「何をしても変わらない」それは脳がそう“学習”しているだけ
「もう手遅れかもしれない」「また同じことを繰り返してしまう」そう感じるとき、多くのお母さんは“自分が弱い”と責めてしまいます。
けれど実はそれ、脳が「どうせ変わらない」と学習してしまっている状態なんです。
これを心理学では学習性無力感と呼びます。
学習性無力感とは?
心理学者マーティン・セリグマンが行った実験で、動物が「逃げられない経験」を繰り返すと、後に逃げられる状況になっても行動しなくなることがわかりました。
人間にも同じ現象が起こります。
・何度も子どもに言っても変わらない
・努力しても結果が出ない
・怒りたくないのにまた怒ってしまう
そんな経験を重ねるうちに、脳は「どうせ無理」と感じる回路を作ってしまうのです。
無力感の正体は、“脳の誤作動”
脳には、感情を記憶する「扁桃体」と、行動をコントロールする「前頭前野」があります。
強いストレスが続くと、扁桃体が過剰に反応し、前頭前野(理性・判断・行動を司る部分)が働きづらくなります。
結果として、「動けない」「考えても仕方ない」と感じるのは、脳の誤作動によるものなんです。
無力感から抜け出す“脳の使い方”
脳をリスタートさせるには、「行動できた」という成功体験を小さく積むこと。それが、前頭前野を再び動かすスイッチになります。
小さな成功を“記録”する
・朝、笑顔で挨拶できた
・怒る前に一呼吸おけた
・「ありがとう」を言えた
たとえ1ミリでも「できた」に注目することで、脳内にドーパミンが分泌され、“またやってみよう”というエネルギーが戻ります。
ポイントは1ミリしかではなく、1ミリでもできたという、「できたに注目」すること。完璧を求める必要はゼロです!
比較ではなく「昨日の自分」と比べる
他のママや子どもと比べると、扁桃体が再び活性化してストレス反応が強まります。
比べるなら、“昨日より少しできた自分”。それが脳をポジティブに保つコツです。
「今の私」を許す
「昔の自分が悪かった」と責めるより、「あの時は精一杯だった」と認めることで、脳のストレス回路が緩みます。
どんな自分であっても自分だと認める、自己受容は、脳を回復させる最強のリスタート方法です。
行動が脳を変え、脳が未来を変える
「わかっているけどできない」の壁を越えるには、思考よりも“行動”が先。
脳科学では、行動によってシナプスが強化され、「できる私」という新しい記憶が上書きされていきます。
過去の後悔を抱えたままでいいんです。
そこから“次の一歩”を踏み出せば、脳は必ず再構築されていきます。
私もそこから始めました
私自身も、「もう変われない」と思っていた時期がありました。
怒ってしまう自分を責め、「私は毒親なのでは?母親失格なのでは?」と泣いた夜もありました。
けれど、発達科学コミュニケーションを学んで、“脳の仕組み”を理解したとき、「変われない」のではなく“変わり方を知らなかった”だけだと気づいたのです。
脳は、何歳からでもリスタートできる。それを200名ものお母さんと証明してきました。
過去の失敗を引きずるのは、弱さではありません。
それは、変わりたいと願う心がある証拠です。
脳を整え、無力感を希望に変えることはできます。
今日から“脳を育て直す”第一歩を踏み出していきましょう。
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