YouTubeやゲームなどの使用が深夜まで続くことが発端での言い争いは中学生の反抗期ではよくあること。父子の言い争いが続く家庭で、あるお母さんの一言が関係を変えました。親子関係を修復する会話の実例と4つのステップをご紹介します。
事件の発端:iPad使用と深夜の言い争い
ある晩、息子が23時過ぎまでiPadを使っていたことに対し、父親が注意しました。
「23時には終われって言っただろう」
しかし息子は反発し、言い合いに発展。 言葉の応酬が続き、やがて父と息子はお互いの本音を隠したまま、家庭内に冷たい空気が流れるようになっていきました。
お母さんが取った対応:カウンセリングモードの4ステップ
このときお母さんが思い出したのが、発達科学コミュニケーションで学んだ「カウンセリングモード」 以下の4つのステップに沿って対応を変えたことで、事態は大きく動き出しました。
保留
すぐに口を出すのではなく、一度立ち止まって息子の様子を観察。 感情で反応せず、まず“聴く姿勢”をとることで、言い争いの火種に油を注がずに済みました。
受容
息子がぽつりと口にしたのは、
「毎日“だるい”って言ってると、パパは“解決してやる”って思って注意してくるんだよ」
という本音でした。 お母さんはこの言葉にハッとし、「ただ聞いてほしかった」という息子の気持ちを否定せず、「そうだったんだね」と受け止めました。
理解
次に、お母さんはお父さんにも本音を尋ねました。
「朝起きられない君を見て、家族全体の空気に影響していると思った。だから早く寝てほしかった」
“責める”のではなく、“心配している”という感情がその背景にあると気づくことができました。
共感
お母さんは、両者の気持ちを丁寧にすり合わせながら、通訳のように整理して伝えました。
「じゃあ俺が自分で言うから、パパは言わないで」
と、息子が自発的に関係修復に向けた提案をしました。家庭の空気がやわらぎ、会話が戻ってきた瞬間でした。
受講生の声に学ぶ、“本音”を聞くことの大切さ
このお話は、授業で「保留・受容・理解・共感」の4ステップを学んだ受講生のお母さんが、まさにその日の夜に実践したエピソードです。
ここ数日、夫と息子がギクシャクした関係にあり、お母さん自身も体調を崩していて十分に向き合えていなかったとのこと。ところが、家庭内での衝突が続く中で、息子にそっと「どうして?」と声をかけてみたところ、心の奥に溜めていた本音が次々と語られ始めました。
「父にiPadを取り上げられたとき、子ども扱いされているようで腹が立った。成長期のことなんて、自分でもわかってるのに、信じてもらえていない気がした」
「毎朝“だるい”って言ってたけど、アドバイスがほしかったわけじゃなくて、ただ聞いてほしかっただけ」
お母さんは、まず反応を保留し、気持ちを受け止め、息子の思いを夫に代弁しました。すると、夫も素直に「家族のリズムを大事にしたかった」「敬語を使ってほしかった」と本音を語り始めたのです。
「敬語を使えって言われたことに腹が立ったけど、自分も同じことをしていたかもしれない」
そんなふうに、親子双方が少しずつ自分の言葉を見つけていく過程が生まれました。
最終的に息子は「おれが言うから、パパは言わないで」と伝え、再び自ら対話を選ぶ姿勢に変化していったそうです。
親子関係を変えるのは「伝え方」
今回の親子のやりとりでわかることは、「伝え方を変えることで関係の質が変わる」という事実です。
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問題にすぐ反応せず【保留】
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本音を受け止め【受容】
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背景にある想いを理解し【理解】
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「わかってもらえた」と感じられる関係を築く【共感】
たったこれだけの心がけが、親子の対立を“つながりのチャンス”に変える力になります。
親子の対話は、「どう伝えるか」で未来が変わります。
叱るのでも、我慢するのでもなく、感情に焦点をあてて、 お互いの気持ちを安全に届け合うこと。
思春期の今こそ、カウンセリングモードの4ステップが家庭を守る力になります。
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