発達障害の子どもの中には友達とうまく話せない、話すのが苦手な子がいます。友達との会話がうまくいかないと、友達関係もうまくいっているのか心配になりますね。今回は言葉の発達がゆっくりな子のコミュニケーション力を伸ばす秘策、お伝えします。 |
【目次】
1.うちの子、話すの苦手?と悩んでいませんか?
2.発達障害の子が友達とうまく話せない理由
◆抽象的な言葉、曖昧な表現が伝わりにくい
◆他人の感情に共感しにくい
◆どう表現したらいいか分からない
3.子どものコミュニケーション力をアップさせるママの行動
ステップ1 まずは、ママがたくさん話をする
ステップ2 子どもに感想を聞いてみる
1.うちの子、話すの苦手?と悩んでいませんか?
皆さんのお子さんはお友達との会話、スムーズにできていますか?
発達障害の子どもはお友達との会話で言いたいことがうまく伝えられなかったり、なにも言わずただ聞いているだけということがあります。
もしかすると、話の内容が分かっているのかどうかもあやしい…なんてこともあるかもしれません。
人と会話する場合には、相手の話を聞いてその時にあった言葉を選び発することを繰り返していかないといけません。
けれども、発達障害の子ども中には話を聞いて理解し、何て言うか考えてさらに言葉で表現する。
この一連の流れをスムーズにくり出すことが難しい子がいるんです。
自分から積極的に会話に入らない子、おしゃべりが苦手な子はもしかすると人と会話をすることに苦手さを感じているかもしれません。
実は、わが子も、どちらかと言えばお友達とうまく話ができないタイプ。
お友達グループで話をしていても、「うん」「ううん」とうなずいたり、ニコニコしているだけでうまく会話に入れないようです。
また、うまく話ができないために興味が薄れてしまうのか、気持ちがよそにいってしまい、いつの間にかみんなとのおしゃべりの輪から外れていたりします。
わが子に、「なんでみんなとお話しないの?」と聞いてみると、しばらく黙ってから「なんて言っていいか分からない」と困った様子でした。
話ができないことはないのに…どうして、お友達と会話することに抵抗感をもってしまっているのでしょうか。
2.発達障害の子が友達とうまく話せない理由
発達障害、特に自閉症傾向の子どもは脳の特性から人とのコミュニケーションが苦手な傾向があります。 その理由をまずお伝えしますね。
◆抽象的な言葉、曖昧な表現が伝わりにくい
話の中で「あれ」「それ」「もうちょっと」などの曖昧な表現があったり、回りくどい言い方があると理解ができずに話の内容がみえなくなってしまうことがあります。
特に、子ども同士の会話だと、どうしても相手の子どもも言葉がつたないことがあって、余計に話が分からなくなりますね。
目に見えない抽象的な言葉は特に理解できないことがあり、なんでもない会話でも、それってどういう意味なのかな?と考えているうちに話がすすんでしまうこともあります。
◆他人の感情に共感しにくい
自閉症傾向の子は言葉をそのまま受け止めてしまって冗談が通じないとか、暗黙の了解が分からないということがあります。
また、人の表情や気持ちを読み取ることが苦手な子も多いです。
例えば、 「昨日足の指をソファの角にぶつけちゃってね」とお友達から言われたとしても「うん」でおしまい。
「えー、大丈夫?痛かったでしょ?」
「角に足をぶつけるとすごく痛いよね~」
「角に足をぶつけるとすごく痛いよね~」
などと、痛かったんだろうという気持ちが分かっていないわけではないのですが、感情に共感する会話が起こりにくく、話が終わってしまうので会話が盛り上がりません。
◆どう表現したらいいか分からない
たとえ、聞いた話を理解していても、次になんて表現しよう、なんて言うのが正解なのかな?と考えているうちに話がすすんでしまい、思ったことをうまく伝えられないこともあります。
言いたいことがあっても順序だてて説明することが難しく、相手にうまく話せないのです。
お家では家族が先回りして、言いたいことを分かってくれるので、会話が成立しますが、同年代のお友達には通用しません。
