平日の朝はどの家庭もバタバタですよね。 特に発達障害や自閉症の幼児さんは色々こだわりがあって、行動が遅いことがあります。 進級・進学を控えている今、不安になっていませんか? ママの声かけで朝スムーズに行動できるようになる秘訣をお伝えします!
【目次】
1.毎朝、発達障害や自閉症の幼児さんの行動が遅いことに困っていませんか?
2.ママの声かけを 「聞いて、動く」脳のパイプとは?
3.これがあれば大丈夫!「聞いて、動く」脳のパイプの作り方
①肯定的な注目を増やすこと
②脳に届く指示の出し方
1.毎朝、発達障害や自閉症の幼児さんの行動が遅いことに困っていませんか?
私の娘は自閉症スペクトラムで、現在9歳、支援学級に通う小学3年生です(以下、自閉っ子と呼びます)。
知的障害もあり、IQは50ないくらいなので、4、5歳の知能ですが、今では自分で着替えをしたり、身の回りのことは自分でできるようになりました。
しかし、保育園の頃は、
「着替えよう!」「ヤダー!」
「靴をはこう!」「ぎゃーー!」
のように、自分のこだわりを通そうとするので、朝の行動が遅くなり、とっても困っていました。
4月は進級・進学の時期です。 春から朝の生活リズムが変わるという方も多いのではないでしょうか?
自分のこだわりが多い発達障害や自閉症の子どもは、新しい環境に人一倍不安が強まり、 いつもできていたことさえもできなくなることがあります。
ママが「このズボンはこうね!」と言うと、自閉っ子が「はーい!」と素直に動いてくれたら?
夢のような話に思うかもしれませんが、大丈夫です。ちゃんとできるようになりますよ!
ポイントは、ママの声かけを「聞いて、動く」という『脳のパイプ』を作ることです!
2.ママの声かけを「聞いて、動く」脳のパイプとは?
「脳のパイプって何?」と思ったあなた、これから詳しくお話していきますね。
「着替えよう!」「はーい!」
「靴はこう!」 「はーい!」
このように、ママの声かけを素直にスッと聞き入れて、動く。 この一連流れを『脳のパイプ』と表現します。
この『脳のパイプ』は、毎日の親子のコミュニケーションを通して作られます。
もし今、
「着替えよう!」「ヤダー!」
「靴を履こう!」「ぎゃーー!!」
といったやりとりがあるのであれば、 ママから何かしようと言われると、泣く、拒否する、怒るといったネガティブな脳のパイプができてしまっている可能性があります。
自閉っ子がママの声かけを聞いてスッと動けるようになるためには、 脳のパイプを「はーい!!」と素直に聞けるほうに作る必要があります。
つまり、ママの声かけを「聞いて、動く」というポジティブな脳のパイプを作る、 これに尽きるのです!
では、この脳のパイプはどのようにして作るのでしょうか?
3. これがあれば大丈夫!「聞いて、動く」脳のパイプの作り方
脳のパイプは親子のコミュニケーションを通して作ることができます。 ポイントは2つ、「肯定的な注目を増やすこと」と「脳の届く指示の出し方」です。
◆①肯定的な注目を増やすこと
ここで大事なことは、「肯定的な注目」を「否定的な注目」よりも増やすことです。
不等式で表現すると、
肯定的な注目>否定的な注目 となります。
そして、「肯定的な注目」を増やすためには、 まずは「こだわりを否定しない」ということが大事になります。
自閉っ子の場合、色んなこだわりを持っていることがありますよね。
例えば、冬でも「短パンがいい」とか「ジャンパーは着ない」など。 ママが笑顔で「長ズボン嫌なんだね。」と否定せず肯定していきます!
本人が「履きたくない!」と言うのであれば「履きたくないんだね」「そう感じるんだね!」「痛いんだね。」と共感してください。
「今日は寒いでしょう!」とか「風邪ひいちゃうでしょう!」と大人の意見を言うのは止めてくださいね。これは否定的な注目になってしまいます。
最初の1ヶ月はとにかくこだわりを否定しない!共感し肯定する。これをベースに過ごし、もしできるようになったら全力で褒める、これを続けます。
「肯定的な注目」を続けることで、子どもの脳が安定していき、ママの声かけを聞ける状態になるのです。「聞いて、動く」の「聞いて」ができる状態になるのです。
◆②脳に届く指示の出し方
以前よりも素直に聞き入れてくれるようになったなぁと思ったら、指示を入れてみましょう。ここで大事なことは、笑顔で伝えるということです。
例えば、笑顔で「今日はこのズボン履こう!」とお子さんと伝えてみてください。
もし「いいよ!」と言って履けたら「かっこいいね!」「嬉しいな!」と満面の笑みで褒め言葉をかけ、一緒に履いたり、近くで履くのを見届けてさらに褒めてください。
「履いた」という行動を褒められると、自閉っ子の脳に「できた!」や「これっていいことなんだ!」という記憶が結びつきやすくなります。
これが、「聞いて、動く」脳のパイプの「動く」を作り、定着させることにつながるのです。
もし、ママの言うことをまだ聞き入れてくれないなぁと思うようであれば、肯定的な関わりができているかチェックしてください。
まだこだわりに対して否定的になってしまっていると感じるようであれば、こだわってしまう場面も笑顔で受け止めて、「否定しないで肯定する」を続けてくださいね。
こうして、私が笑顔で「肯定すること」と「脳の届く指示の出し方」を続けていくと、娘は驚くほど素直になり、自分の身の回りのことをやるようになりました!
自ら手を洗うようになったり、嫌がっていた長ズボンも履けるようになり、朝の行動がスムーズに進むようになりました。
約2ヶ月で、娘に「聞いて、動く」脳のパイプができあがったのです。
ここまで、我が家の自閉っ子を例にお話ししてきましたが、「聞いて、動く」脳のパイプは、 自閉症の子どもだけでなく、発達障害や定型発達の子どもにも効果があります。
また、幼児さんだけでなく、小学生や思春期のお子さんでも作れます。
これが親子のコミュニケーションで作れるなんて素敵だと思いませんか?
「聞いて、動く」脳のパイプを作って、毎日の子育てをもっと楽しくしていきましょう!
自閉症の子どもの困り事を解決するヒントがまだまだたくさんあります!
執筆者:今川ホルン
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)