入学前は特に集団生活で困ることはなかったのに、小学生になると通常学級での集団生活がつらそうという発達障害グレーゾーンのお子さんはいませんか?支援学級に転籍か、通常学級のままで良いのか悩みますよね。本記事では、小学校の途中から支援学級に転籍した我が家の例をご紹介します。
1.途中から特別支援学級へ転籍できるの?
幼稚園や保育園までは大きな困り事なく過ごしてきたのに、
小学校に上がった途端、強い行き渋りやみんなと一緒の一斉授業がつらそうなど次々と困りごとが出てきた!と感じているママはいませんか?
特に発達障害・グレーゾーンのお子さんの場合、
今は通常学級にいるけれど、特別支援学級に変えた方がいいの?
そもそも途中で転籍できるの?
転籍するならどんな手続きがどれくらいかかるの?
特別支援学級に転籍した後に子どもの発達が進み、状況が変わったときは、また変更も検討できるの?
と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
結論をいうと、通常学級から特別支援学級への転籍はできます。
逆に、特別支援学級から通常学級への転籍も可能です。
つまり、子どもが学ぶ場は、固定したものではなく、子どもの発達の程度や状況などを考慮しながら、柔軟に選択することができるのです。
この記事では、我が家の三男が小学校3年生から特別支援学級に転籍した記録をご紹介します。
2.保育園では大丈夫だったのに…小学校入学後に突然出てきた集団生活の困りごと
三男は、保育園では特に大きな困りごとなく過ごせていましたが、小さなころからお兄ちゃんたちよりも発達がゆっくりだなとなんとなく感じていました。
だから4歳児検診の時に
✓じっと座っていられない
✓人の話を聞くことができない
✓ひらがなや文字に興味がない
など普段から少し気になっていたことを相談し、それがきっかけで療育に通い始めました。
そして療育に通っていたので、入学前に小学校の先生、幼稚園の先生、療育の先生、両親で入学後のサポートについて話し合いが行われました。
療育の先生からは特別支援学級を勧められたものの、
・保育園では特に問題がなく行事に参加したり、お友達と関わったりできていた
・1年生には補助の先生がつくため、加配(他の子どもと同じように学校生活を送ることが難しい子に大人がつき、生活面や集団参加をサポートしてくれること)していただける
という話を受けて、とりあえず通常学級で様子を見ましょうということになりました。
私や夫も入学後のサポートも確認できたし、お兄ちゃんたちもいるし、小学校もなんとかなるだろうと思っていました。
この時点では、特別支援学級は全く考えていませんでしたし、入学直後もこのまま徐々に小学校に慣れていくだろうと思っていました。
しかし、1年生の夏休み明けに突然、「教室がうるさすぎる!人が多すぎる!」と言って教室に入れなくなったのです。
次第に学習に対してもやる気がなくなっていきました。
そして、私からほんの少しの時間でも離れられない母子分離不安という状況になってしまいました。
3.通常学級か特別支援学級か…子どもの環境を選ぶときに大切にした3つのこと
このような息子の状況を見て、入学前の話し合いの際に療育の先生から支援学級がいいのではと言われたことを思い出し、すぐに療育の先生に相談しました。
私はそれまで通常学級で大丈夫だろうと考えていましたが、この時初めて、特別支援学級の方が良いのではないかと検討するようになりました。
子どもの環境を選ぶ時に、我が家が気を付けた3つのポイントをご紹介します。
♦特別支援学級について正しく理解する
まずは特別支援学級について正しく理解することがファーストステップです。
文部科学省のホームページによると…
特別支援学級とは、
小学校、中学校等において以下に示す障害のある児童生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するために設置される学級。
【対象障害種】
知的障害者
肢体不自由者
病弱者及び身体虚弱者
弱視者
難聴者
言語障害者
自閉症者・情緒障害者
とあります。
お住まいの地域やお子さんが通っている学校によって、通級指導教室や特別支援学級、特別支援学校の種類や数は異なります。
お住まいの自治体やお子さんが通われている学校の先生に問い合わせるなどして、どのような学級があるのか等を調べてみましょう。
見学に行って、どのような雰囲気なのか実際に見てみるのもおススメです。
我が家の場合は、母子登校をしていたので、実際に特別支援学級の教室で親子で過ごしたりして雰囲気を見ることができました。
♦子どもの得意なことや苦手なこと、必要な支援を整理してまとめる
子どもに合った環境を選ぶには、今の子どもの状況をよく知り、子どもにどんな支援が必要なのか見極めることが重要です。
息子の気持ちを聞いたところ、大人数の通常学級のザワザワした雰囲気が苦手と話してくれました。
それならば、特別支援学級のような少人数の環境の方が、落ち着いて過ごせるだろうと考えました。
♦子ども自身の意見を尊重する
通常学級か特別支援学級か、選ぶときの最も大切にしたポイントは、子どもが一番学びやすい、また過ごしやすい環境かどうかということです。
子ども本人とも話し合い、どのように過ごしたいか、整理してまとめた子どもの状況や必要な配慮と、
実際に見た学級の印象を振り返って、子どもと一緒にどの場所が安心して過ごせそうかを検討しました。
私たち夫婦は、息子の「教室がザワザワして入れない。静かな場所で過ごしたい」という気持ちを大事にしよう!と特別支援学級への転籍を決めました。
4.特別支援学級への転籍で必要な手続き~我が家の実例~
それでは、3年生から転籍をした我が家がどのようなスケジュールで手続きを進めていったかを1例としてご紹介します。
1年生9月:通常学級へ入れなくなる。
発達検査を実施している療育センターや病院に電話をかける。
(予約が取れたのは2か月後)
1年生11月:発達検査を受けに行くが、子どもの不安が強く、検査を受けられなかった。
1年生12月:再予約で知能検査を受ける。
1年生2月:心理検査を受ける。
1年生3月:発達検査のフィードバックがあり、自閉スペクトラム症の診断書をもらう。
2年生の始めごろ:
校長先生、教頭先生、担任の先生、特別支援学級の先生と保護者で面談をする。
この時に、息子には知的に大きな遅れはなく、母子分離不安があることから情緒学級への転籍の意思を固めた。
その後、診断書を提出した。
2年生秋ごろ:3年生からの転籍が認められた。
多くの学校の場合、特別支援学級への転籍は年度の途中ではなく、新年度からが多いと思います。
また、転籍に必要な発達検査は予約がなかなか取れなかったり、やっと予約がとれても、息子のように検査を受けること自体への不安の強さから、その日は受けられないというケースもあります。
このように手続きには時間がかかるので、必要な事柄をお子さんの学校の先生に確認して余裕をもって進めることをおススメします。
5.在学途中から特別支援学級に転籍して感じたこと
特別支援学級に転籍してからは、自分のペースで学校に通えるようになりました。
そして、教室でも少人数で息子のペースに合わせて授業を受けられるようになったので、とても生き生きと過ごせるようになりました。
時々、課題にぶつかることもありますが、その都度、特別支援学級の担任の先生と密に連携を取りながら「じゃあ、どうする?」を考えて進めていくことができます。
これは本人にとっても親にとっても安心につながっています。
発達障害グレーゾーンの子どもが学校生活を楽しむためには、この安心感と自分の居場所を見つけることが何よりも大切だと感じています。
いかがだったでしょうか。
私の体験談が、通常学級から特別支援学級への転籍を検討されているママの参考になると幸いです。
執筆者:堀 このみ
発達科学コミュニケーション トレーナー