朝の親子バトルがなくなるには、子どもが朝の支度を自分ですることが課題になりますよね。そのためには時間を見て行動する時間の感覚が必要になります。どうしたらASDグレーゾーンの子どものやる気を引き起こすことができるのか?わが家での取り組みを紹介させていただきます。
1.朝の親子バトルが引き金で登校しぶりを繰り返す毎日
ただでさえ慌ただしい朝だから、言われなくても自分で行動してほしい…。
お着替えや歯磨きくらいできるでしょ?とイライラした朝を過ごしているお母さんは多いですよね。
わが家も同じような状況でした。
わが家の息子は自閉スペクトラム症(ASD)グレーゾーンの子どもで、不安傾向が強くママから離れることがなかなかできません。
朝ごはん、歯磨き、お着替え、を一人でこなすなんていつになったらできるのか…。先が見えない状態でした。
「早くして!」
「時間ないよ!」
「間に合わないよ!」
口を開けば、小言ばかりの毎日。
そのせいで息子は癇癪を起こしてしまい、朝から親子バトルに発展してしまうこともしばしば。
何とか支度をしたと思ったら、親子バトルのせいもあって気分はダダ下がり…。
「学校へ行きたくない…」
と言い出してしまうこともよくありました。お陰で何度もの登校しぶりを経験しています。
そんな時、発達科学コミュニケーションを学ぶことで朝の支度が進まないのには理由があるということが分かったのです!
2.ASDグレーゾーンの子どもが、朝の支度がスムーズにできない理由
ASDグレーゾーンの子どもが朝の支度をスムーズにできないのには次のような理由が考えられます。
◆情報を整理する力が弱い
ASDグレーゾーンの子どもは、不安傾向が強い子が多いようです。
「あんなこと・こんなこと」を無意識に考えてしまい、頭の中にはたくさんの情報が溢れており、その情報を整理することが難しいのです。
そんな状態でお母さんがアレコレ言って指示を出しても、子どもの脳にはお母さんの声は届きません。
ましてや楽しい・ワクワクするようなことでもなければ、そのような情報をキャッチすることは余計に難しいのです。
◆優先順位をつけられない
脳の発達がまだ未熟な状態にあるASDグレーゾーンの子どもたちは、一時的に記憶を保持する容量が少ない傾向にあり、情報を組み立てることが苦手で、優先順位をつけられません。
そのため、時間感覚が希薄なため、朝やらなければいけないことを時間通りに遂行できないのです。
◆こだわりの強さ
ASDグレーゾーンの特性の一つ『こだわり』は不安の強さから生まれることがあり、自分のルールややり方に執着してしまいます。
自分の思考・行動パターンから他の思考・行動への切り替えが苦手です。
つまりこれらをまとめると、ASDグレーゾーンの子どもは「見通しを立てることが苦手」だということが分かります。
また、どのような子どもにも言えることのなのですが、
「早くしなさい!」
「時計を見なさい!」
と、言ってもそれは伝わらない!ということです。
なぜならば、時間は目に見えて分かるものではないので、いくら子どもに「早く」とか「もっと急いで」と言っても何をどうしたらいいのかが伝わりません。
例えば、広さや量などは目に見えて分かりますよね?手などを使ってこれくらい広くて大きくて、とは伝えられます。
量も実際に手に取って見せたりすることができますが、時間はどうやっても見せることができないので子どもには伝えるのが難しいですし、子どもも時間を理解するのは難しいのです。
なので、経験を通して時間感覚を身につけていく必要があります。
ただし、この時間感覚は小学校に入学してから一般的には身についていくと言われており、だいたい9~10歳頃からハッキリ分かってくるそうです。
なので未就学児のお子さんをお持ちのお母さんは無理に時間を読ませようとする必要ありません。
また小学生以上のお子さんをお持ちのお母さんは少しずつ学校で慣れてくるので、焦らずにできるように待つことも大切です。
それらを踏まえて、わが家で時間を意識し、段取りよく行動するために工夫したことをお伝えしていきますね!
3.ASDグレーゾーンの子どもが時間感覚を身につけ、ダンドリよく動くための工夫
先ず私が注目したことは、子どもの「好きなこと」と「心の整え方」に注目しました。
それは、ASDグレーゾーンの子どもは、不安を多く抱えているので、朝から少しでも心を和らげることができ、その中で時間感覚をうまく身につけてもらいたいというのが狙いでした。
わが家の息子の場合は、ゲームとYouTubeとテレビが好きだったので、それをうまく使おうと決めました。
◆①脳を覚醒させる活動を決める
子どもによって様々ですが、子どもの好きな活動を入れることで脳が覚醒します。
わが家の場合はゲームとYouTubeとテレビだったのでその活動時間を朝に取り入れることにしました。
・何時から何時までどんな活動をするか決める
・その時間のなかで、なにをするかを決める
わが家の場合…
6:30~7:10 YouTubeを見ながら朝ごはん・歯磨き
7:10~7:20 好きなテレビ番組を見ながらお着替え
7:20~7:50 ゲームをしながら心を整える
親子で話し合い、このようなスケジュールを組むことにしました。
息子は今まではゲームなどを朝からすると小言を言われていたのですが、それが逆にやってもいい!に変わることで、受け入れてもらったという喜びもあり、この計画に賛成し実行してくれました。
◆②活動のなかで声をかける
ゲームなどはどうしても夢中になり過ぎてしまうので、最初は、お母さんが声をかけてあげます。
「朝ごはんを食べ終えたね。次は7時〇分に、歯磨きをしよう」
「7時〇にお着替えを始めようか!」
と声をかけていきます。
この時のポイントは時計を見せて時間を伝える、ということです。
子どもは時間の感覚がよく分からないので、時計を見せて「この時間になったら〇〇しよう!」と伝えることでだいたいの時間の予測が掴めるようになってきます。
ちゃんと時間を意識して行動できたらすかさず褒めます!
この繰り返しがとても大切です。
こうやって時間との付き合い方に慣れさせていくというのが最初は大事なんです。あくまでも慣れさせる!です。これが次第に積み重なり経験となります。
先にも述べましたが、時間感覚を身につけるのには個人差もあるので、「時間を見て行動できなかったからダメだ…」と思わないようにしましょう。お母さんには気長に待ってもらいたいと思います。
このルーティンを繰り返すことで、ASDグレーゾーンの子どもは見通しを立てることができ、徐々に時間感覚が身につくようになります。
そしてASDの特性でもある不安と向き合うことも、好きなことをすることで心を整えられるようになっていきます。
心の整え方に正解はないのでそれぞれのお子さんにあった方法を見つけられると良いですね!
まずは大人の価値観を捨てて、子どもを見守るスタンスではじめると、脳も子どもも成長しますのでぜひやってみてくださいね!