「あと10分で出るよ」
「もう5分前だよ」
「本当に間に合わないよ」
何度声をかけても、
ゲームやYouTubeから目を離さない。
そして、出かける時間を過ぎてから、
「間に合わない!」
と本人までイライラ。
こっちは、何度も言ったのに。
「もっと早くやめればよかったじゃん」
そんな言葉が喉まで出てくる。
こんなことはありませんか?
ゲームやYouTubeだけではありません。
テレビでも、漫画でも、好きな遊びでも、
一度「面白い!」とハマると、
なかなかそこから抜け出せない。
これは、今に始まった悩みではありません。
我が子が小学生だった頃は、
まだコロナ禍前で、
今ほどYouTubeを見る習慣はありませんでした。
それでも、
同じ映画を何度も見たり、
録画した番組を繰り返し見たり。
お出かけや習い事の時間が迫っていて、
「もう終わりにしたら?」と言っても、
なかなか切り替えられない。
何にハマるかは時代によって変わっても、
面白いことから抜け出せない
というのは、パステル子育てでは
珍しいことではありません。
本人も「やらなきゃ」は分かっている
先日のレクチャーでも、
YouTubeを見ていると
出かける時間になってもやめられない、
というお悩みが出ました。
けれど、このお子さんは、
遅刻してもいいと思っているわけでは
ありません。
自分で時間を決めることもある。
アラームをかけることもある。
それでも、
その時間になると切り替えられない。
そして、間に合わなくなった自分に
今度はイライラしてしまう。
ここを見ると、
「約束を守る気がない」
「何度言っても分からない」
だけでは説明できません。
分かっている。
やろうともしている。
それでも、行動につながらない。
そんなことがあるんです。
「できなかった理由」ばかり探していませんか?
子どもが動かないと、
私たちはどうしても、
「なんでできなかったの?」
を考えます。
もっと早くやめればよかったのに。
アラーム鳴ったよね。
自分で決めたよね。
けれど、できなかったことばかり見ていると、
親も子も、
「できない自分」
ばかりを見ることになります。
だから私は、
少し違うところを見るようにしています。
それは、
「この子、どんな時ならできていた?」
です。
毎回、本当にできていないでしょうか。
いつも必ず遅れているでしょうか。
たまには、自分から切り替えられた日。
言われなくても準備できた日。
いつもよりスムーズに動けた日。
そんな瞬間があるかもしれません。
私はそこに、
その子の「ヒットパターン」が
隠れていることがある
と思っています。
宿題をやらなかった子が、自分から動き出した日
同じレクチャーで、
こんなお話もありました。
夏休み前半、息子くんは、
宿題にはほとんど手をつけず、
家でゴロゴロしたり、
テレビやYouTubeを見たりして
過ごしていました。
お母さんはその間、
口うるさく言わないようにしていました。
ところが、おじいちゃんの家へ行く前に、
Nintendo Switchをテレビにつないで
遊ぶための接続機器が欲しい、
と言い出したそうです。
すると、
「じゃあ宿題やろうかな」
と、本人が動き始めた。
そして実際に、
ワークを進めることができました。
ここで、
「じゃあ、物で釣ればいいんですね」
という話ではありません。
私が面白いと思うのは、
あれだけ動かなかった子の脳が、
ある条件では動いた
ということです。
この子にとっては、「楽しみ」が見えたことが
一つのきっかけになったのかもしれません。
人の脳には、
「これをやったら嬉しいことがある」
「なんだか楽しそう」
と感じることで、
行動へのスイッチが入りやすくなる仕組み
があります。
けれど、
これがそのまま
他のお子さんにも当てはまるとは限りません。
ここが、子育ての面白いところです。
お母さん自身の子ども時代を思い出してみる
ここで少し、
お母さん自身が
子どもだった頃を思い出してみてください。
どんな時なら、頑張れましたか?
反対に、どんな言われ方をすると、
やる気をなくしましたか?
