ジメジメした梅雨の時期に体調が悪くなったり、いつもより怒りっぽくなったりする発達障害・自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんはいらっしゃいませんか?発達障害、特に自閉スペクトラム症(ASD)の子どもが梅雨に不調になるのには、実は理由があります。この記事では、その理由や快適に過ごすためのママの対策などをご紹介します。
1.梅雨になると特に調子が悪くなるという発達障害・自閉スペクトラム症のお子さんはいませんか?
梅雨の時期になりましたね。
・イライラしている
・なんとなく元気がなく、やる気がない
・頭痛や体がだるいなど体調の不調を訴える
お子さんにこのような様子は見られませんか?
じめじめした空気、降り続く雨の音、肌が濡れる感覚…
大人でも天気が悪いと、憂鬱な気持ちになることがありますよね。
発達障害・グレーゾーン、特に自閉スペクトラム症(ASD)傾向の子どもたちも、発達の特性から梅雨の時期には普段以上のストレスを受けています。
そのストレスからイライラして癇癪を起したり、体調を崩してしまうことも…。
そんな梅雨時の不調はなぜ起こるのか、その理由とそれに向き合って乗り切る方法をご紹介します。
2.梅雨時期は、天気が悪いと機嫌も悪い‼︎
私には発達障害・グレーゾーン、自閉スペクトラム症(ASD)傾向の息子がいます。
例年、息子は梅雨の時期になると
✔️服が濡れるのを極端に嫌がる
✔️頭痛や腹痛、体調不良を訴える
✔️ダラダラして声をかけても動かない
✔️いつもより怒りっぽい
このような状態になっていました。
特に服の着心地に関しては、梅雨時は特に敏感になるようで…
普段いつも着ている服なのに「この服チクチクする!」と着心地を嫌がったり、雨で少し濡れてしまった服に対しては「着替える!別のやつ持ってきて!」と癇癪を起こしてしまうこともありました。
そんな息子に対して、梅雨だから洗濯物を増やしたくない私は
「いつも着ている服だよ!」
「チクチクするのは気のせいだよ!」
「ちょっとだけだから、そのまま着てて!」
と息子の訴えに取り合わず、いつも息子の気持ちをそらそうと必死になっていました。
私が気持ちをそらそうとすればするほど、息子はどんどん機嫌が悪くなっていき、癇癪を起こす。
息子が癇癪を起こすと、私もイライラして否定的な態度をとってしまう。
例年、息子のイライラに巻き込まれ、最悪な梅雨の時期を過ごしていました。
3.自閉スペクトラム症の子どもが、梅雨にストレスを感じやすい理由とは?
なぜ、私の息子は梅雨時にこのような不調になっていたのでしょうか?
まず、梅雨の時期というのは、発達障害に関わらず、自律神経が乱れやすく、そもそも誰でも不調になりやすい季節ではあるのです。
普段、人は身体を活発にする「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」でバランスを取って生活しています。
しかし、梅雨になると、気圧や湿度、気温が頻繁に変化するので、このバランスが乱れたり、頭痛や体のだるさを感じやすくなります。
さらに、発達障害、特に自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちは、梅雨の時期に不調になりやすい要因を持っています。
自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つ子の中には「感覚過敏」という症状を抱える子がいます。
皮膚・肌で感じる”触覚”に限らず、聴覚、視覚、嗅覚、味覚など人によって過敏になる感覚は異なり、その程度も様々です。
息子にも感覚過敏があり、特に触覚と聴覚に関して過度に敏感です。
そのため梅雨の時期は
✓肌がベタベタする感触が苦手
✓靴下や服が濡れた感覚が苦手
✓雨の音をうるさく感じて、人の声をうまく聞き取れない
など、感覚を刺激され、ストレスを感じているようです。
他にも…
嗅覚が鋭い子の場合:雨に濡れたコンクリートや土の匂いが気になる
触覚が鋭い子の場合:レインコートのごわごわした肌ざわりや長靴の履き心地が苦手
というケースもあります。
感覚過敏のある子どもは、外からの情報を過度に受け取りやすく、ストレスに弱いという特性があります。
このような状況では脳は理性的に考えたり、理解したりすることが難しくなってしまいます。
だからストレスを感じていることを言葉で冷静に伝えられなかったり、怒りっぽくなったりしてしまうのです。
4.梅雨のストレスを軽減して、気持ちよく過ごせた我が家の対応策をご紹介
季節的に不調になりやすいのは仕方のないこととはいえ、気持ちよく過ごすためにできる対策はしていきたいですよね。
我が家でやって効果のあったことをご紹介しますので、参考にしていただけると嬉しいです。
STEP 1:雨がイヤな理由を理解して共感する
先ほど挙げたように感覚過敏は人によって様々です。
何にストレスを感じているのか、よく観察したり本人に聞いたりして、
「そっかー、そう感じているんだね。気持ち悪いよね。」
「そう感じていたらイライラしちゃうよね。」
とひたすら共感します。
否定したり、アドバイスしたりもしません。
そして
「他には?」
「どんな風に感じるの?」
「どんなところがイヤなの?」
と気になることを全部話せるように質問していきました。
自分のしんどさをアウトプットすることで、気が楽になったり、ママがわかってくれていると感じると安心しているようでした。
雨の日がつらい原因はどこにあるのか、どんなことをイヤだと思っているのか、まずはお子さんとおしゃべりしてみてください。
STEP 2:雨がつらい原因が分かったらそれに合わせて対応策を考える。
イヤなことを全て話せたかなと感じたら、
「じゃあ作戦会議をしよう」と声をかけ、「こうしたらマシになるかも!」を一緒に考えるようにしました。
息子の場合は、
・服が少し濡れた感触はイヤだけど、着替えがあると分かっていると安心できて、それほど気にならなくなる。
・肌がベタベタする感覚は扇風機やエアコンをつければ気にならない。
・雨の音は暇なときは気になるけど、楽しいことをしている時はあまり気にならない。
ということがわかりました。
そこで、
・外出する時は着替えを持っていく、もしくは玄関にタオルと着替えをスタンバイさせてから出かける。
・息子が蒸し蒸ししていると感じる日は迷わず扇風機やエアコンを使用する。
・音が気になるような土砂降りの日は、本人の好きなことを一緒にやって盛り上がる。
というような対応を取りました。
その他には
・朝起きたら日光にあたり、自律神経を整える。
・頭痛がする時はホットアイマスクで温める。
など、リラックスできるようにしました。
このような対応を続けると、以前は不快感から癇癪を起こしていた息子も、冷静にどんな風に感じているのか伝えてくれるようになり、イライラして癇癪を起すということがなくなってきました。
また対応策を一緒に考えたので、こんな時はこうしようと自分自身で気づけるようになったようです。
頭痛がするなと思ったら自分でホットアイマスクを持って来るなど、自分の体調を見ながら行動できるようになりました。
以前なら息子の不調に巻き込まれていた私も、どんなところにつらさを感じているのか理解できるようになったので、調子が悪そうだなという日も穏やかな気持ちで声を掛けてあげられるようになりました。
梅雨の時期は発達障害・自閉スペクトラム症(ASD)の子どもにとっては、とてもストレスが多い季節ですが、ぜひお子さんの特性に合う方法を見つけて、親子で楽しく過ごせるといいですね。
執筆者:よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション リサーチャー