お友達と仲良くしたい、楽しく話をしたいと思っても、どうしていいか分からずうまくコミュニケーションがとれない、ということになるのです。
子どもがお友達と話をしたい、仲良くしたいと思っているのに、うまくできないとさみしい気持ちになってしまいますね。
3.子どものコミュニケーション力をアップさせるママの行動
そんなお友達とうまく話ができない発達障害の子が、自分から会話ができるようになるためのお家での対応法をお伝えしますね。
◆ステップ1 まずは、ママがたくさん話をする
1番にやってもらいたいことは、まず先にママの方から経験したこと、感じたことを話す機会を増やすことです。
会話は一人でするものではなく、相手がいて初めて成立するもの。
ですが、コミュニケーションが苦手な子どもの場合、家庭内でも会話が少なくなってしまいがちです。
ママも話をしているつもりでも気が付くと「お風呂早く入って~!」などと指示ばかりになっているかもしれません。
そうなると余計にお互いで「言葉を交わす」というコミュニケーションに触れる機会が少なくなってしまいます。
だからまずは、ママが経験したことや感じたことを言葉にして子どもに伝えていくことが大切なんです。例えば
「ねえねえ、聞いてくれる?」
「今日会社で〇〇さんがこんなこと言ってたのよ」
「ママ、それがおかしくってさー」
「〇〇さんって、お笑いのセンスあるよね」
「今日会社で〇〇さんがこんなこと言ってたのよ」
「ママ、それがおかしくってさー」
「〇〇さんって、お笑いのセンスあるよね」
という風に実際体験したこと、目で見たこと、本で読んだことなどからママが気になったことや興味のあることをどんどん子どもに伝えてみましょう。
ただ、このときに1点気をつけてもらいたいことがあります。
それは「できるだけ1文は短く。ゆっくりしゃべること」です!
長い文章で話をすると、集中が途切れて話の内容が分かりにくくなってしまいます。
またゆっくりしゃべることで、子どもにも伝わりやすく理解するための考える時間ができます。
このポイントを押さえて、毎日のようにママの話を聞いていると、会話ってこんな感じでするんだ、ということが自然とインプットされていきます。
◆ステップ2 子どもに感想を聞いてみる
ママがたくさんおしゃべりしたら、今度は子どもの番です。
今日学校であったこと、お友達の様子などを聞いてみるといいですね。
ただ、何を話したらいいか分からない、という子の場合には、例えば親子で一緒に見たYouTubeなどの動画の感想を言ってもらうことから始めてみてはどうでしょう。
最初は1問1答の形にすると、より話しやすいですね。
「今日、出てた人はなんていうYouTuberなの?」
「 ママはこのシーンに笑っちゃったな、〇〇ちゃんはどこが面白かった? 」
「 ママはこのシーンに笑っちゃったな、〇〇ちゃんはどこが面白かった? 」
など、簡単な質問から始めてみて、子どもの発した言葉から、さらに具体的に質問していくと、だんだんと表現の幅が広がっていきます。
また、子どもが話をしたことに 「そう!ママ知らなかったわ~!」 「へぇ~、〇〇ちゃんはそう感じたんだ」 と驚いて見せたり、また反復するなど、しっかりとリアクションしてあげてください。
すると、自閉傾向の子どもにとっては「こういう場合にはこういう反応をするんだ」というお手本の1つになります。
おうちでのママとする会話は、上手くしゃべれなかったらどうしようとか、ちゃんと伝わるかなという心配は他の人との会話よりも少ないはず。
会話の練習というと大げさに感じますが、毎日ママが意識していれば、お家で自然に取り組めますね。
さらに、会話を重ねることで、家の外でのお友達や周りの大人とも会話するハードルを下がってきます。
ぜひやってみてくださいね。
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執筆者:井上喜美子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)