子どもの癇癪が起きると、家族みんながイライラして怒りっぽくなってしまうというお悩みはありませんか?きょうだい揃って癇癪が起きたり、喧嘩に発展すると、ママの気力も体力も削られますよね。この記事では、ママだけではなくきょうだいも癇癪に巻き込まれずに対応できるポイントをお伝えします。
1.癇癪で家族のイライラが連鎖していませんか?
ちょっとしたことですぐに怒る、じだんだをふんだり、暴れだして手が付けられないなどのお子さんの激しい癇癪にママも家族も巻き込まれていませんか?
大泣きしている子どもの声を聞いて、きょうだい児がイライラ!
そして言い放つ余計な一言が火に油!
きょうだい喧嘩に発展したり、ママが2人を叱ってしまったりして、家の中が険悪な雰囲気に…なんてこともありますよね。
本記事では、子どもの癇癪が起きた時にママもきょうだい児も巻き込まれずに家族みんなで対応できるポイントをご紹介します。
2.ダブル癇癪ときょうだい喧嘩が続く我が家のリアル
私には2人の子どもがいます。
次男が5歳のころ、思いどおりに出来ないことがあると「ワー!」と大きな声を出して泣き出し、癇癪を起こしたり私を叩いたりしてくることが度々ありました。
大人でも子どもの癇癪のわめき声は、強いストレスを感じますが、
聴覚過敏があり大きな音が苦手な自閉スペクトラム症(ASD)の長男には、大きな泣き声はかなりのストレスになります。
すると、 だんだんイライラしてきた長男が、「うるさい!だまれ!静かにしろ!あっち行け!」
と次男にきつく当たってしまう。
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長男のけんか腰の態度が、余計に次男の癇癪をエスカレートさせ、さらに大きな声で「ワー!、キャー!」と泣き始める。
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ヒートアップした泣き声に、私は長男に向かって「そういう逆なでするようなことは言わないで!」と叱ってしまい、長男もぶちギレ!
次男を叩く、蹴るといったきょうだい喧嘩に発展するか、長男も癇癪を起こす。
2人とも泣きわめくカオスな我が家の状況に、私はただただ頭を抱えて疲れ切っていました。
一人でどこかに行ってしまいたい、ママをやめたいとさえ思っていました。
3.癇癪が起きた時、子どもの脳で起きていること
そもそも癇癪は、
悔しいとか悲しいなどの自分の気持ち、
本当はこうしたかった、こうしてほしかったといった強い感情を
上手く言葉に表せない葛藤から、感情が爆発して起こります。
この時、脳のキャパはとても小さくなっています。
全力で感情を表現することに脳を使っているので、周りの人の声を聞いて理解するという脳のエリアが働かないのです。
そんな時にママや家族が大声で叱るなどの否定的な態度で接すると、
子どもは言われたことを理解できず、ただ分かってもらえないと肌で感じ、
さらに癇癪がヒートアップしてしまいます。
ですから、癇癪が起こっている時は、とにかく『少し落ち着くまで待つ』ことが必要です。
4.癇癪が起きると、なぜ周りの人はイライラするのか?
「よし!癇癪が落ち着くまで待とう」
と思っても、だんだんイライラしてきて我慢できない!ということもありますよね。
実は、このイライラも脳のせいなんです。
脳には『ミラーニューロン』と呼ばれる「まねること」に特化した神経細胞があります。
これによって相手の感情がミラーのように自動的に自分にも移ってしまうのです。
他者の考えを理解したり共感したりするのにとても重要なもので、心理学ではこれを「情動感染」といいます。
だから癇癪を起こす子どもを見ると、ママや周りの家族もイライラするわけですね。
更に、ポジティブな感情よりもネガティブな感情の方が伝染しやすく、ネガティブな感情や不安感はより伝染する力が高いと言われています。
我が家の場合も
次男の癇癪というネガティブな感情が私や長男に伝染する
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イライラした長男が弟に強く文句を言う
↓
自分の気持ちを分かってもらえない次男はさらにヒートアップ!
私もイライラして、長男に否定的な態度で接する
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長男もママに分かってもらえないと感じる + もっと大泣きする弟の感情にもっとイライラして癇癪を起こす
といういくつもの負の連鎖が絡み合って、カオス状態になっていたのです。
つまり、この『待つ時間』を、ママも家族もいかにネガティブな感情が伝染しないように過ごすかがポイントです。
5.癇癪に振り回されない対応術!ママときょうだいが実践した見守りのコツ
癇癪を起こしている子どもの感情が伝染しないように待つポイントをご紹介します。
◆ポイント1:ママ自身の気持ちを整える
まずは自分が、癇癪を起こしている次男の気持ちに巻き込まれないようにすることに全力を注ぎました。
癇癪が起きてしまったら、子どもの様子を視界の端にとらえつつ自分の気持ちを「無」にして家事をしたり、本を読んだりして自分の用事に集中します。
少し子どもから距離を取りながら、落ち着くのを待ちます。
子どもからママの近くに来たときは、
「そっか、嫌だったんだね」
「悔しかったよね」
など、ひたすら共感と代弁をしながら、出来そうなら背中をさすったりして落ち着くのをとにかく待ちます。
落ち着いてきたら初めて、
「落ち着いたね」
「ママの方見てくれたね」
と穏やかなトーンで微笑みかけて会話をスタートします。
◆ポイント2:きょうだいにも対応の仕方を伝える
長男にも私が癇癪時にしている対応を伝えました。
「ママ、教えてもらったんだけど、
ワー!ってなっている時って、ママとか○○くんとかが静かにしろ!って言っても脳が分かってないんだって。
だから、少し落ち着くまでそっとしておくのが、なんかいいらしいよ。
ママも最近、お皿洗ったり他の事してるんだ。
○○くんも好きなことして過ごしてくれると嬉しいな」
といった具合に、癇癪時の対処方法を教えました。
すると、繊細な長男は、
「ああ、分かるよ。自分もワー!ってなったときはママに何言われているか全然わかんないし、覚えてないもん」
と次男の気持ちを理解して、納得したようでした。
それからは次男が癇癪を起こしたときにも声をかけたりもせずに距離を取ってくれるようになりました。
そんな時は
「さっき、落ち着くまで待ってあげれてたね、協力してくれてありがとう」
と長男を認める声かけや感謝することを心がけました。
どうしても長男がイライラしてきているなと感じた時には、
「ママと一緒に○○しよう」と遊びに誘ったり、
別の部屋に行くように仕向けたりして長男の気持ちを整えられるようにしました。
遊んだ後は「一緒に遊んで楽しかったよ」と私のポジティブな感情を伝えました。
このような対応を続けると、2人そろっての癇癪やきょうだい喧嘩に発展することはなくなりましたし、次男の癇癪もほぼなくなりました。
子どもの癇癪は、対応するママの気力も体力も奪うものです。
きょうだい揃って起きようものならママの苦労は3倍にも4倍にもなります。
癇癪を起こさないのが一番ですが、起きてしまった場合も大丈夫!
どうやって癇癪を見守ったらいいのかをきょうだいにも伝えることで
・癇癪を起こすきょうだいをそっと見守ることができた。
・イライラしてきても自分で落ち着くことができた。
ときょうだい児にも成功体験をたくさん積み重ねてあげることができます。
家族みんなでそうしているうちに、癇癪を起こすお子さんもどうしたら自分が落ち着くことができるかを知ることができ、
だんだんと癇癪という方法を使わなくても、自分の感情を言葉で伝えることができるようになってきますよ。
ぜひ、試してみてくださいね。
執筆者:よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション リサーチャー