今年小学校に入学した発達障害・自閉症スペクトラムの息子。順調に見えた学校生活でしたが、最初の壁は宿題の「計算カード」でした。計算は得意なのに不器用すぎてカードがめくれない!不器用さが学習に影響する場合の対応について解説します。 |
【目次】
1.発達障害の息子、不器用すぎて計算カードがめくれません!
発達障害のお子さんが不器用すぎて困る!というお母さんは多いのではないでしょうか?
今日は、この不器用さが学習面に影響した、私の息子のエピソードをお話ししたいと思います。
息子は現在小学校1年生。幼稚園の年少のときに発達障害・自閉症スペクトラムと診断され、療育やおうちでの発達支援で少しでも息子が伸びるようにと対応してきました。
そのおかげか、幼稚園の3年間でぐぐっと発達した息子は、小学校では通常級で楽しく過ごしています。
小学校入学前には、
授業についていけるのかな?
友達とうまくやれるのかな?
先生に叱られて自信を無くしたらどうしよう…
とか、いろいろ気をもみました。
小学校に入学して約3か月。息子が最初にぶち当たった壁は、授業でもお友達関係でもなく…不器用さでした。
不器用すぎて、計算カードがめくれなかったんです!
計算の答えは分かるのに、カードがめくれない。
めくれても2~3枚一緒にめくれてしまう。
計算カードが宿題に出され始めて1か月。息子の宿題へのイライラは相当なものでした。
まさか不器用が原因で宿題が嫌になるなんて、思いもしなかったのです。
このまま授業が嫌、勉強が嫌…となるのだけは避けたい!思って早々に対策をとったおかげで、息子の宿題へのイライラはすっきり解消されました。
今日は、私がどんな対策をとったのかについてお伝えしていきます。
算数につまづくお子さんはとても多いと思います。こちらにも記事をまとめましたので、併せてお読みくださいね!
2.不器用さが学習に影響するってどういうこと?
息子のように、不器用さが原因で計算カードがめくれない問題に悩んでいる親子は意外と多いのかもしれません。
私の息子の場合、発達の凸凹は大きいものの知能は定型発達のレベルまで伸びていましたし、幼稚園や療育の先生方からも「息子君は勉強は大丈夫でしょ!」と太鼓判をいただいていました。
また、私が「勉強する子はえらい!すばらしい!天才だ!」と育てたせいか、勉強に対する抵抗感はまったくありませんでした。
知能的にも、意欲的にも勉強は特に問題がないと思っていたのに、思わぬ伏兵が潜んでいたんです…
でも、よくよく考えれば、不器用さが原因で学習意欲がそがれる場面はたくさんありそうです。
・消しゴムできれいに消せない
・えんぴつを正しく持てなくて疲れる
・定規で線を引けない
・分度器を使えない
・コンパスが使えない
などが考えられます。お子さんはいかがですか?
学習に直接かかわるところですので、先生はもちろん、お母さんのチェックの目も厳しくなりがち。
「もっときれいに消しなさい」
「線はまっすぐひきなさい」
と指摘されたり、叱られたりすると、ますます自信がなくなって勉強したくなくなってしまいます。
うちの子、大丈夫かな?と思っているお母さんは、ぜひお子さんの様子をしっかりチェックしてくださいね。
注意したいのは、一口に「不器用」といっても、全部の動作が不器用というわけではないこと。
息子の場合、計算カードをめくることと消しゴムで消すことのはすごく苦手です。でも、字はていねいに、それなりのスピードで書くことができます。
学習面の不器用がどこに出ているのか、しっかり見つけていきましょう!
3.欲張りはNG。軸を決めれば対応は迷わない!
これまでパステル総研では、不器用なお子さんへの対応についてさまざまな記事でご紹介してきました。
不器用さは、物をしっかり見る「目のチカラ」と、手の動きの連携がうまくいっていない状態。まずはしっかり見ることからアプローチするのがポイントです。
詳しくはこちらの記事で解説していますので、併せて読んでみてくださいね。
この流れで行けば、計算カードをめくれない問題に悩んでいるなら、しっかりカードを見るように促すのが正解…と思われるかもしれませんが、実はNG!
計算カードの扱いってちょっと複雑です。
・カードの式を読み上げながら
・答えを計算して声に出し
・カードをめくって答えを確認
・そしてまた次のカードを読み上げて…
ただでさえ、計算に慣れていない新1年生は、正直なところ答えを言うだけで精いっぱいです。そんな状態のところに「カードをしっかり見てめくろうね」なんて言っても処理できるはずがないのです!
計算カードは、計算をマスターするためのもの。ということは、一番大切なことは「計算ができるようになる」ことではありませんか?
計算ができるようになることが一番大切なら、カードをめくることなんて二の次ですし、そもそも計算カードを使わなければならないわけでもありません。
というわけで、我が家の場合、早々に先生にお願いして、計算カードの枚数を自由に決めていいことにしていただきました。
我が家の計算カードは1セット49枚あります。ここから、「今日は何枚する?」と息子に決めてもらうことにしました。
気分が乗れば1セットすべてできる日もありますが、大抵10枚、最近では1枚の日もありました。
指定された枚数をリングから外して机の上に並べて置いたり、私がめくったりして、息子は答えを言うだけにして負担を極力減らしました。
負担が減ったことで、宿題の際の息子のイライラはすっきりなくなり、計算カードの代わりに通信教材に自分から取り組む日も増えてきました。
もしかしたら、発達障害のお子さんの宿題に悩んでいるお母さんは多いかもしれません。
そんなときに、絶対にやってはいけないのは、やみくもにやらせること。気合や根性で発達の特性は乗り越えられるものではないからです。
大事なのは、それぞれの宿題の目的を達成しながら、子どもに負担のない方法を探すして実践こと。 特に1年生は、これから長い期間学校の勉強や宿題と付き合っていくことになります。
最初から苦手意識を持たせるのは絶対にNG!「解けた!楽しい!」という感覚がどうやったら味わえるのか?と考えてください。これができるのは、お子さんの得意と苦手を一番把握しているお母さんだけです。
試行錯誤したうえで、いい方法が見つかったら、躊躇せずに先生に伝えましょう!
先生方も、最終的に「分かるようになる、できるようになる」のがゴールですから、やり方に関してはかなり柔軟に対応してくださる印象です。
子どもの特性や負担をお伝えしながら、この方法だとうまくいくんです、とお伝えすると、大抵の場合OKしてもらえるのではないかと思います。
「わが子が『できるようになる』一番の近道を探す」という軸をもつと、どうしたらいいのか判断しやすくなりますよ!
ぜひ今日の宿題タイムからお子さんの様子をチェックして、「この宿題、うちの子に合ってるのかな?」と考えてください。お子さんがより楽しくて、より理解できる方法を探っていきましょう!
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)