子育ての困りごとを
いくつも抱えていたTさんに、
最初に起きた変化は、
「吃音がゼロになった」
ことではありませんでした。
最初に変わり始めたのは、
朝でした。
講座を始める前のTさんは、
吃音のことが
気になっていました。
言葉のはじめが伸びる。
同じ音を繰り返す。
忙しい日が続くと、
また目立つようになる。
だから、
一番気になるのは当然、
吃音でした。
ところが、
Tさんが学び始めて
少しずつ変わり始めたのは、
話し方だけでは
ありませんでした。
・夜、眠れるようになってきた。
・朝の流れが
少しスムーズになってきた。
・登園しぶりが
以前より減ってきた。
そして、
・吃音も変わり始めた。
難発が減り、
スラスラ話せることが
増えてきたのです。
これは、吃音の症状が
第2層というレベルから
第1層に軽快してきた、
ということです。
ここに、
とても大事な発見があります。
吃音だけを
直接どうにかしようと
したのではなく、
子どもの脳が
動き出しやすい毎日へ
整えていったら、
眠りも、
朝も、
登園も、
ことばも、
少しずつ同じ方向へ
動き始めたのです。
昨日お話ししたように、
Tさんの息子くんは、
困りごとがバラバラに
出ているように見えていました。
・吃音
・母子分離不安
・登園しぶり
・癇癪
・手洗いへのこだわり
・家で安心できる場所を
求める姿。
一つひとつを見れば、
別々の悩みに見えます。
けれど、
脳の負荷、
安心、
行動、
自信のつながりとして見ると、
どこから整えればいいのかが
少しずつ見えてきます。
Tさんが取り組んだのは、
特別なトレーニングでは
ありません。
ことばの練習を
何度もさせたわけでも
ありません。
まずは、
息子くんの脳に届くように、
関わりを整えていきました。
・できているところを見る。
・伝わる形で声をかける。
・動き出しやすい入口を作る。
・崩れた時に、
責めるより先に負荷を下げる。
・できた記憶を
ママの言葉で残す。
一つひとつは、
とても小さな関わりです。
けれど、
この小さな関わりが積み重なると、
子どもの脳には、
「できた」
「わかった」
「ママに伝わった」
「もう一回やってみよう」
という記憶が残っていきます。
すると、
朝の支度でも、
少し動き出しやすくなる。
夜も、
安心して眠りに入りやすくなる。
登園も、
前より踏み出しやすくなる。
そして、
ことばにも変化が出てくる。
これは、
吃音だけに効く魔法の声かけが
あったという話ではありません。
ママの見る場所が変わり、
関わり方が変わり、
息子くんの脳が
安心して動き出せる場面が
増えていった結果です。
実はここで、
ママ自身にも変化が
起きています。
Tさんは、
疲れている時に
無表情になりがちだった
自分に気づき、
学びを進める中で、
ママの笑顔が増えてきたことも
振り返っていました。
これは大きな気づきです。
ママが笑えるようになると、
子どもも安心しやすくなります。
子どもが少し動けるようになると、
ママもまた笑いやすくなります。
親子は、
どちらか一方だけが
変わるのではありません。
・ママの関わりが変わる。
・子どもの反応が変わる。
・その変化を見て、
ママの自信も育つ。
・そしてまた、
子どもの安心が増えていく。
この循環が始まると、
子育ては毎日の反省会から、
親子の変化を見つける時間へ
変わっていきます。
今日、ここからできる一歩は
とてもシンプルです。
お子さんの吃音が気になる日ほど、
「今日はどもっているか」
だけを見るのを
少し横に置いてみてください。
吃音が気になる日は、
話し方ではなく、
その前後の一日を見てみる。
そこに、ママができる一手が隠れています。
明日は、
その先のお話をします。
よくなったあとに
また揺れた時、
Tさんはどうやって
親子の軸に戻っていったのか。
一度よくなって終わりではなく、
揺れながらも
親子の未来を舵取り
していく力について
お話しします。

