日本に昔からある「しつけ」と最近出てきた「ほめて育てる」方法。両立させようとして子育てを頑張りすぎていませんか?発達障害の子どもは「ほめて育てる」のが正解!お母さんが頑張らなくてもたくさんほめてあげられる方法をお伝えします。 |
【目次】
1 お母さん、子育てにつかれていませんか?
「ほめて育てた方がいいと分かっているけれど、○○ができていないし…」と 思っているお母さんはいらっしゃいませんか?
日本の子育てって、私はとても難しいと感じます。「たくさんほめてノビノビ育てましょう!」と言われる一方で、まだまだ「しつけ」を求められるシーンがたくさんあると感じるからです。
「しつけ」は子どもの良くないところを叱ってやめさせる子育て法。つまり子どもができていない部分に目を向けます。一方で「ほめて育てる」となると、子どもの良いところ、できたところに目を向けます。
これって、子育て方針としては真逆ですよね。
たくさんほめて子どものいいところをしっかり伸ばしてあげたい。
でも良くないところはしっかり叱ってしつけないと…
まじめなお母さんほど、どちらもしっかりやろうとして、子育てに疲れてしまうのではないかと心配になります。お母さんには笑顔でおだやかに子育てを楽しむ権利があります。あれもこれもやろうとして疲れてしまうのはもったいない!
ほめて育てる方法としつけ、どちらがお母さんと子どもが楽しく過ごせるか考えてみませんか?
2.発達障害の子育ては「ほめて育てる」が正解!
お母さんには楽しくラクに子育てをしてほしい。これは発達障害の子どもを育てている方ならなおさらです。
私の息子は自閉症スペクトラム、今は幼稚園の年長さんです。診断がおりてちょうど2年が経ちました。
この2年間、心配と不安がとても大きかったです。
今日は幼稚園で何かトラブルを起こしていないだろうか…
○○ができていなけれど、そろそろできるようにならないと厳しいかも…
この子は将来自立できるんだろうか…
毎日幼稚園の連絡帳を開くとき、心臓が飛び出るくらいドキドキして緊張していました。子どもの発達に不安があるお母さんなら、きっと分かっていただけると思います。
正直なところ、子育てを楽しむというよりは親としての責任で、「何とかこの子を育てないと…」という気持ちが強かったように思います。
でも、できない部分にばかり目を向けて、「あれもこれもやらないと…」と思うよりも、 小さな成長を細かく見つけていく方が、楽しくありませんか?
子育てはまだまだ続きます。年齢が上がるにつれて、発達障害の子どもたちの課題はどんどん複雑になっていきます。ずっと子育てが不安と心配ばかりってつまらないですよね!
発達障害の子どもの立場から考えても、おうちでお母さんに
「だめでしょ!」
「どうしてできないの?」
「これがやれないと困るよ!」
とネガティブなことばかり言われていたらどうでしょうか。学校ではうまくいかないし、おうちではお母さんに否定される…子どもは行き場を失ってしまいますよね。
学校でトラブルになりやすい発達障害の子どもだからこそ、おうちで楽しく過ごせること、お母さんに対する絶対的な信頼があることがとても大切です。
おうちは、学校で傷ついた気持ちを癒してリラックスできる場所にしたいですよね。また、お母さんを信頼していれば、年齢が上がってもお母さんに何でも話してくれます。子どものトラブルを早い段階で察知して、対応することができるようになります。
お母さんが対応してトラブルが大きくならないうちに解決したら、子どもも不安なく生活できますよね。
こうした信頼関係を築くには、ネガティブな声かけはNG!ほめて、認めて、ポジティブな声かけを積極的にしていくことが大切です。
「すごいね!」
「頑張ったね!」
「上手だね!」
誰だって叱られたり、否定されるより、ほめられて、肯定される方がいいですよね!
いつもほめてくれる、肯定してくれる人のことは信頼できますよね。信頼しているから、おうちの雰囲気もあたたかいものになります。
きっとお母さんも楽しくおだやかに子育てができるはず。発達障害の子育ては「ほめて育てる」が大正解です!
3.子どもを頑張ってほめなきゃ!と思わなくてOKです
発達障害の子育ては「ほめて育てる」が正解です。でも、発達障害の子育てでほめるって難しい部分もありますよね。
発達障害の子どもたちは脳の凸凹によって独特の感性を持っています。お母さんの常識が通用しなくて、「どうしてなの!?」と思ってしまうこともしばしばありますよね。
でも、ほめて育てなきゃいけない…頑張ってほめないと!ほめられるところを探さないと!と思っているお母さん。頑張ってほめようとしなくて大丈夫です!
少し、お子さんとの関係を振り返ってみてください。今お子さんとのコミュニケーションはポジティブな言葉とネガティブな言葉、どちらが多いでしょうか?
この言葉の比率を、
ポジティブな言葉>ネガティブな言葉
という図式にする、ということが、親子の信頼関係を強くする方法です。
いつも注意してばかりであまりほめてないかも…と思われたお母さんがいらっしゃるかもしれません。
それはある意味当然です。日本で育ったお母さんなら、「しつけ」をしているのが普通だからです。どうしても子どもの良くない行動やできていないことの方に目が行ってしまいますよね。
それを分かったうえで、子どものできていることに目を向けて声をかけよう!という意識がとても大切です。
さて、どんな声をかけてあげたらいいでしょうか?
すごいね!
上手だね!
頑張ったね!
できたね!
これらももちろんOK!子どもにとってポジティブな声かけになっています。ただ、この「ほめる」手法は使える場面が限られます。
子ども自身が、すごくない!上手じゃない!頑張ってない!できてない!と思っているところにこういう言葉をかけるとどうでしょうか。子どもはお母さんにちゃんと見てもらえてないと感じてしまうかもしれません。
母:「上手にできたね!」
子:「へたくそだよ!○○君はもっと上手だった!」
母:「そんなことないよ、お母さんは上手だと思うよ」
子:「全然上手じゃない!」
お母さんはほめているのに、子どもは真っ向から否定する…これでは親子の信頼関係が高まるどころか子どもが親に不信感を持つことになってしまいます。
ですから、お母さんにはポジティブな言葉のバリエーションを増やしてほしいんです。ポジティブな言葉は「ほめる」という手法だけではありません。
どんな子どもにも、有効なのが「認める」という手法です。
子どもがしたことをそのまま承認するだけ。
「○○したのね!」
これだけでいいのです!
事実を述べているだけなのでおだてにはなりませんし、子どもも否定できません。
例えば子どもが学校で作ってきた工作を持って帰ってきたとします。
「学校で作ったのね!」
「へぇ~赤色に塗ったんだ!」
「ここに星マーク描いたのね!」
こんな風に、上手とか下手とか評価せず、事実をそのまま話します。
こう話して、子どもが
「赤、かっこいいでしょ!」
「星、きれいでしょ!」
「上手でしょ!」
と肯定的に話してくれれば
そのまま
「かっこいいね~」
「きれいだね!」
「上手にできたね!」
と共感してほめてあげればOK!
子どももお母さんが自分に共感して受け入れてくれるので満足します。
「認める」は普段の日常生活でも使うことができます。
「自分で着替えたのね」
「学校の準備ができたのね」
「ご飯、食べたのね」
何気ない日常の行動も、しっかり認めてあげれば子どもは安心できます。「お母さんが認めてくれている」という安心感が、自主的に行動することに繋がります。
日常の行動を認めるだけなら、「ほめるところを探さなきゃ!」と頑張らなくても大丈夫ですよね。ぜひお試しくださいね!
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)