コロナ禍で子どもがストレスを抱えている様子に気づき、不安に思っているお母さんは多いのではないでしょうか?特に不安が強い発達障害の子どもにとっては、お母さんとの会話が重要になってきます。カウンセリング効果のある親子の会話の方法をお伝えします。 |
【目次】
1.コロナ禍で子どもはストレスを抱えています
2.子どものストレスからくる反応とは?
3.親子の会話にはカウンセリング効果があります!
4.おうちカウンセリングのコツとは?
◆オウム返しをする
◆子どもが話し出すまで「待つ」
◆ひたすら「聞く」
◆「笑顔で」「優しく」「ゆっくり」話す
◆子どもの「好きなこと」を話題に!
1.コロナ禍で子どもはストレスを抱えています
この1年半の間、新型コロナウイルスの感染拡大で、子どもたちはいつもと違う日常を送ってきました。
昨年は、長い休校期間ののちに学校再開があり、夏休みは短くなりました。
学校行事が中止されたり縮小されたりする中で、大人が思っている以上に子どもたちはストレスを感じています。
先日、息子が通っている小学校で教育ミニ集会が開かれました。
昨年の子どもたちの学校での様子、家での様子を先生とお母さんたちが話し合いました。
休校期間中の子どもたちの様子については次のようなことが挙げられていました。
・課題、宿題が多くてやらせるのが大変だった
・子どもがなかなか勉強しないので親子ゲンカが絶えなかった
・子どもはゲームやユーチューブばかりやっていた
・勉強の遅れが心配で親の方が焦ってしまった
・初めのうちは計画を立てスケジュール通りに頑張っていたが、休校期間が長引くにつれて計画通りにはできなくなってきた
・仲良しの友達とも遊べずかわいそうだった
また、休校明けの学校再開後にどのような様子だったかについては
・行事が中止、縮小されて残念に感じている
・授業が早く進むので理解できていないかもと不安になる
・学習の遅れを補うために宿題が多く出され大変
・休校期間中に行われる予定だった行事が、2学期に行われ授業以外の行事が次から次にあり子どもが疲れていた
という意見が出ました。
今年も緊急事態宣言が出た地域があり、すでに運動会や修学旅行を中止したり、延期したりしている学校もあります。
コロナ禍が長引き、多くの子どもたちがいつもとは違う状況の中で、何らかのストレスを感じています。
子どもがストレスを感じると、SOSのサインとして、カラダ、ココロ、行動にさまざまな反応が出ることがあります。
次の項では、子どものストレスがどのような症状としてあらわれるのかを具体的にみていきましょう。
2.子どものストレスからくる反応とは?
ストレスからくる不調は、さまざまな形であらわれます。子どもが不安や悩みを言葉で伝えることができればいいのですが、そもそも子ども自身がストレスに気づいていない場合もあります。
そこで、具体的なストレス反応の例を示してみますね。
◆カラダにあらわれるストレス反応
・明らかに食欲が減った、あるいは増える
・お腹や頭の痛み、吐き気やめまいがある
・寝られない、あるいは起きられない
・おねしょやおもらしをする
・チック(本人の意思に関係なく突然出てしまう身体の動きや声を繰り返す症状)が見られる
◆ココロにあらわれるストレス反応
・イライラしやすくなる
・怒りっぽくなる
・落ち込みやすくなる
・はしゃぎすぎる
・感情の起伏が激しくなる
◆行動にあらわれるストレス反応
・甘えてくるようになる
・今までよりおしゃべりになる
・暴力をふるう
・暴言をはく
・口数が減る
・学校や友達の話を避ける
・自分を否定するような発言をする
・急に泣き出す
・爪を噛むようになる
・落ち着きがなくなる
このように、子どもにいつもと違う様子が見られたら、お母さんは子どもがストレスを抱えているのかもしれないと考えてみてください。
特に発達障害の子どもは、コロナ禍での急な予定の変更や、いつもと違うことへの不安が強いために、パニックや癇癪を起こしてしまうこともありますので、注意が必要です。
3.親子の会話にはカウンセリング効果があります!
子どもがストレスを抱えているかもしれないと思ったら、どうすればよいのでしょうか?
それは、子どもと楽しく会話のキャッチボールをすることです。
上手に子どもと会話のキャッチボールができれば、カウンセリングの効果が期待できるのです。
カウンセリングとは、会話を通して相手の困っていることを解決していく技法のことです。
お母さんが子どもと会話のキャッチボールをすることで、子どもはお母さんに受け入れられてもらった、理解してもらえた、という気持ちになり、安心してもっと話ができるようになります。
このように親子で上手に会話のキャッチボールができるようになると、子ども自身が自分の気持ちに気が付いたり、不安や心配を吐き出すことができて固くなった心を変化させることができるのです。
カウンセリングなんて難しそう、と思うかもしれませんが、ちょっとした意識で専門家ではない普通のお母さんがお子さんにカウンセリング効果がある会話ができるのです。
4.おうちカウンセリングのコツとは?
