人との関わりが苦手なASD傾向キッズに悩んでいませんか?すぐに否定したり止めたりせず、安心を壊さない関わりを選ぶことで、子どもの自信が育ち、将来、人と気持ちよく関われる力の土台につながっていきます。
1.ASD特性のある息子の、人との関わり方に心配していた私
あなたには、こんなお悩みありませんか?
・子どもはいつも一人遊びばかりで、ほかの子と関わろうとしない
・関わりたい気持ちがあるけど、ほかの子の表情を見られずほかの子が嫌がることをし続けてしまう
・今は私がいてあげられるからいいけど、将来この子がひとりになってしまったらどうしよう…と不安
・今のうちに、人の気持ちや社会的ルールを私が教えてあげなければいけないのでは?と焦る
私もそうでした。
私の4歳の息子には、自閉スペクトラム症(ASD)の特性があります。
3歳の時に発達障害者支援センターにつながり、今の保育所では特別支援保育(加配)を受けています。
好きなことを軸に人と関わることはできるのですが、クラス全体の活動や日課にはなかなか興味が向きにくく、特定のお友達もいません。
小さい頃から、ほかの子が興味を持つような遊びやおもちゃには興味を示さず、回る物をじっと見続けるなど、独特な一人遊びをくり返していました。
そんな息子を見て、私は
「この子はこのままずっと一人なんだろうか」
「将来のためにも、なんとか誰かと繋がっていてほしい」
と不安を抱えていました。
そして、息子3歳の春、娘が生まれました。
息子にできた、たった一人の妹。
私は「たった一人のきょうだいである妹と、ずっと仲良くいてほしい」と願い、幸いにも息子は妹を大好きに、妹も息子を大好きになりました。

2.きょうだい喧嘩から見えてきた、社会性への不安
しかし、妹が1歳半を迎え、自我が強くなってきたことをきっかけに、きょうだい喧嘩が増えてきました。
たとえば、こんなことがありました。
息子は、楽しすぎたり、逆に疲れすぎてしまったりすると、テンションが上がりすぎる特性があります。
その日は休日の21時、寝かしつけの時間。
息子は寝つきがよくないので、休日は昼寝をしないことが多いです。
その日も昼寝せず夜まで過ごしていたため、疲れが相当溜まっていたと思います。
ちなみに私自身も、家事に子どもたちの遊び相手に、小さなきょうだい喧嘩の仲裁にクタクタで、限界寸前。
そんな中、息子は大好きな娘に関わりたくて、至近距離に迫ったり、無理にチューしようとして妹を追いかけまわしました。
行く手をさえぎられ、自分のしたいことを止められて、嫌がって泣く妹。
息子はそんな妹の様子に気づかず、その時の私には、むしろ妹の泣く様子を楽しんでいるようにさえ見えました。
「相手の気持ちがまだわからないにしろ、これ、放っておいて大丈夫なの?」
「今仲裁に入らないと、妹が息子を嫌いになるんじゃない?」
「将来友達にも同じことをしないように、人の気持ちやルールを今私が教えないといけない」
妹を抱っこして息子から離そうとしましたが、息子が私の足にまとわりついて引っ張ります。
しまいにはそのまま妹を抱っこしている私を押し倒そうとするため、このままでは妹も私も危ない!と思い、私は咄嗟に「やめなさい!」と息子を怒鳴り、足に力を入れて息子を引き剥がしました。
乱暴に扱われたことで息子も余計ムキになり、笑いながら私を叩いたり、押したりしました。
身体の痛みにも不安にも勝てず、私は「やめて!!!」と息子を力一杯押し、「なんでわかんないの⁉︎妹泣いてるよ!嫌な気持ちなんだよ‼︎」と怒鳴り続けました。
私の剣幕に驚き、次第に泣き顔に変わっていく息子。
わんわん泣く息子と妹を前にして、
「またやってしまった…」
「子どもを泣かせたいわけじゃないのに、なんでうまくいかないんだろう…」
と呆然と座り込んでいました。
このままでは、妹との関係だけでなく、将来ほかの人との関係でも同じことが起きてしまうのではないか__ そんな不安が、私の中でどんどん大きくなっていきました。

