褒めると怒る子どもに戸惑い、声かけに自信をなくしていませんか?実は、良かれと思った言葉が逆効果になるのは、子どもの脳の特性や言葉の受け取り方が関係しています。褒める以外の肯定の届け方を、実体験を交えて解説します。
1.「褒めれば伸びる」を信じて、褒める子育てを頑張っていた私
「褒める育児」が良いと言われているけれど、 うちの子には、どうも逆効果。
一生懸命いいところを探して褒めているのに、 なぜか怒られてしまう毎日に、 心をすり減らしていませんか?
褒めればいいのか、 それとも、何も言わない方がいいのか。
どう関わるのが正解なのか分からず、 私は毎日、迷っていました。
以前は子どもの困りごとが絶えず、 否定的な態度や声かけをしてしまうことも多くありました。
強く叱ればその場は収まっても、 困った行動はなくならない。
「なんとかしたい」
その思いから、発達科学コミュニケーションに出会い、 できていることに注目する「褒める子育て」を実践し始めたのです。

2.なぜ?「褒めると怒る子ども」に翻弄され、悩んだ過去
行きしぶりのあった習い事に、 息子が自ら「行く」と言ったときのことです。
「すごいね!」 「自分で考えたんだね!」
そう声をかけると、 息子は突然、泣きながら怒り出しました。
「『すごいね』って言わないで!」
息子の「行く」は、 行きたい気持ちと不安が入り混じった、 たくさんの葛藤の末に出した答えでした。
勇気を出して伝えてくれたことを喜びたかっただけなのに、 なぜ怒らせてしまったのか分からず、私は戸惑いました。
その後も 「すごいね」「さすが」「かっこいい」 そんな言葉に過剰に反応し、怒ることが続きました。
褒めているのに、逆効果。
できているところはあるのに、褒められない。
私は次第に、 どう声をかければいいのか分からなくなり、 八方塞がりになっていったのです。

3.「褒めると怒る子ども」が喜ぶのは?母の願望・評価を捨てる勇気
そんな行き詰まりの中で、 発達科学コミュニケーションの学びを通して知ったのが、 「褒めるだけが肯定ではない」という視点でした。
感謝すること。
興味や関心を示すこと。
スキンシップやジェスチャーで伝えること。
「すごいよ」「できているよ」という気持ちは、 実は、さまざまな形で届けることができます。
ただ、 やみくもに褒めていればいいわけではないのです。
大切なのは、 「何と言うか」よりも、 子どもがどう受け取るか。
我が子の場合、 「すごい」と言われることが、 そのまま喜びにはつながっていませんでした。
「僕はすごいと思っていないのに、なんで言うの?」
「行けない僕は、だめなんだ…」
そんなふうに受け取ってしまうことが分かってきました。
「行く」気になってほしいからの「すごい」。
服を一人で着られての「さすが」。
片付けができての「かっこいい」。
それらは、当時の私にとっては嬉しいことでした。
でも、子どもにとっては、必ずしもそうではありませんでした。
だからこそ大切なのは、 親の願望や評価ではなく、 子ども自身が「嬉しい」「楽しい」と感じていることに目を向けることです。
もし今、声かけが空回って苦しいときは、 「正解の言葉」を探すのを、少しだけお休みしてみてください。
お子さんの視線に立って、「楽しいね」と笑い合う。
それだけでも、ママの愛情は、ちゃんと届いています。
ここから先は、我が家で実際に“届きやすかった関わり方”をご紹介します。

4.子どもの反応が教えてくれる、声かけのストライクゾーン
試行錯誤を重ねる中で気づいたのは、「褒め言葉の正解」を探すよりも、その子自身のストライクゾーンを知ることの大切さでした。
どんな関わり方が心地いいのかは、親が決めるものではありません。
子どもの反応が教えてくれます。
我が家で、特に届きやすかった関わり方は次の3つでした。
1つ目:「すごいね」は子ども自身が「すごいでしょ?」と言ったときだけ
本人が「できた!」と確信している瞬間の「すごいね」は、評価ではなく、共感として届きます。
「そうなんだね」
「嬉しいね」
同じ気持ちを分かち合う言葉は、 プレッシャーになりにくく、 子どもの安心感につながっていました。
2つ目:言葉に頼らない、ジェスチャーやスキンシップ
ハイタッチやグッジョブサイン、 ぎゅーっと抱きしめること。
言葉を使わない関わりは、 「これでいいのかな?」と迷いやすいママにとっても、 子どもにとっても、負担の少ない関わり方です。
目や肌から伝わる肯定は、 評価として受け取られにくく、 安心感としてまっすぐ届きやすいと感じています。
3つ目:評価ではなく、「感謝」を伝える
我が子にいちばん響いたのは、「ありがとう」でした。
「すごいね」と言われると怒っていた息子に、「なんて言ったらいいの?」と聞いたとき、 返ってきた言葉が「ありがとう」だったのです。
ひとりでご飯が食べられたとき。
自分で体を洗えたとき。
「できたこと」を評価するのではなく、 一緒に過ごせたこと、関わってくれたことへの感謝を伝える。
「ありがとう」は、 できた・できないを測らない言葉だからこそ、 プレッシャーになりにくく、 子どもの心に残りやすいのだと思います。
ここでお伝えしたのは、「この方法が正解」という話ではありません。
大切なのは、お子さんの反応を見ながら、「今、これは届いているかな?」と確かめていくこと。
そうして少しずつ見えてくるのが、 その子だけの、声かけのストライクゾーンなのだと思います。

5.「ママの愛情」を届けるルートは、ひとつじゃない
「褒めているのに、怒らせてしまう」
そんな経験が続くと、 ママは少しずつ、自分の声かけに自信をなくしてしまいます。
何か言うたびに、
「また間違えたかな」
「今の言葉、よくなかったかな」
と、立ち止まってしまうこともありますよね。
でも、それはママの愛情が足りないからではありません。
ただ、 届けるルートが少し合っていなかっただけなのです。
完璧な褒め言葉を探さなくて大丈夫。
迷いながら、調整しながら、 関わり続けようとする姿勢そのものが、もう十分、愛情です。
「うちの子は、これでいい。」
「私も、これでいい。」
そう思える感覚を、 どうかママ自身が大切にしてあげてください。

執筆者:渡辺 さくら
発達科学コミュニケーション アンバサダー