私自身も、今振り返れば、
なかなかのこじらせ女子だったと思います。
外ではいい子なのに、
どうしてお家では
いうこと聞かない子なのか?と
いつも育ててくれた母は嘆いていました。
本当に今思えば
私は、パステルキッズでした。
あの頃そんな自覚はなかったですが…。
決して、何でも素直にできる子
ではありませんでした。
けれど、
何も乗り越えられなかったわけでも
ありません。
夢中になれるものがあると動けたこと。
自分で決めたことなら頑張れたこと。
ある人の一言が突破口になったこと。
大人になって発達を学んでから、
「あの時の私は、これがあったから
突破できたんだ」
と気づいたことが、たくさんあります。
それは今、子どもを見る時の
私の引き出しになっています。
けれど、お母さんのヒットパターンが我が子の正解ではありません
ここが、とても大事です。
お母さん自身が、
「私はこれで頑張れた」
と思い出せたとしても、
それがそのまま我が子にも
当てはまるとは限りません。
それはあくまで、
お母さんの中にある一つの引き出しです。
「私はこうだったから、あなたもこれでしょ」
ではありません。
なぜなら、
親子であっても、きょうだいであっても、
脳の使い方はみんな違うから。
同じ家で育っていても、
同じ声かけでやる気になるとは限りません。
一人には届いた方法が、
もう一人には全く響かないことだってあります。
だから私は、
そこが面白いと思うんです。
「私はこうだった」ではなく、
「この子はどうなんだろう?」
へ。
その違いを見つけていくんです。
ヒットパターンは、一度で見つかるとは限りません
そしてもう一つ、大事なことがあります。
ヒットパターンは、
一度うまくいったから、
「これが正解だ」とすぐ
決められるものでもありません。
「楽しみがあれば動けるんだ」
と思って試してみたら、次は動かなかった。
「予告すれば切り替えられるんだ」
と思ったのに、予告されることで
余計にイライラした。
そんなこともあります。
子どもの行動は、
その日の疲れ具合や、
その前に何があったか、
どんなタイミングで声をかけたか、
どんな状態でその言葉を受け取ったか
によっても変わります。
だから、
ひとつの出来事だけで、
「この子はこういう子」と決めない。
実践して、観察して、
また作戦を変えてみる。
その繰り返しの中で、
「こういう時は動きやすいんだな」
「ここで声をかけると怒りやすいんだな」
「この条件がそろうと、自分から動けるんだな」
と、
少しずつその子の
ヒットパターンが見えてきます。
そして私は、
ここを一人で見極めていくのは
案外難しいと思っています。
毎日一緒にいる我が子だからこそ、
できていないところが目についたり、
心配が先に立ったり、
「こうしてほしい」
という親の思いが強くなったりするからです。
だから私は、
生徒さんと一緒に実践しながら、
この子は、どんな時によく怒るのか。
反対に、どんな時なら動けるのか。
うまくいった時には、何が違っていたのか。
そんなところを一緒に振り返っています。
そして、
「じゃあ、次はどうしてみようか」
と作戦を考えます。
私は、
「この言葉を言えば大丈夫」
という正解を渡しているわけではありません。
実践してみて、
また観察して、
うまくいかなければ別の角度から考える。
その繰り返しの中で、
少しずつお母さん自身が、
「うちの子は、こういう時なら動きやすい」
と見立てられるようになっていきます。
そこで、どんな会話をするのか。
どこで待つのか。
いつ声をかけるのか。
そこは、
お母さんの腕の見せ所です。
誰かの正解をそのまま使うのではなく、
我が子を見ながら、
使える引き出しを選んでいく。
その力を育てていくことが
大切だと思っています。
できた日は、「たまたま」で終わらせない
できなかった日は、
どうしても目につきます。
けれど、
できた日は案外、
「あ、今日はできたね」
で終わってしまいます。
私はむしろ、
できた日の方にこそ、
その子を知るヒントがある
と思っています。
できなかった原因を探し続けるのではなく、
「この子は、どんな時ならできる?」
という目で見てみる。
すると、
今まで「困った行動」にしか
見えていなかったものの中から、
その子だけのヒントが
見えてくることがあります。
それは、
正解を当てる作業ではありません。
我が子のヒットパターンを探す
宝探しです。
そして、
その宝がどこにあるのかは、
親子でも、きょうだいでも違います。
だからこそ、私は子育てって
面白いんだと思っています。
「じゃあ、うちの子の場合は?」
そう思ったお母さんへ。
我が子のヒットパターンは、
ネットで見つけた正解を
当てはめるだけでは見つかりません。
どんな時に止まりやすく、
反対に、
どんな時なら動けているのか。
今のお子さんの様子と
親子のやりとりを一緒に整理していくと、
「だから、ここでうまくいかなかったんだ」
「ここなら変えられそう」
という糸口が
見えてくることがあります。
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