うちの子、苦手なことが多いなと思っているお母さん。何か習いごとをさせてみようかと考えていませんか?実は、発達障害の子の習いごとは子どもの特性を考えないと逆効果になってしまうことも!今回は発達障害の子どもの脳を伸ばすおすすめの習いごとの選び方、お伝えします。 |
【目次】
1.子どもの苦手、なんとかしたいと思っていませんか?
2.習いごとを選ぶのってこんなに難しいもの?
3.子どもの習いごとを決める前に踏まえておきたいポイント
◆子どもの特性にあっているか?無理をさせすぎていないか?
◆周りの子どもとの関係はどうか?
◆先生やコーチに理解があるか?
4.発達障害のわが子の特性にピッタリだった習いごと
1.子どもの苦手、なんとかしたいと思っていませんか?
できないこと、苦手なことが多い発達障害の子ども。
特に、学校での勉強や運動に苦手さを感じていると学校が楽しくなくなるでしょうし、行きたがらない子もでてくるかもしれません。
お母さんとしては、もっと努力してほしい!もっとお勉強してほしい!と思ってしまいますよね。
けれども、発達障害の子どもは苦手なことは自分からすすんではやりたがりません。
苦手だからやらない、すると、ますます苦手なことは苦手なまま。お母さんも心配ですよね。
そこで、 勉強ができるようにと、学習塾。運動ができるようにと、体操教室など、苦手を解消するために、何かの教室に通わせようと考えているお家もあるでしょう。
また、発達障害の子どもに好きなことや得意なことを見つけてあげたい、人とのかかわりを多く持たせたい、学校以外の別の居場所を作ってあげたい、といった理由でも習いごとを考えるかもしれません。
感性を育てたいからピアノ教室や絵画教室、人とのかかわりを多く持たせたいからサッカー教室やダンス教室など、最近では早期教育に力を入れている方も多く、親としては子どもの可能性をさらに広げてあげたいと思っていることでしょう。
この習いごとをすると記憶力がよくなるとか、集中しやすくなるといった効果をうたわれているものもあります。
ですが、発達障害の子の場合、効果を期待するあまり、子どもの特性を考慮しないで始めるとせっかくの努力が逆効果になってしまうこともあるのです。
2.習いごとを選ぶのってこんなに難しいもの?
わが家の自閉症スペクトラム(ASD)傾向の娘はワーキングメモリが弱いため、見たこと、聞いたことを一時的に覚え、処理することに時間がかかります。
そのため、勉強に苦手感が強く、学習が思うように進まないということがありました。
そこで、わたしも勉強が身につくことを期待して、まずは学習塾に通わせようと子どもと一緒に見学に行ったことがあります。
けれども、教室内にはたくさんの子どもでざわざわした雰囲気で、聴覚過敏のあるわが子が集中して勉強できる環境にはありませんでした。
また別の学習塾をと考えていましたが、ここはお友達が誰もいないから嫌!とか、男の先生だから嫌!など、ASDの子どもに多いこだわりがあってまともに通うことができませんでした。
それならばと学習塾はあきらめて、脳に刺激となる全身運動をさせてみようとクラスのお友達が通うスイミングスクールも検討してみました。
最初のうちは娘もやる気でしたが、実際に行ってみると、屋内プールでの反響音が気になって結局こちらもうまくいきませんでした。
つまり、発達障害の子どもの特性を無視しては習いごとも時間をとられるばかりで、期待した効果は何も得られないのです。
3.発達障害の子どもの習いごとを決める前に踏まえておきたいポイント
発達障害の子どもの苦手は脳の特性が原因です。
子どもにとって何が得意で何が苦手かという特性をしっかりと把握しておかないと、習いごともスムーズに進みません。
そこで、習いごとを始める時に、ぜひ踏まえてもらいたいポイントを挙げてみました。
◆子どもの特性にあっているか?無理をさせすぎていないか?
聴覚過敏のある子どもに、ピアノが脳の発達にいいからという理由で習い始めても、音が気になって疲れてしまうことも。
また、手先が不器用な発達障害の子どもに、効果があるからと工作教室に通わせると、学校以外にも苦手なことをしなければならないと、嫌な気持ちになってしまうかもしれません。
苦手なことを克服させたいという気持ちはわからなくはないですが、苦手だからといって特性に合わないことを無理やりやらせては、集中できないばかりか、子どもは辛いばかりでなんの効果も生みません。
習いごとは子どもが興味があるかどうか、子どもが楽しく通えるかどうかをまず検討してみてください。
そして、興味のあること、好きなことを伸ばすという視点で考えてみてくださいね。
◆周りの子どもとの関係はどうか?
チームで行うスポーツなどは、勝敗が問われるものも多いですね。
もしも、そのチームでミスが続いたり、コーチから指示されたことができなかったりする場合には、ほかの子どもたちやコーチから叱られることが多くなってしまいます。
そうすると、一生懸命やっているのに叱られるわけですから、子どもの自己肯定感を下げてしまい、好きで始めたスポーツでも興味が薄れて嫌になってしまうかもしれません。
体を動かすことを目的としているのなら、チームではなく個人プレーのスポ―ツも選択肢の1つとして考えてみてください。
◆先生やコーチに理解があるか?
先生やコーチとの相性もあるかと思いますが、いいところに注目して褒めてくれるタイプか、もしくはできないところに注目して叱咤激励するタイプかをみてください。
発達障害の子どもはできないこと、苦手なことを注意される機会が日常的に多く、自己肯定感が低い傾向があります。
学校以外の習いごとでも先生やコーチに叱られることが多くなると、ますます子どもも自分はダメなんだ…と自信をなくしてしまいがちです。
そう考えると、子どもができたことだけではなく、頑張ったことにも注目して褒めてくれる先生のいる習いごとがおすすめですね。
4.発達障害のわが子の特性にぴったりだった習いごと
いろいろと検討した結果、我が家ではうちからそう遠くない場所にある硬筆に通うことにしました。
聴覚過敏がある娘にとって、硬筆の教室は静かで集中しやすい環境だったのが1番の理由です。
そして、毎週同じ曜日の同じ時間で通ってくる生徒もほぼ同じ。変化に弱い娘も安心して通えました。
その教室では、積極的に発達障害グレーゾーンの子どもの受け入れをしているようで、先生も発達障害の子どもに理解があり、ことあるごとに娘を褒めてくれます。
娘も頑張って書いた字を毎回褒めてもらえるとうれしそうにしていましたし、昇級試験で級が上がるとモチベーションもアップ。さらに頑張ろうと気合も入っています。
硬筆はきれいな字を書こうと細部にわたってよく見るため、視覚的認知を刺激します。
また、お手本をよく見て、字のバランスや全体像を覚えておいて、書き写すことを繰り返すもので 娘にとって苦手なワーキングメモリを鍛えることにもつながっています。
最近では丁寧に書くことで字に対しての抵抗感が少なくなったのか、学校での授業もスムーズにうけることができ、きれいな字を学校でも褒められることが増え自信につながってきています。
発達障害があっても、子どもの個性を伸ばしたい、苦手を克服させてやりたいと親ならだれでも思うことでしょう。
けれども、親が良かれと思ったことが逆効果になってしまうことを考えると、巷でうわさされる子どもにとって良い習い事が発達障害のある子どもにとってもいいとは限りません。
ですが、逆に言うと、強味を見つけて伸ばすことができると、子どもにとっては大きな自信になります。
皆さんのお子さんの特性にあった習い事が個性をのばすきっかけになればうれしいです。
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執筆者:井上喜美子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)