事では学習の困りごとを解消する秘訣を紹介しています。合わせてチェックしてくださいね。
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執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)