家ではYouTubeを見てばかり…そんな発達障害のお子さんはいませんか?何時間もYouTubeがやめられない我が家の息子が「やる!」とYouTubeを消して立ち上がり、動き出した方法を1つお伝えします。
1.不登校になり、YouTubeがやめられない発達障害の息子
我が家の次男は、小学校1年生の秋から突然行き渋りが激しくなりました。
2年生に進級してからは気持ちが新たになったからか、順調に登校していたのですが、2週目に風邪をひいて欠席をしたことをきっかけに完全不登校になってしまいました。
行き渋りが激しくなった頃から、何が原因なのかを探るために学校や発達支援センターに相談していたのですが、ようやく4月に心療内科での発達検査の予約を取ることができたのです。
検査の結果、ASD(自閉スペクトラム症)、注意欠陥多動性障害(ADHD)の不注意型の確定診断が出ました。
発達性読み書き障害の疑いもあることがわかり、心療内科の先生には
「これだけ凸凹があったなら本人にとって学校はとても辛かったと思うよ。今まも相当頑張ってきたんだろうね。」
と言われました。
それまで幼稚園などで1度も指摘をされたことがなかったので、正直そんなに沢山の診断が出たことに驚きましたが、
「今は頑張りすぎて疲れている心を休ませてあげよう。」
と素直に思うことができました。
ただ、新たな問題はそこからでした。
家ではYouTubeばかり見て、テレビの前から全く動かないのです。
登校できていた頃から「学校で頑張って来たのだから家では好きなことをして過ごさせてあげよう」と思っていたので、
YouTubeの視聴はやるべき事をすればあとは好きなだけ見てもいいよ、というスタンスでいました。
ですが学校にも行かず、好きな時間に好きなだけのんびりしているにも関わらず、
「ごはんだよ」「お風呂の時間だよ」と言っても、「まだ!」と言ってなかなかYouTubeをやめられず、テレビの前から動かなくなってしまったのです。
2.発達障害の子どもが、動かない状態から動き出すためには大きなエネルギーが必要!
以前、ふたばスクールのレクチャー(オンライン授業)の中で
人間の脳は「動く」か「動かない」かの2択だと、エネルギーを使わない方=「動かない」方を選ぶというクセがある
と教わりました。
動かない状態から「動き出す」時には脳にとても大きなエネルギーが必要になるのだそうです。
私たちも、「掃除しなきゃ」と思いながらソファに座ってしまい、ボーっとスマホを見ていたら動けなくなった…という経験、ありますよね?
特に、ASDがある息子の場合、
・気持ちの切替えが苦手
・限られたことにしか興味を示さない
・一定のパターンの行動を繰り返すことで安心する
という特性がある為、YouTubeより興味があることが出てこない限り、自分のルーティンを崩そうと思えない、つまり動けないのです。
息子にも何か動き出すきっかけがあればいいのにな…と思いながらも、YouTubeをやめられない息子を否定しないように気をつけるしかできない状態が続いていました。
3.発達障害の子どもが行動を起こすにはきっかけ=先行刺激が必要
そこで、まずは「YouTubeを消すこと」を目標に、息子がどんな時に自分からYouTubeを消すのか、行動を観察していきました。
・トイレに行きたい時
・お兄ちゃんが「ゲーム貸すよ」と言ってくれた時
・「お出かけ行くよ」と声をかけられた時
・ごはんのメニューが好きな物だった時(元々食べることには執着がないので、普段の食事の声かけでは動かない)
このような状態でしたので、トイレ以外、「動いたら楽しいコトや物が待ってる」時にしか動かないことがわかりました。
そんなある日、ふたばスクールのいたがきひまりさんからのメルマガに添付されていたURLの記事の中に
『登校前に親子でゲームをして、子どもの脳をご機嫌にしよう!』
という方法が書かれてありました。
その記事では、娘さんのあと一歩の行動を後押しするきっかけとして、スマホで短時間のゲームをさせてあげる、という方法が書かれていました。
ですが、我が家の次男はただでさえずーっと画面ばかり見てる…
何か他の方法はないかな?と考えていたところ、数日前に楽しく風船バレーをした後、部屋に転がったままの風船に目が留まりました。
4.YouTubeを消して立ち上がるきっかけを作った風船バレーゲーム
朝から微動だにせず、クッションに頭を置いて横になりながらテレビを見る息子に、声を掛けてみました。
私「ねぇ、〇〇くん、YouTube楽しい?」
息子「うん、めっちゃ楽しい!」
私「そっか、たくさん見れていいね。
朝からずーっと見てるからさ、そろそろ一回テレビ消して目を休ませてみない?
その間ママと風船バレーしよっか?」
息子「うん!やる!!!」
と言って、なんとYouTubeを見ていたテレビを消したのです!!!
「きっとこんなんじゃ動かないだろうな・・・」と思いながら何気なく言った言葉に乗って来たので、
私もすぐ立ち上がり、息子が乗り気になったタイミングを逃さないように試合をスタートしました。
気を付けたのは、『時間』と『勝敗』です。
あまり長い時間やると「もう疲れた」と言って息子から終了宣告されてしまうし、疲れた後でまた気持ちがYouTubeに向かってしまうため、動いて欲しい時間の10分ほど前に声を掛けました。
また、トランプなどのゲームは、息子に勝たせようとしても予期せず私が勝ってしまい、機嫌を損ねて逆効果になってしまうことがあります。
ですが風船バレーならわざとこちらが変なところに打ってしまったり、打てないフリをして「〇〇くんは強いなぁ!」などと言って勝たせることができるので、
10分間限定で演技力を発揮させながらゲームをやり切りました。
その後、試しに「今から〇〇くんの好きな授業があるけど、学校行く?」と聞いてみたところ、「行こうかな」と言ってランドセルを持って玄関に向かったのです!
5.子どもの気持ちの切り替えと前向きな行動力upをサポート!
人間やASDの脳の特性が邪魔をして、なかなか動き出せない息子ですが、ふとした瞬間にやる気が出たり、自分の気持ちが納得できた時には行動に移せます。
「ごはんだよ」
「お風呂だよ」
と言ってダメでも、
「〇〇くんの好きな唐揚げ、たくさんあるよ」
「お風呂でお魚釣りしよっか?」
「お風呂上がったら特別にアイス食べる?」
など、息子の「やってみたい!」を引き出す声かけをたくさん見つけ出し、心の負担がなく、前向きに行動できることが増えたらいいな、と思っています。
執筆者:しまたに あすみ
発達科学コミュニケーション リサーチャー