ちょっと手が当たった、少しぶつかった、「ごめんね」と言えば何てことない場面なのに、「わざとじゃないもん」と言って、謝らない子どもの様子にイラっとしたことってありませんか?「ごめんなさい」が言えず、このまま大きくなっていったらどうしよう?トラブルも起きそうだし、心配ですよね。そんな時に、親がすべきことはたった1つ!シンプルな対応をしていきましょう。
1.「ごめんね」と謝らない子どもたち
友達同士やきょうだいの遊びの中や日常の生活で
✔️ちょっと手が当たってしまった
✔️ちょっとぶつかってしまった
などのトラブルってよくありますよね?
そんな時、お子さんは素直に「ごめんね」って謝ることはできてますか?
お子さんの口から「ごめんね」がなかなか出てこずに、親が謝ることを促しても
「わざとじゃない。自分は悪くない」の一点張りで謝ることができないことにイラっとしてしまったことはないでしょうか?
こんなことが、お友達との間でも頻繁にあったら、それが原因で「あの子は謝ってくれない」とトラブルになるんじゃないかと心配になりますよね。
2.「わざとじゃない!」素直に謝らない息子
私には兄と妹の2人の子どもがいます。
このきょうだい間で、よく「謝って!」「謝らない!」のトラブルが起こるのです。
特に兄がなかなか謝ることができない子どもで…。
先日も妹と戦いごっこをしていた時に、息子の手が顔に当たったのですが
「痛い」と言う妹に対して、息子から出た言葉は「わざとじゃない!」
妹は「でも、痛かった!」と言いますが、息子は「だって、ここに急に出てきたから当たっただけじゃん」と言い訳します。
妹が「謝って!」と言っても息子は「わざとじゃないのに、どうして謝らないといけないの?」と一向に謝ろうとしません。
そんなやり取りから、しまいにはいつもきょうだい喧嘩になってしまうのです…。
最終的には、私が仲裁に入り「妹はどんな気持ちだったかわかる?」と聞くと、本人は状況はわかっている様子でしたが
謝ることに対しては絶対拒否。
「わざとじゃない」の一点張りです。
家庭では、何度もこのような場面があるので、お友達ともこんなやり取りをしていないだろうかとずっと心配していました。
3.謝れない子どもは、社会的規範行動が身についていない!
幼い子どもの場合、『社会的規模行動』がまだ身についていません。
そのため「自分は悪くない!謝らない!」という態度をとるのです。
『社会的規範行動』とは、社会の中で一般的に期待される行動や慣習のことです。
すなわち『謝る』というのは、一般的に「謝ってほしい」と期待している相手に対して誠実さを示す大切な言動です。
脳の中で、主に感情系を司る『扁桃体』と思考系を司る『前頭葉』がうまく連結できていれば、この『社会的規模行動』が身についてきます。
大体『社会的規模行動』が身についてくるのは4歳頃から。
この頃から、一般的にルールや決まりがあることを理解しはじめ、周りを見れるようになってきます。その頃から「謝る」ことを理解できるようになるためです。
しかし、脳の発達には、個人差があります。
特に感情のコントロールがうまくできない子どもやHSCなどひといちばい敏感な子どもの場合は
脳内で恐怖や不安に対する反応を調節する『扁桃体』が過剰に働き、恐怖や不安をうまくコントロールできないことがあります。
そのため
✔謝っても許してもらえないんじゃないか、怒られるんじゃないか、けんかになるんじゃないかなど、不安を感じて謝ろうとしない。
✔謝ることで、自分が負けたような気持ちになり、自己評価が低くなることを避けたい。
と色々考えてしまいます。
そして、「謝らない」という行動をとってしまうのです。
4.謝らない子どもが素直に「ごめんね」と言えるようになるコツ
私の息子の場合、相手(妹)の『謝ってほしい』という気持ちはわかっているようでした。
しかし、1番の問題は『わざとじゃないのに謝る理由』を理解していないことです。
そこで、謝る理由を息子にわかりやすく伝えることにしました。
✔相手に許してもらうため
✔相手の気持ちがわかってるよと伝えるため
✔仲直りするため
何となく理解したようですが、「わざとじゃないから悪くないのに、どうして許してもらわないといけないのか」と腑に落ちていないようでした。
「わざとじゃない!自分は悪くない!」となってしまっている状態だと、何を言っても腑に落ちないのは、脳の扁桃体の仕業。感情が強く反応して興奮状態になってしまっています。
自分や喧嘩した相手のことを例に出して、状況の説明をしても、逆に「なんで自分は悪くないのに謝んなきゃいけないんだよ!」と更に感情を逆撫でしてしまう結果に。
「相手の気持ち」を本当に理解して、自分のするべき行動を考えさせたい時は、本人や喧嘩した相手を例にして話すのはタブーなのです。
このような時は、問題に関係のない、自分の大切な人や物に例えてから話すようにしてみましょう。
我が家の場合は、私と夫のことで例えて息子に話してみました。
私:「パパとママもね、あなたたちみたいに、ちょっとしたことで喧嘩することもあるんだよ」
息子:「えー?」
私:「そう見えないでしょ。仲良しでしょ」
息子:「うん」
私:「すぐに、パパかママかが謝るからだよ」
息子:「どっちが悪いの?」
私:「どっちが悪いってわけではないけど、わざとじゃないときでも、相手が嫌な気持ちになったら謝るよ。ママの手がパパに当たって、パパが痛いって怒ったら、ママは何て言ったらいいと思う?」
息子:「ごめん?」
私:「そうそう!それで終わり。仲直り」
息子:「パパは許すの?」
私:「許すよ。だってわざとじゃないし。許さない理由はないよ」
息子:「そうなんだ!パパもママもごめんねって言うだね」
身近な自分以外の人で例えて話すことで、息子も感情的にならずに冷静に理解ができたようでした。
謝る理由と、謝れば関係は良くなるということで、謝ることへの不安が少なくなったようです。
それからは、息子がちょっと気まずそうにしながらも「ごめん」と軽く言えるようになってきました。
その度に私は「今のごめん、いいね!そういうの好き!」と必ず伝えるようにしました。
そうするうちに、少しずつ、謝ることへの抵抗感がなくなり、謝ってほしい場面で謝ることができるようになってきましたよ。
皆さんも、謝れない子どもに、相手の気持ちを冷静に理解してもらうためには、身近な人で例えて話すようにしてみてくださいね。
そして、どんな「ごめんね」でも、言えた時はしっかりと見逃さず、肯定してあげてください!
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
増満咲奈