ゲームで負けるとすぐに泣く、思うように出来ないと怒る!そんなお子さんの態度に心配になったり嫌気がさしたりしていませんか。そんなお子さんが楽しくゲームと付き合えるようになるママのサポート術をご紹介します。
1.ゲームで負けるとすぐに泣く!怒る!やめさせるべきか悩むママへ
ゲームで負けるとすぐに泣く、 自分が思うようなプレイができないと怒りだす、 そんなお子さんへの対応に困っていませんか?
こんなにすぐ泣いたり怒ったりするくらいなら、ゲームはやめさせた方がいいのでは?と迷っているママもいるのではないでしょうか。
すぐに泣いたり怒ったりするのはゲームのせいではありません。
悔しい気持ちをどうコントロールしていいか分からないからなのです。
お子さんに寄り添い、発達に合わせた対応をすることで、子どももママも楽しく、気持ちよくゲームと付き合うことができますよ。
2.ゲームが上手くできないとすぐに怒る5歳の息子
我が家の5歳の息子は負けず嫌いです。
じゃんけんやトランプ、かるたなどの対戦形式のゲームで自分が負けそうだとわかると、途端にやる気をなくして、
ふざけたり、「や~めた!」と一方的にゲームを終わらせたりすることがありました。
3~4歳のころはそのようにゲームを放棄するだけで、泣いたり怒ったりまではありませんでした。
しかし5歳を過ぎて徐々にゲーム機でも遊ぶようになったころから、
負けたり自分の思うようなプレイが出来ないと「ああ!」と大きな声を出してじだんだを踏んだり、
泣いたりクッションを投げたりして、怒りを爆発させるようになりました。
そんな状態の時に私が声をかけようものなら、
「キャー!!もう!ママがやっといて!」とあからさまな八つ当たりをしたり、
私を叩いたり蹴ったりすることも。
そんな息子の態度にイラっとした私は、 「そんなに怒るなら、ゲームなんてしなきゃいいじゃん!」と息子を突き放して、むなしい親子喧嘩に発展していたのです。
まだ息子にはゲームは早かったのかな…とゲーム機を与えてしまったことを後悔していました。
しかし今更ゲーム機を取り上げても問題の解決にはならないし、
泣いていない時のゲームをする時間は、本人にとっても楽しい時間であり、親子のコミュニケーションの時間でもありました。
どうしたら泣いたり癇癪を起こしたりせずに楽しくゲームを出来るのだろうか、
負けるとすぐに泣く息子に、一体どう接したらいいのだろうかと悩んでいました。
3.どうしてすぐに泣いたり怒ったりするの?
5歳ごろになると、言語能力が成長し、大人の言うことを理解したり自分のやりたいことや気持ちを言葉に出来るようになってきます。
また、自我も発達し、自分のこうしたいという気持ちも大きくなってきます。
しかし、そうは言ってもまだ5歳です。
ゲームで勝ちたい!こういうプレイをしたい!というイメージはあるものの、その通りに出来ないこともたくさんあります。
そして、気持ちを整理したり、言葉にしたりする脳の分野もまだまだ発達途中。
だから、やりたいようにできない、負けそうだという事実を目の前にして、
ストレスやイライラを感じた時に、その気持ちをどうコントロールしたらよいのか分からないのです。
どう伝えたらいいのかわからない、どう収めたらいいかわからないから、イライラが爆発して泣く、怒るという行動に繋がるわけです。
また、発達障害グレーゾーンの子どもの場合は、ネガティブな記憶をためやすいという特性から勝ちにこだわるケースもあります。
過去の負けた経験から、負けは「ダメなこと」「かっこ悪いこと」などとネガティブな記憶が強く残っていて、負けを受け入れられません。
そのため、「負けるかも…」と思ったときに不安が強くなり、負けたくない、負けを認められないという気持ちから、
泣き出したり、自ら途中でゲームをやめてしまうわけです。
つまり、やりたいように出来ない時、負けそうな時に、どのようにふるまったり、自分の気持ちをどう切り替えたらいいかわからないから感情が爆発するわけですよね。
それなら、大人が気持ちをコントロールする方法をサポートしてあげればいいということです。
ではどのように接したら良いのでしょうか?
4.子どもとゲームを楽しむために、ママが今すぐできるサポート術
子どもが自分の気持ちをコントロール出来るようになるおススメの対応を3つご紹介します。
①ひたすら勝たせる
まずは本人が勝ちに満足し、飽きるまでひたすら勝たせることです!
トランプでもかるたでもゲームソフトでも出来る限り、とにかく子どもを勝たせてあげましょう。
その際に
「さっき、ママが何のカードを持ってるか考えてカード出したの?」
「すごく集中してやっていたね」
という風に勝ったこと以外にも褒めポイントを伝えてあげると本人も勝敗以外のことを大切にできるようになっていきます。
そして、パパやママが負けた時には
「あー、負けちゃった。まいっか、もう一回やろう!」
「悔しい!○○君、すごい強かったね」
などと勝てなかった時の姿を見せましょう。
そうすることで勝てなかった時に、
「悔しくても良いんだ。」
「そっか、次は勝てるように頑張ればいいんだ!」
と勝てなかった時の気持ちを受け入れて次にどうするかを学びます。
②癇癪が起きてしまった時は「待つ」
子どもがやるゲームは対戦系のゲームばかりではありませんよね。
ママが勝たせてあげられないゲームなどで、自分が思うようにプレイできなくて泣いたり癇癪を起こしたりしちゃうこともあると思います。
このような時にママが何か声をかけても、子どもの脳は感情を表現することに全力を注いでいるので、
「ママが言っていることを理解する」ということを追加で行うのは難しいことなのです。
特にママや家族が大声で叱るなどの否定的な態度で接すると、子どもは分かってもらえないと感じ、さらに癇癪がヒートアップしてしまいます。
ですから、感情が爆発している時は、とにかく『少し落ち着くまで待つ』ことが必要です。
ママは家事など自分のことに集中して、癇癪には反応しないようにしましょう。
③「次はどうしたらいいか」を一緒に考える
少し落ち着いて話ができるようになったら、ようやく声をかけましょう。
「あそこ行けなかったの、悔しいね!どうしたら行けるかな?」
「〇〇したいね!さっき出来てた時は、タイミングがもう少し速かったんじゃない?」
などと子どもの気持ちに共感しつつ、さらに次はどうすればいいか作戦会議をしてあげましょう。
ママが気持ちを受け止めてあげることで、子どもは分かってもらえたと安心します。
さらに、次にどうしたら良いかをママが質問してあげることで、悔しい!という気持ちを次の一手を考える方へシフトしてあげることができます。
このようなコミュニケーションを心がけたところ、ゲームで思うように出来なくてすぐに泣いたり怒ったりしていた息子が、
出来なかったときは「ああ!ダメだった!もうちょっと前でやってみよう!!」とすぐに気持ちを受け止めて切り替え、行動できるようになったり、
「ここは2人の方がいいから、ママ一緒にやってくれる?」と素直にお願いできるようになりました。
ゲームは楽しむためにあります。
脳は楽しいと感じるときに成長しますから、ぜひゲームとうまく付き合って、楽しみながらお子さんのサポートをしてあげられるといいですね。
執筆者: よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション リサーチャー