せっかく行った遊園地や体験施設で「やめとく」と言って挑戦しない子ども。この記事では、不安をそのまま受け止め、安心を先に手渡す関わりによって「やってみようかな」が少しずつ増えていった私の息子の成長をお伝えします。
1.「やめとく」ばかりで、挑戦しない子どもに不安を感じていませんか?
せっかく遊園地や体験施設に連れて行ったのに、いざとなると「やっぱりやめとく」と言って動けなくなってしまう。
そんな姿を見るたびに「どうしてうちの子は、こんなに怖がりなんだろう」と感じたことはありませんか?
周りの子が楽しそうに挑戦している姿を見て、比べてはいけないと思いながらも、心のどこかで焦ってしまう。
「このままで、将来大丈夫なんだろうか」
そんな不安を感じてしまうかもしれません。
でも実は、何事にも消極的で「やめとく」が口ぐせだった子どもが、ママの関わり方次第で、少しずつ「やってみようかな」と言うようになることがあります。
この記事では、挑戦を怖がっていたわが子に起きた小さな変化と、子どもの不安を消そうとしないママの関わりについてお伝えします。

2.せっかく連れて行ったのに挑戦しない子ども
私の息子は、「やめておく」「怖い」「今度にする」が口ぐせで、挑戦を怖がる子どもでした。
小さい頃は、色々なところへ連れて行って「半ば強引にやらせる」ことができていました。
しかし、小学生になって学年が進むにしたがって、息子は私の思うようには動かなくなっていきました。
せっかく大きな公園に連れて行っても「今日はやめとく」と言って、何もせずに帰ってくることもありました。
「やってごらん」「楽しそうだよ」などと声をかけても、首を振り、固まってしまう息子。
今思えば私は、息子の「やりたくない理由」には目を向けず「どうしたらやれるか」ばかりを考えていました。
私はだんだんと「どうしてできないの?」という気持ちを息子に向けてしまっていたのです。

3.「やめとく」という言葉の裏にかくれていた本当の気持ち
そんな時、私は発達科学コミュニケーションを学ぶ中で、ある大切なことを学びました。
それは「不安を消そうとしない」ということです。
当時の私は、息子が挑戦しない理由を
「やる気がないのでは」
「怖がりすぎなのでは」
と、どこかで捉えていました。
そして、やらせようとする声かけばかりをしていました。
けれど実際には、息子は「やりたくない」のではなく、不安が強すぎて体が動かない状態だったのです。
自閉スペクトラム症(ASD)の特性をもつ子どもの中には、初めての場所や体験に対して、人一倍強い不安を感じる子がいます。
不安を感じやすい子が新しいことに挑戦する場面では、私たち大人が想像する以上に「心と体に大きな負荷がかかっている」ということでもあります。
そんな状態のときに「やってみよう」「楽しそうだよ」と声をかけられると、子どもはより緊張してしまいます。
周りは応援の言葉のつもりでも、本人にとってはプレッシャーとなってしまうこともあります。
また「みんなやってるよ」と、人と比べられる言葉をかけられると、「挑戦できない自分はダメなんだ」という受け取りにつながりやすく、挑戦そのものをより怖いものにしてしまいます。
息子の「やめとく」という短い言葉の中には、
「本当はやってみたい。でも怖くて今は無理」
という気持ちが隠れていたのではないか。
そう考えるようになりました。
私は、息子を動かすための声かけを一生懸命していましたが、それは結果的に、息子の不安を無視してしまっていたのかもしれません。
大切だったのは、不安を消そうとすることでも、乗り越えさせようとすることでもありませんでした。
息子が感じている不安を受けとめ、安心を先に手渡すことでした。
子どもが動けるかどうかは、気持ちが整ってからの話だったのです。

4.不安をそのまま受け止め、安心を手渡す関わり
子どもの発達の特性や感じ方を学んだことで、私の関わりには大きく分けて3つの変化がありました。
① 不安をそのまま受け止める
これまでの私は、挑戦しない息子に
「怖くないよ」
「みんなやってるから大丈夫だよ」
などと、不安を消そうとする言葉をかけていました。
しかし学んだことで、私の言葉は
「初めてだと、緊張するよね」
「ママも最初はドキドキしたなぁ」
「最初は心配だよね」
こんなふうに、息子の不安を先に受けとめるものに変わっていました。
不安を受けとめてもらえると、息子は「怖い」という感情を自分で認めることができ「ママもそう思っているんだ」と少しずつ落ち着いていきました。
② やめられる安心を手渡す
「もし無理そうだったら、やめても大丈夫だよ」
「途中でやめたくなったら、やめてもいいんだよ」
こんなふうに、挑戦した先の「やめる」という選択肢を示すようにしました。
「挑戦したら、最後までやらないといけない」というプレッシャーをなくすように、あえて言葉にして伝えるようにしました。
まずは「やってみる」という一歩を踏み出せるようにしました。
③ ママも一緒にやってみる
「ママも一緒にやってみるよ」
「一緒に行ってみる?」
こんなふうに、「ママも一緒だよ」という安心を手渡すことをしました。
これまでの私は、自分はやらずに見ているだけで、息子一人に挑戦させることが多かったように思います。
しかしこれでは、不安な息子が一人で挑戦しなくてはいけない状況となり、より一層不安を大きくしてしまいます。
ママが「一緒にやる」というのは「不安の中に1人で立たせない」という意味でした。

5.「やってみたい」が増えた子ども
そのような関わりを何カ月も続けていくうちに、少しずつですが、息子の「やめとく」という言葉が減ってきたことに気づきました。
代わりに、「やってみようかな」「怖いけど、大丈夫かな?ママも一緒にやる?」と言うような言葉が増えてきたのです。
不安を受け取ってもらえ、安心を手渡された息子は、無理に動かさなくても少しずつ自分から動けるようになっていきました。
今では、初めてのアトラクションや体験でも、息子が「やってみたい」と感じたときには、自分から一歩踏み出そうとする姿が見られるようになってきました。
子どもにとっては全てが初めての体験で、不安を感じるのは当然のことです。
子どもを動かそうとするのではなく、安心できる土台を整えることで、その子本来の「やってみたい」が少しずつ顔を出してくるのだと感じています。

\“どう関わればいいか迷う”ママへ/
「待つ?手伝う?」と悩みやすい場面での関わり方を
不安が強い子が「自分でやる」を少しずつ増やしていく
視点と具体的な声かけにまとめました。
執筆者:三谷 のぞみ
発達科学コミュニケーション アンバサダー




