発達障害・ADHDタイプの子どもは衝動性が強く待つのが苦手です。しかし、楽しみながら「待つこと」を身につけるのにピッタリなお手伝いがあります。それがクッキングです。ADHDタイプの息子が一人で楽しく取り組めた料理を紹介します。 |
【目次】
1.ADHDタイプの悩みは…待つのが苦手な元気いっぱいな子ども
2.「待つこと」だけけではない!子どもの力が伸ばせる料理の秘密
3.我が家で実践した発達凸凹キッズにオススメの料理
◆お豆腐白玉
◆フレンチトースト
◆チャーハン
4.子どもが継続できるポイントと息子の変化
1.ADHDタイプの悩みは…待つのが苦手な元気いっぱいな子ども
・「やりたい!」が先立ち待つのが苦手
・常に体を動かしている
・衝動的に動いてしまう
・集中力が続かない
・興奮すると気持ちがおされられない
・場の空気が読めない
これは注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの子どもに見られる特徴です。
元気で明るくて天真爛漫と言われることもありますが、子育てをしているお母さんからしたらとても大変で成長するにつれて悩みが多いはずです。
実際にADHDタイプの息子を育てている私も息子の行動に振り回されて、上手くいかない子育てにイライラしながら悩んでいました。
上記の特性に加えて
・こだわるところは丁寧で完璧主義な一面もある
・失敗すると「ダメだ」と落ち込む
という一面もあります。ですから、複雑なことや時間のかかることは苦手だけど、できないことで自信を失くしてしまうことが多々あります。
このような特性の息子ですが、たまたま興味を持ったのが「料理」でした。
「待てないし、集中力もないし大丈夫?」と最初は消極的な私でしたが、料理をすることで息子の苦手とすることが鍛えられるのではと思い、快く料理することを応援することにしました。
料理をすることで子どもの発達を促すことができ、日常生活にも役立つ生活スキルが身につくとしたらどうですか?
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2.「待つこと」だけではない!子どもの力が伸ばせる料理の秘密
なぜ、私が料理をすることで息子の苦手を鍛えられると思ったのかというと、料理をすることで様々な子どもの力を伸ばすことができ、さらには自分に自信をつけることもできるのではないかと思ったからです。
どのようなメリットがあるというと…
・手の使い方が上手くなる
・味見や包丁を使う、工夫することを通して「考える力」が育つ
・計量をすることや包丁を使う、焼き加減を見るなどで「見る力」や「集中力」が育つ
など、子どもの力を伸ばす要素がたくさんあるからです。
子どもが自分の持っている力を伸ばすことで、自信もついていきます。
料理で伸ばすことができた力は、あらゆる場面で必要とされる力です。こんなにたくさんの力を伸ばすことができる料理をお子さんが自ら進んで楽しくできたらいいですよね。
そして、料理には自分から進んでまたチャレンジしたくなる要素もあるのです!
それは、自分の作った料理を家族が食べてくれる喜びを感じられ、自信をつけることで自己肯定感も高まり次への意欲につながるのです。
さらに、料理には子どもが取り組みやすい2つのポイントがあります。
➀作ったら食べられるという楽しみがある
➁目に見える作業で完成がある
このポイントは先の見通しが立つこともあり、取り組みやすい要素だと思います。まさに、食べることが大好きな息子にはぴったりでした。
息子のようにADHDタイプの特性が強い子どもでも、簡単なことから始めれば料理で「待つこと」を経験できます。
さらには、集中力や見る力を伸ばし、自信をつけることができます。どんなクッキングが良いの?とお困りの方に息子が楽しく取り組めたメニューを次項でご紹介します。
3.我が家で実践した発達凸凹キッズにオススメの料理
発達凸凹キッズの息子が楽しみながら「待つこと」を経験して、繰り返し取り組めている料理を3つご紹介します。以下の料理には少しの「待つ」という時間があります。
◆お豆腐白玉団子
お豆腐と白玉粉を分量通りに計り、手で練り混ぜて丸めて湯でるだけの簡単調理です。
しかし、簡単さの中にも手で耳たぶの固さになるように調節することや丸めること、丸める大きさを考えながら作業することができます。
待つところは「湯に入れた白玉が浮いてくるまでの時間」です。浮いたら白玉に火が通った合図なので大切なポイントです
息子は「平たくしたらどうなる?」「ゆでると色が変わるかな?」などと実験するかのように楽しんでいました。
ですから、待っているという意識はなく楽しみながら白玉が浮いてくるのを待つことができました。
◆フレンチトースト
材料はパンと卵と牛乳と砂糖のみ。お昼ご飯にもぴったりです。
・卵を割る
・牛乳をそそぐ
・牛乳の量と砂糖の甘さを調整する
・焼いて、ひっくり返す
など、単純ですが力の加減の調節や集中力、火傷に気を付ける注意力、焼き加減をみる観察力が必要です。
