小学校への入学・進級で、不安でいっぱいだったお子さんも少しずつ環境になれ、本来の姿が見られるようになったこの時期に、個人面談も始まります。短時間で発達障害・グレーゾーンの子どもの困りごとをどう先生に伝えるかご紹介します! |
【目次】
1.小学校の個人面談のねらいとは?
2.個人面談は短時間!実りある時間にするための事前準備
3.個人面談を成功させるカギは「現状の整理と伝え方」
♦面談前には子どもの普段の様子を整理する
♦伝わりやすい伝え方を事前にメモをしてまとめておく
4.今後の学校との連携に必要な情報は個人面談中にもメモ!
1.小学校の個人面談のねらいとは?
お子さんは、新しい担任の先生やお友達、環境にも慣れ、お子さん本来の姿が見られるようになったころではないでしょうか?
また、お子さんによっては、少し疲れが出てくるころかもしれませんね。
学校生活に慣れてきたこの時期、多くの学校で個人面談や家庭訪問がおこなわれます。
この個人面談、大きく2つのねらいがあることをみなさんご存知ですか?
1つめのねらいは、「担任の先生と私たち保護者がお互いを知り、良い関係性をつくること」です。
良い関係性をつくり信頼関係ができていれば、お子さんに困りごとなどが起きた時、よりスムーズに連携がとることができますね。
特に、発達障害・グレーゾーンの子どもは、その特性から、学校でパニックになってしまったり、教室に入れなかったり、あるいは思いを伝えられず一人で悩んでしまうこともあります。
そんな時、担任の先生とうまく連携が取れていれば、より速やかに対応ができ、お子さんも安心して学校に通うことができます!
2つ目のねらいは、「子どもの普段の家庭での様子・学校での様子を互いに情報交換することで、より子ども本来の姿を理解すること」です。
さらには、子ども本来の姿を理解した上で、学校と家庭での子どもの教育を充実させることです。
つまり、個人面談のねらいは、
「子どもの教育を充実させるために担任(学校側)と保護者(家庭)が親睦・連携を図り、いつでもタッグを組める状態にすること」
なのです。
コロナ禍なので、個人面談は希望者のみ実施する小学校もあるかと思います。
特に、発達障害・グレーゾーンのお子さんをお持ちであれば、この先の学校生活をスムーズに過ごせるように希望されてみてはどうでしょうか。
2.個人面談は短時間!実りある時間にするための事前準備
みなさんにも個人面談の経験、ありますよね。
「雑談していたら、本題に入る前にあっという間に面談が終わってしまった」
「先生からのお話を聞くだけで、思ったことを伝えないまま終わってしまった」
という経験はありませんか?
また、発達障害・グレーゾーンの子どもをお持ちのお母さんの中には、
「子どものできないことばかりを一方的に言われ、何も言い返せなかった」
「特性を理解してもらえず、自分の子育てを否定されているようで落ち込んでしまった」
と情報交換の場である面談で、傷ついてしまったお母さんもいるようです。つらいですよね。
こちらの思いを伝えれらないどころか、傷ついたり、つらい思いをしないために個人面談の前にしておくべき準備が、実はあるんです!
3.個人面談を成功させるカギは「現状の整理と伝え方」
限りある時間内で実りある面談にするためには、大切なことが2つあります。
♦面談前には子どもの普段の様子を整理する
面談前には担任の先生に伝えたいことを優先順位の高い順に1つか2つに絞り、メモしておきましょう。
「うちの子、落ち着きがなくて」
「なかなか宿題に取り組まなくて」
など、悩みや困りごとを考えたらいくつでも思い浮かびそうですね。
でも、ただ伝えるだけでは、なかなか改善には結びつきません。
そこで大切なのが、優先順位の高い困りごとは何かを明確にして伝えることなんです。
お母さんからみて、
「お子さんが今、学校や家庭で1番困っていることは何か? 2番目に困っていることは何か?」
を考えてみてください。
優先順位が決まったら、今度は伝える準備です!
♦伝わりやすい伝え方を事前にメモをしてまとめておく
1 困っている状況
2 その結果現れる行動
3 改善するための対応法
の順番でメモをして面談に臨みましょう。
◆伝え方例1:自閉スペクトラムで聴覚過敏があるケース
例えば、音楽の時間、お友達が叩いたシンバルの音に苦手を感じ、耳を塞いでしゃがみこんでしまってパニックになってしまうという場合を考えてみましょう。
この場合は、あらかじめお母さんが、
「うちの子、聴覚過敏があって、突然大きな高い音が聞こえると耳を塞いでしゃがみこむことがあるんです。(状況)
そうなるとパニックになって、どんな声かけをしても耳を傾けません。(行動)
そんな時、我が家では静かな場所に移動させ、しばらく1人にします。そうすると落ち着きを取り戻してもどってきます。(対応)」
と担任の先生に伝えると分かりやすいです。
◆伝え方例2:学習障害で聞き取る力が弱いケース
お友達との話し合いの時間になると、一度にたくさんの情報が処理できず、話についていけなくことがあります。
結果、ぼーっとその場にいるだけになってしまい、授業についていけなくなり、やがて学力不振につながってしまう場合があります。
この場合もあらかじめお母さんから
「うちの子は話を聞き取る力が弱く、話の内容が早いスピードで展開していくと、話についていけなくなるんです。(状況)
すると、ぼーっとしてその場にいることが多いです。(行動)
そんな時、家では私が内容を短くわかりやすい言葉に置き換えて伝えるようにしたり、理解できているかその場で確認しています。(対応)」
と整理して伝えましょう。
実はこれ、我が家が実際におこなったやりとりなんです。
担任の先生は、グループに分かれて話し合う際、そばにいて様子を見守ってくれました。
そして、ぼーっとしている時には、もう一度発言した子どもに簡潔に話してもらうようにしたり、担任が意見をまとめて簡単に説明するサポートをしてくれました。
整理された情報を具体例として伝えれば、担任の先生はお子さんに迅速な対応をとりやすいと思います。
お子さんも最小限のストレスで、困りごとから解放されますね!
4.今後の学校との連携に必要な情報は個人面談中にもメモ!
個人面談では、先生から「学校での子どもの様子」も聞くことがあるかと思います。
面談時は、話に夢中になってしまいがちですが、 会話の中には、
「このようにしたらいいですよ〜」
「こんなところに気をつけていきたいですね」
など、先生からのアドバイスや課題がいっぱいです!
これを聞くだけでなく、この情報もその場でメモをしておくことが大切です。
このメモは、面談後に再度学校生活の様子を聞く際にも役立つはずです。
そして、学校との連携をとる意味でも、大切なものになります。
お子さんの困りごとや悩みをただ闇雲に話すよりも、ずっと効果的で有効的な面談にしたいですね!
最後に、お子さんと過ごす時間が一番長いのはお母さんです。
気づいていないかもしれませんが、 お子さんの一番の専門家はお母さん、あなたです!
お母さんがお子さんと関わる中で見つけた対応法を、ぜひ先生に伝えてくださいね。
そして、もし、改善するための対応法がわからない場合でも、大丈夫!
担任と話し合い、最適な方法を見つけていきましょう。
それこそが、個人面談をおこなうねらいなのですから。
さあ、まずはメモをすることからはじめてみませんか!
小学校入学後の子どもの対応についてご紹介しています
執筆者:さくら聖子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー、東京都子育て支援員)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー、東京都子育て支援員)