好き嫌いが多い子は発達障害なの?と不安なママへ。偏食の背景にある感覚過敏や不安に目を向け、夏休みにできる「安心して挑戦する力」を育てるお家療育を実体験と専門家視点で紹介します。
1.「好き嫌い」「発達障害」そう検索したママへ
「野菜は絶対に食べない。」
「白いご飯やパンしか食べてくれない。」
「初めて見る料理には、一口も手をつけない。」
そんな我が子を見て、「もしかして発達障害なのかな」と不安になったことはありませんか?
保育園や学校の先生、ご家族から「一度、発達外来に相談してみたら?」と勧められ、ただの好き嫌いではないのかもしれないと心配しているママもいるでしょう。
確かに、発達障害のある子どもには、感覚過敏やこだわり、不安の強さなどが影響し、偏食が見られることがあります。
しかし、偏食を改善するために一番大切なのは、発達障害かどうかを判断することではありません。
大切なのは、「この子は何に困っているのだろう?」と、食べられない理由に目を向けることです。
この記事では、お家療育シリーズ第5弾として、生徒さんの体験談を交えながら、好き嫌いが多い子どもの背景と、夏休みに家庭でできる「安心して挑戦する力」を育てる関わり方をご紹介します。

2.「一口だけ食べて」が親子を苦しめていました
ある生徒さんの体験談をご紹介します。
Eさんのお子さんは、小さい頃から好き嫌いが多く、野菜や初めて見る料理には、ほとんど手をつけませんでした。
栄養が心配だったEさんは
「一口だけ食べてみよう。」「食べないと大きくなれないよ。」と、毎日のように声をかけていました。
「一口だけ食べてみよう。」「食べないと大きくなれないよ。」と、毎日のように声をかけていました。
けれど、食べさせようとするほど、お子さんは食事の時間を嫌がるようになり、食卓には重たい空気が流れるようになりました。
Eさんも「私の育て方が悪かったのかな」と、自分を責めていたそうです。
そんな時、発達科学コミュニケーションを学び、お子さんは食べたくないのではなく、新しい食べ物に挑戦することに不安を感じているのだと気づきました。
そこで、「一口食べよう」と勧めることよりも、一緒に料理をしたり、食べ物に楽しく触れたりする時間を増やしていきました。
すると、自分で「作ってみたい」と選んだ料理なら、苦手な食材が入っていても、少しずつ挑戦できるようになったのです。
家族から「おいしいね」「作ってくれてありがとう」と言われるたびに、お子さんの表情も明るくなりました。
Eさんはこの経験から、子どもに必要だったのは、食べさせることではなく、安心して挑戦できる経験を重ねることだったと実感したそうです。
3.発達障害かどうかより、「何に困っているのか」を見つけよう
偏食の背景には、さまざまな理由があります。
例えば、
- 食感やにおいが苦手
- いつもの食べ物以外を受け入れにくい
- 初めての味に強い不安を感じる
- 過去にえずいたり、無理に食べさせられたりした経験が残っている
といったものです。
これらは発達障害のある子に見られやすい特徴ですが、診断の有無だけでは、目の前の子どもの困りごとは分かりません。
同じ「食べられない」という行動でも、その理由は一人ひとり違います。
脳には、危険を感じると自分を守ろうとする働きがあります。
「この食べ物は怖い」「また嫌な思いをするかもしれない」と感じると、脳はその食べ物を避けようとします。
これは、わがままではなく、子どもなりに自分を守ろうとしている反応なのです。
反対に、
「無理に食べなくてもいい。」
「失敗しても大丈夫。」
「ここなら安心できる。」
と感じられると、子どもは少しずつ新しいことに挑戦しやすくなります。
安心できるからこそ、
「触ってみようかな。」
「においをかいでみようかな。」
「一口なら食べてみようかな。」
という小さな一歩が生まれるのです。
偏食を改善する近道は、無理に食べさせることではありません。
子どもが何に困っているのかを知り、安心して挑戦できる環境を整えることです。

4.夏休みにできる|安心して挑戦する力を育てるお家療育5選
夏休みは、お家で食事をする回数が増えます。
「この夏こそ、食べられる物を増やしたい」と考えるよりも、まずは食事を「楽しい時間」に変えていきましょう。
① 子どもが作りたい料理を一緒に作る
ある生徒さんのご家庭では、YouTubeを見ながら、「作ってみたい」と選んだ料理を一緒に作りました。
自分で準備した料理は、苦手な食材が入っていても、挑戦できることが増えていったそうです。
食べられたかどうかより、「一緒に作れて楽しかったね」と、料理に関われたことを喜びましょう。
② 「苦手」より「楽しい」を探す
混ぜること、型抜き、盛り付け、好きなキャラクターの食器など、子どもが楽しいと感じることを観察してみましょう。
苦手を克服させるより、食べ物と楽しく関われる入り口を見つけることが大切です。
③ 栄養より、安心できる食卓を優先する
他の生徒さんのご家庭では、朝は食べられる物を中心に出すようにしたそうです。
献立に悩む時間が減り、ママ自身にも余裕が生まれたとおっしゃっていました。
毎食完璧な栄養を目指すより、親子で「今日も楽しかったね」と言える食卓をつくることが、食事への安心感につながります。
④ ママも一緒に「おいしいね」を楽しむ
「食べなさい」と勧めるのではなく、親が笑顔で食事を楽しむ姿を見せましょう。
実際に私の息子の場合、「バナナと一緒に食べるとおいしいよ」と会話を楽しむうちに、パンケーキだけだった朝食に、果物や味噌汁が加わるようになりました。
親の笑顔は、食べることへのポジティブなイメージを育てます。
⑤ 「食べられた」より「挑戦できた」を認める
食材を見られた。
触れられた。
料理を手伝えた。
一口だけ挑戦できた。
どれも大切な一歩です。
結果ではなく、挑戦した過程を認めることで、「またやってみよう」という気持ちが育ちます。

5.目指すのは、好き嫌いのない子ではありません
子どもの偏食が続くと、栄養や将来が心配になりますよね。
その不安から、「一口だけ」と頑張らせたくなるのも、親として自然なことです。
けれど、お家療育で目指したいのは、好き嫌いのない子を育てることではありません。
発達障害かどうかよりも、「この子は何に困っているのだろう?」という視点で子どもを見ること。
そして、安心できる環境の中で、小さな挑戦を積み重ねられるように支えていくことです。
この夏休みは、「今日は食べられた?」ではなく
「今日はどんなことに挑戦できた?」という視点で、お子さんを見守ってみてください。
一緒に料理をしたこと。
苦手な食材に触れたこと。
笑顔で食卓を囲めたこと。
その一つひとつが、「安心して挑戦する力」を育てる立派なお家療育になります。
夏休みは、普段よりも親子でゆっくり過ごせる貴重な時間です。
食べられたかどうかという結果だけに目を向けるのではなく、子どもの「やってみよう」という気持ちを大切にしながら、親子で楽しい食卓をつくっていけるといいですね。





