私のところには時々、
「小学生の子どもが、
家のお金を隠れて
持っていってしまいます」
というご相談が届きます。
子どもに聞くと、
「僕は知らない」
少し経ってから聞くと、
「拾っただけ」
「使ってないよ」
と、聞くたびに
話が変わっていく。
こういう行動の背景は、
一人ひとり違います。
欲しいと思った時に
衝動を止めにくい子。
怒られることが怖くて、
その場を切り抜ける言葉を
とっさに使う子。
今の行動が、
この先どうなるのかを
想像することが苦手な子。
背景はさまざまです。
けれども、
こういう子たちは
ある変化が脳の中で起きると
行動がスッと
落ち着いていきます。

共通して育てたい力は
たった一つです。
それは、
ことばで自分の行動を
制御する力です。
人は、他人と
コミュニケーションを
とるためにも言葉を使いますが、
物事を考えたり、
何をするか考える時に
脳の中で言葉を使います。

ことばの発達が未熟な子は、
思考をまとめたり、
自分の感情を落ち着かせたり
することが苦手です。
ところが、
ことばが発達してくると、
自分で自分の脳をまとめる、
ことのば力が
育ってきて、
状況にあった行動が
取れるようになります。
目の前にお金がある。
欲しいものがある。
その瞬間に手が動く子の
頭の中には、
「欲しい」
しかないことがあります。
ここに、
「ちょっと待てよ。
勝手に持っていったら、
あとでわかっちゃうよな。」
「嘘をついても、
困ることが増えるだけだな。」
「あとで怒られるぐらいなら、
今、ここでお母さんに相談しよう」
という言葉が入るようになると、
子どもは、
一度立ち止まって
その場に合った行動を
選べるようになっていきます。
大切なのは、
「人のお金を取ったら泥棒だよ」
と、善悪を繰り返し
教えることだけではありません。
子どもは、
いけないことだと
知っている場合も多いからです。
知っているのに、
その瞬間に思い出されない。
起きたことを
順番に整理できない。
この先どうなるのか、
見通しを立てられない。
困った時に使える
別の方法を思いつけない。
だから、
わかっていることを
行動に変えられません。
必要なのは、
あとから正しい答えを
言えることではなく、
行動する前に、
「今、どうしたらいい?」
と、自分に問いかけ、
自分で自分を動かす言葉です。
言葉が発達するとは、
単に語彙が増えたり、
上手に話せたりすることでは
ありません。
✔︎起きていることを分ける。
✔︎順番をつける。
✔︎この先を予測する。
✔︎いくつかの方法から選ぶ。
そして、
✔︎選んだ行動を自分に指示する。
この力が育つと、
・お金を持っていく、
・嘘に見える言葉で逃げる、
という困った行動にも
変化が現れ始めます。

一方で、
「どうして取ったの?」
「本当のことを言いなさい」
と問い詰め続けると、
まだ頭の中を
整理できない子は、
その場を逃れる言葉を
さらに重ねることがあります。
するとママは、
ますます子どもの話を
信じられなくなる。
子どもも、
困った時ほど
本当のことを話せなくなる。
この親子のすれ違いは、
叱り方を変えるだけでは
解決しません。
子どもの脳の中に、
考えるための言葉を
育てていく必要があります。
その言葉は、
机に向かって練習するのではなく、
ママとの毎日の会話の中で
育っていきます。
ただし、
同じようにお金を持っていったり、
その場しのぎの嘘をついてしまう子は、
どこで脳の処理が
止まっているのかは
一人ひとり違います。
だからこそ、
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