◆オウム返しする
例えば、
「休み時間は、なにして遊んだの?」
と質問したときに、「鬼ごっこ」と答えたら
「へー!鬼ごっこしたんだ!」
と子どもの言ったことを繰り返し、オウム返しします。
そして、少し間をおいて、
「いいね!楽しかった?」
と聞いてみてくださいね。
また、「休み時間は、なにして遊んだの?」
の問いかけに、うまく答えられない子もいますね。
その場合には、
「今日はいい天気だったねぇ。休み時間は外で遊んだ?」
と、YESかNOで答えられる質問をしてみます。
「うん、外で遊んだよ!」と答えが返ってきたら
「そう、外で遊んだんだ。」と返します。
そして、「なにをしたの?」と続けていきます。
このように、質問の前に一旦子どもの言葉を受け入れそのまま返すことで、子どもはお母さんが自分の話を理解してくれたことを感じられます。
受け入れられたと感じると、子どももお母さんの質問に答えやすくなり会話がはずみますよ。
◆子どもが話し出すまで「待つ」
会話のキャッチボールをする上で大切なポイントは、答えが返ってくるのを「待つこと」です。
「なにをしたの?」の質問にすぐには答えられなくても、ちょっと待ってあげるのです。
小さな子どもの脳は処理をするのに、大人の何倍もの時間がかかります。
前の脳の処理が終わらないうちに、次の質問をされると、子どもはお母さんの話を聞かなくなってしまいます。
子どもの返答を急がずに待ち、子どもが返事をするまでは、次の話をせず、上手に「間を取ること」が大切です。
◆ひたすら「聞く」
子どもって、大人が思いもつかないことを言うこともありますね。
お母さんが子どもの話にうまくコメントできないときには、
「そっか〜」
「そうなんだ〜」
「なるほどね〜」
「そう思うんだね」
と、ひたすら受け入れて話を聞いてみてください。
ちょっとそれはどうなの?と思うことでも、批判や自分の意見を挟まずにひたすら聞いてあげてくださいね。
ただし、例外的に子どもが
「自分なんていなくてもいい」
というような、自己否定するような言葉を発したときだけは、必ず否定してください。
◆「笑顔で」「優しく」「ゆっくり」話す
子どもに話をするときには必ず意識してほしいことがあります。
・笑顔(Smile)で
・ささやくように優しく(Sweet)
・ゆっくりと間をとって(Slow)
発達科学コミュニケーションでは、この話し方を英単語の頭文字Sから「3S」と呼んでいます。
発達障害の子どもは言葉の内容よりも、そのときのお母さんの表情や声色を敏感に感じ取ります。
無表情だったり、声が大きかったり、早口だと、お母さんがそんなつもりはなくても子どもには怒られているように感じられてしまいます。
子どもが怒られていると感じるとお母さんの言葉は脳に届かなくなってしまいます。
子どもの脳にお母さんの言葉がしっかり届くように「3S」を意識してみてくださいね。
◆子どもの「好きなこと」を話題に!
ときには、子どもが質問に答えたくないときもあります。
そんなときは「ちゃんと答えて!」などと怒りモード全開では、かえって反抗的になって、益々話してくれなくなります。
特に思春期のお子さんは、親と話したがらない傾向にあります。
子どもが話したがらない話題(勉強や学校のこと)を無理に聞こうとすると、かえって、口を貝のように閉ざしてしまいます。
そんな思春期の子の場合には、子どもが大好きなゲームや漫画、アニメ、音楽のことについて聞いてみるといいですよ!
うちには、中学生の息子もいます。
もともとおしゃべりな子ではありませんが、思春期になって益々無口になっています。
私の問いにも「うん」「あ〜」という感じです。しかし、無口な息子も好きな野球のことや得意な歴史や地理については私の問いかけにもきちんと答えてくれます。
お母さんは、子どもの話を「聞くこと」をメインにし、子どもの話を待ってあげてくださいね。
いかがでしたか?
お母さんが子どもの心を癒すカウンセリング効果がある会話の方法をお伝えしました。
誰でも「話を聞いてもらう」だけで、不安な気持ちが和らぎ落ち着くものです。
自分の話を聞いてもらい、受け入れてもらえたことで、子どもは安心します。
今年の夏休みは帰省を控え、家にいるご家庭も多いかもしれませんね。
いつもより家族で過ごす時間が長くなる今年の夏休みこそ、親子の楽しい会話でお子さんの不安を安心に変えてあげてくださいね。
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執筆者:深井淳子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)