「お出かけ行く!」と言ったのに当日「行きたくない」…それでも子どもが動けた理由

階段を走る子ども
お出かけの当日に「やっぱり行きたくない」。それは嘘ではなく、不安が膨らんでいるサインかもしれません。子どもが不安があっても、自分で動けるようになる関わり方を実体験からお伝えします。
 
 

1.「行くって言ったじゃん!」に振り回される母

 
 
楽しみにしていたお出かけの直前、「やっぱり行きたくない」の一言。
 
 
「え?行くって言ってたじゃん!」と言いたくなるのは当然です。
 
 
しかも、これが一度ではない。
 
 
準備してきた時間や気持ちを思うと、ツラいを通り越して「またか…」と呆れてしまいますよね。
 
 
私も以前は、心の中で「行く行く詐欺か…」と思っていました
 
 
でも、子どもの様子を見ているうちに、少し見え方が変わってきました。
 
 
「行きたくない」の裏には、どんな気持ちが隠れているんだろう。
 
 
そこを考えるようになりました。
 
 
この記事では、お出かけに「行く!」と言ったのに当日「やっぱり行きたくない」と言う不安が強い子どもが、不安があっても動けるようになった関わり方をお伝えします。
 
 
考える女性
 
 

2.お出かけに「行きたくない」の裏で、子どもの頭の中に起きていること

 
 
今回は、以前から楽しみにしていた我が家のサッカー観戦の時のことをお話します。
 
 
サッカーをしている子どもにとって、プロ選手のプレーを見られるいい機会だと思って誘ってみると、「行きたい!」と言いました。
 
 
久しぶりのお出かけに私もワクワクしながらチケットを取って、準備も整えていました。
 
 
ところが、当日になると「やっぱり行きたくないな」と言い出しました。
 
 
「きたー!」と思いましたが、「なんで行かないの?」ではなく「この言葉の裏で何が起きているんだろう?」と考えるようにしました。
 
 
発達特性のある子どもにとって、見通しの持てないことは大きな不安につながります
 
 
頭の中では、こんな声が渦巻いていたりします。
 
 
「何分で着くの?遠い?」
「トイレある?」
「音でかいのやだ」
「酔っちゃうかも」
 
 
計画段階では、「楽しそう!」という気持ちが前にあります。
 
 
でも当日になると、現実味が一気に増します。
 
 
すると、「そういえばこれはどうなんだろう?」「あれは大丈夫かな?」と、不安も一緒に膨らんでいきます。
 
 
つまり、「行きたい」が嘘だったわけではなく、「行きたい気持ち」と「不安」が同時に存在しているのです。
 
 
?と悩んでいる男の子
 
 

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3.「どうしたら行けそう?」子どもと作戦会議をしてみた

 
 
では、どうしたらいいのでしょうか。
 
 
よくある対応としては、見通しを伝えることがあります。
 
 
「今日は何時に出て、車で40分くらいで着くよ。まず席を確認して、ご飯を食べて、それから試合が始まるよ。」というようにお出かけの流れを説明したり、事前に写真や動画を見せたりする方法です。
 
 
それに加えて、今回我が家で特に効いたのは、「どうしたら行けそうか?」を子どもと一緒に考えたことでした。
 
 
子どもにとって特に不安が大きかったのは、「会場の音」
 
 
スタジアムには2万人近い人が集まり、大応援団もいます。
 
 
テレビでは見たことがあっても、実際に耳や胸に響く音は未経験です。
 
 
本人の中でも、「大きい音」が引っかかっていたようでした。
 
 
そこで、「もし辛くなったら途中で帰ってもいいよ」と話した上で、一緒にどうするかを考えました。
 
 
すると、しばらく考えていた子どもが、「そうだ!ママのイヤホン持って行って、うるさかったら音楽聞けばいいんだ!」と言ったのです。
 
 
私はこの時、「自分で対処法を考え始めてるんだ」と感じました。
 
 
不安をゼロにできたわけではありません。
 
 
でも、「不安がある時、自分はどうするか」を子ども自身が考え始めていました
 
 
会話をしている親子
 
 

4.不安が消えたわけじゃない。それでも会場へ向かった息子

 
 
当日、会場に向かう途中、スタジアムに近づくにつれて音もどんどん大きくなっていきました。
 
 
子どもの顔も少し緊張しているようでした。
 
 
そして、子どもの手には「怖かったら使う」と自分で決めたイヤホンがありました。
 
 
「もし怖くなっても、自分にはこうする方法がある」と思えることが、子どもにとってのお守りのようになっていたのかもしれません。
 
 
まずは席に向かいました。
 
 
フォトスポットやグッズ販売などもありましたが、あちこち寄り道をすると疲れてしまうタイプなので、目的地に行くことを優先しました。
 
 
席について好きなジュースを飲むと、少しホッとした様子でした。
 
 
「ここが自分の場所」と分かることも安心につながったようです。
 
 
そして試合が始まると、選手の動きを真剣に見ながら、大人と同じように喜んだり悔しがったりしていました。
 
 
前半が終わって「後半もあるけどどうする?」と聞くと、「まだ見てく!」と力強い返事。
 
 
結局、90分間観戦することができました。
 
 
気になっていた「大きな音」ですが、ゴールが決まった時の歓声や音楽の中でも、イヤホンを使うことはありませんでした。
 
 
正直、以前の私なら「ほら、使わなかったじゃん。大丈夫だったでしょ」と言っていたと思います。
 
 
でも今は、使わなかったことより、自分で「これがあれば大丈夫」と決めて持っていけたことの方が、ずっと大事だと感じています。
 
 
サッカースタジアム
 
 

5.「行きたくない」を説得するより、先に見たいこと

 
 
お出かけに行くと言ったのに行きたくない。
 
 
そのたびに振り回されているように感じるお母さんも多いと思います。
 
 
私は最近、「行きたくない」をすぐに説得するよりも、「何が不安なんだろう?」を一緒に見ていくことが大事だと感じています。
 
 
不安を全部なくしてあげることはできません。
 
 
でも、「不安がある時、自分でどうするか」を少しずつ考えられるようになると、子どもは「不安があっても動ける」に変わっていきます
 
 
今回のイヤホンもその小さな一歩だったのだと思います。
 
 
階段を走る子ども
 
 

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執筆者:渡辺 さくら
発達科学コミュニケーション アンバサダー
 
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