さらに、息子はフルーツをカットして可愛く盛り付けることを自分で思いつき工夫していました。
待つところは「卵液に浸して寝かせるところ 」と「焼きあがってひっくり返すまで」の2つあります。
卵液がしみこむのを待つ間、何か別のことをしたり、トッピングのフルーツを切ったりして待っていました。次に焼くという楽しみがあるので待つことが苦痛という事はありませんでした。
さらに、焼きあがってひっくり返すまでに待つ時間は慎重に焼き色がつくのをワクワクしながら待つことができていました。「まだかな…」何回も裏を確認することもありましたが、様子を見ながら待つことができるようになりました。
◆チャーハン
野菜やハムなどの具材をを切って炒める。そこにご飯を入れて味付けをする簡単メニューです。
待つところは「具材に火を通してからご飯を入れる」です。最初は野菜を入れたらすぐにご飯を入れようとしていましたが、『野菜がしんなりしてきて味付けをしたら入れる』という事を教えました。
何回も繰り返すうちに具材を炒めながら待つことができるようになり、タイミングを自分で決めてご飯を入れるようになりました。
待つこと以外にも、野菜の切り方を覚えたり、味付けの工夫もするようになりました。そしてもちろん、「待つこと」も次第に身につけていきました。
いかがですか?どれも最初は見守りながら必要なことは助言していましたが、二回目以降は聞かれたことだけ答えるようにして、ほぼ一人で行うことができました。
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4.子どもが継続できるポイントと息子の変化
子どもが次も「やりたい」と思うためのポイントがあります。
➀無理強いしないをしないで本人がやりたいと思った時
➁感謝の言葉
この二つです。
子どもが自分から「やりたい」と思った時が絶好のチャンスです!頼まれて気分が乗らない時と自分からやったときでは気持も作業の仕方も違います。
「また○○のフレンチトースト食べたいな」くらいの軽い言葉を会話の中で伝えることは良いと思います。この声に応えたいと思って動いてくれた時が良いですね。
そして、作ってくれた時は必ず感謝の言葉を笑顔で伝えましょう。
「ありがとう」
「おいしいよ」
「上手にできたね」
「また作ってね」
という言葉と笑顔で、「喜んでもらえてうれしいな。また作ってみよう」と自信につながります。
息子はこの4つの言葉から自信とやる気を付けて、自分から「やりたい」と自主的に手伝いを求めてくるようになりました。
いろいろ散らかったり余計な洗い物が増えたり時間がかかることがありますが、子どもに「自信」がつくことを考えたら大したことありません!
お子さんによっては難しい作業もありますので、できそうな作業だけやってもらうのでも良いと思います。時間に余裕がある時にぜひ、チャレンジしてみてくださいね。
料理の回数をこなすうちに、息子にたくさんの成長ポイントを見つけられることができました。
・フライパンの蓋の開け閉めを一人でできるようになった
・火を通している間にテーブルを拭くなど食卓の準備をできるようになった
・料理をしながらゴミを捨てるようになった
・お皿に盛り付けて運んでくれるようになった
など、あげればたくさん出てきます。
どんな小さなことでも良いので、「できたこと」を見つけていきましょう!
・落ち着きがないから心配…
・散らかる
・作業が雑で口を出したくなりそう
など、思うことはいろいろありますが、お子さんを見守りながら必要最低限のことだけの手助けで「自分でできた」という達成感を味合わせてあげてください。この「自分でできた」という気持ちが大切です!
また、料理ができることは将来の自立の一歩にもつながりますので、ぜひ子どもに身につけさせたいことの1つですよね。何も、最初から最後まできっちりやり通さなくても良いと思います。
我が家では「何か手伝いない?」と言われたら、その時できそうなことを手伝ってもらうこともあります。
子どものやる気は力を伸ばすチャンスです。ですから、そのチャンスを逃さず息子の気持ちが向いた時にはいろいろなことにチャレンジしてもらっています。
そして、いつか夕飯すべてを任せられる日がくることを楽しみに見守りながら、息子の少しずつの成長を待とうと思っています。
このように、楽しみをもって子どもが待つことを少しずつ身につけていけるといいのではないでしょうか。
➀無理強いしないをしないで本人がやりたいと思った時
➁感謝の言葉
この2つのポイントを意識してお母さん自身が焦らず心にゆとりをもってお子さんの成長を楽しんでいけたらいいのではないかと思います。
「やってみたい」から「できた」の成功が自信につながったことで、怒りっぽかった息子は少しずつ自分の怒りの気持ちのコントロールもできるようになっていきました。
自信が心の安定にもつながっていく。これが発コミュによる好循環の成長です。こちらの記事で息子の成長を紹介していますので良かったら読んでください。
執筆者:さとうみな
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)