3.社会性を育てるため、まずは大人の関わり方を見直した
きょうだい喧嘩が起きるたびに、私は「今止めなきゃ」「ちゃんと教えなきゃ」と思って、すぐに声をかけたり、間に入ったりしていました。
しかし、発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学ぶ中で、
「子どもの行動をどう変えるかよりも、大人の関わり方そのものが子どもにとっての環境になる」
という考え方に出会いました。
①「ありがとう」を伝える関わりを知ったこと
発コミュの中で学んだ「肯定の10テクニック」のひとつに、「感謝する」という関わり方があります。
それまでの私は、どうしても「やめてほしい行動」や「できていないところ」に目が向きがちでした。
けれど、誰かのためにできた行動に気づいて「ありがとう」と伝えることは、人と関わろうとする気持ちや、社会性につながる行動をそっと後押しする関わりなのだと知りました。
妹のことが大好きな息子にとって、「妹のためにできた」という経験を重ねていくことは、今の時期にとても大切なのではないかと感じるようになりました。
②「すぐ止めない」ことの意味に気づいたこと
さらに、ひまりチームのスペシャルミーティングで
「これは子どものトレーニングではなく、お母さん自身のペアトレだと思ってください」
という言葉を聞き、ハッとしました。
きょうだい喧嘩が起きると不安からすぐに反応していた私の関わりが、息子にとっては強い『注目』になっていたのかもしれないと気づいたからです。
発コミュでは、子どもを変えようとする前に大人が関わり方を変えることが大切だと考えます。
すぐに否定したり止めたりするのではなく、安心を壊さない関わりを選びながら少し待ってみること。
それは、息子の安心や自信を育てるだけでなく、将来ほかの人と気持ちよく関われる力の土台を育てることにつながるのではないかーーそう思えるようになりました。
まずは「私のペアトレ!」と思い、「子どもの安心の土台を作る」という目的に立ち戻ろうと決めました。

4.私が実践した「否定を減らす」「ありがとうを伝える」関わり
それから私は、「きょうだい喧嘩が始まってもすぐには反応せず、息子の良い行動を待ってみる」ことに取り組みました。
例えば、私と息子と妹で入浴中、息子が妹にしつこくチューをして妹が泣いてしまった時。
今までの私なら、「妹ちゃん泣いてるよ、離れようね」「チューはおしまい」などと、すぐにその行動を止めていたと思います。
しかし、大切なのは、息子の安心や自信、将来ほかの人と気持ちよく関われる力の土台を育てること。
まずはその場面を注目するのをやめ、自分のシャワーに集中しました。
チラチラこちらを見てくる息子の視線を感じますが、我慢します。
そのうち妹が、お風呂で使える赤色のクレヨンを見ているのに気づきました。
場所は息子のすぐ近く。
そこで、私は息子にこんな言葉をかけてみました。
「妹ちゃん、赤のクレヨン取ってほしいみたいだよ。息子ちゃん、取ってあげてくれる?」
息子は「うん」と頷き、赤色のクレヨンを妹に渡しました。
すると、妹はパッと笑顔になりました。
私はこれは「ありがとう」と伝えるチャンスだと思い、息子にこう言いました。
「あっ妹ちゃん笑ったね!息子ちゃん、クレヨン取ってくれてありがとう。こうすると妹ちゃん嬉しいんだね〜」
息子は嬉しそうにニコニコ笑い、他の色のクレヨンをまた妹に渡してくれました。
それ以降、他の場面でも、着替えを手伝ってくれたり、自分の大事な物を妹に貸してくれたりと、妹のためにしてくれる行動がとても増えました。

5.社会性は人との安心できる関係の中で育つ
すぐに否定したり止めたりするのではなく、安心を壊さない関わりを選びながら少し待ってみること。
そして、頑張りや工夫に感謝すること。
そうすることで、息子が人との関わりの中で、自分から「やってみよう」という気持ちに蓋をせず、安心や自信を育てていけるのだということを知りました。
今後も
「きょうだい喧嘩が始まってもすぐには反応せず、息子の良い行動を待ってみる」こと
「きょうだいで仲良くしている時にこそ注目し、実況中継や母の嬉しい気持ちを伝える」こと
を積み重ね、息子が将来ほかの人と気持ちよく関われる力の土台を育てていきたいと思っています。

執筆者:とうま わかな
発達科学コミュニケーション アンバサダー




