1.不登校で引きこもりがちな子どもになぜ居場所が必要か?
『居場所』という言葉を聞いて、皆さんはどんな事を思い浮かべますか?
自分の家や自分の部屋でしょうか?子どもなら学校、大人なら職場になるでしょうか?
居場所として重要なのは心から安心できる場所、自分が自分らしくいられて、居心地が良いと感じられる場所、などが考えられると思います。
義務教育の子どもが大半の時間を過ごす場所として小・中学校が挙げられますが、不登校の状態は学校が安心できる場所ではない、居場所として感じられない状態になっています。
不登校の子どもは、みんなが普通に行っている学校に行けなくなった、学校に行きたい気持ちはあるけど行けない…と引きこもりがちになり、自己否定や罪悪感で苦しんでいることもよく見られます。
居場所がなくなってしまうことは孤独を感じ、精神的に不安定になる場合もあります。
不登校の子ども達の傷ついた心を癒すためには何が必要か、次から紐解いていきましょう。
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2.不登校支援に必要な心の土台
菅野純著『教師の心のスイッチ』の中で、不登校の支援として子どもの心の土台を形成する以下の4つの要素が挙げられています。
①人間のよさ体験:『人っていいものだなぁ』と思う体験=人への信頼体験
②心のエネルギー:元気や意欲の元となる要素。安心できること、楽しい体験、認められる体験
③社会的能力:自己表現力、自己コントロール力、状況判断力、問題解決力、思いやり
④その子本来の力・活力
この要素から人を信頼する事から心のエネルギーが貯まり、他者とのコミュニケーションを通して本来の自分が確立できるとされています。
そのためにも安心できる人と場所=居場所があることは、心が傷ついた不登校の子ども達が前に進むきっかけになる重要な要素になっています。
3.不登校親の会で子どもの居場所作りを始めよう!
我が家には小2より不登校になった長男と小1より不登校になった次男の年子兄弟がいます。
完全不登校が1年以上経った頃、長男は『自分と同じような友達が欲しい。不登校で恥ずかしがりやな人いないかな』
次男は『暇だ~、何すればいい?』と訴える事が多くなってきました。
大分元気になってきた様子は感じるものの、私の町には行政が不登校の子どもの学びを支える教育支援センターや、民間で行うフリースクールもありません。
家以外で安心できる居場所が欲しいなぁ、と思ってはいたものの、どうすればよいか分からないまま時が過ぎていました。
それから、不登校親の会を立ち上げる機会があり、当初は親の集まりが中心でした。
くわしくはコチラの記事で→孤独を感じるお母さんがエネルギーチャージできる居場所「不登校親の会」を立ち上げてその後1年で世界が変わったストーリー
その中で、不登校の子ども同士が交流できる場も作りたい、と不登校親の会のメンバーで話が出ました。
不登校親の会に参加しているメンバーの子ども達は発達障害の診断がついている子、診断はついていないグレーゾーンの子と様々な特性があります。
その特性は自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、繊細な子ども(HSC)、吃音、ギフテッド、場面緘黙と多岐に渡り、年齢も様々です。
特性も年齢も様々な子ども達が安心できる居場所作りを行うにはどうしたら良いか、まずは親の方で考え、実践していきました。
次からは、不登校親の会で取り組んだ子ども達の居場所作りの経過をお伝えします。
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4.子どもの居場所作りをする時のポイント
🔸好きなことから始めよう!
不登校の子ども達に共通していたのはゲームが好きということだったので、携帯型ゲーム『スイッチ』を持参して交流することから始めました。
当初、場所は我が家を開放し、テレビがある居間に来れる子は集まり、みんなでゲームするのに抵抗がある子は別な場所で1人でゲームをすることにしました。
他にマンガが沢山あるカフェにゲームを持ち込んで、マンガを読んだりゲームをしたり、食べたいものを注文し、3か月ほどはスイッチを中心に自宅とカフェを併用して、ゲーム&おやつで居心地の良さを体感してもらいました。
ゲーム中心に人と場所に慣れてきた頃、屋外での七輪パーティーを企画し、カルビ・焼き鳥・スルメ・干し芋・マシュマロを炭火で焼いて、育ち盛りの子ども達の胃袋を掴みました。
子ども達が大分打ち解けてきた頃を見計らって、今度は子ども達のやりたいことを実現しよう!と家庭で子どものやりたいことを話し合い、順番を決めた上で実現していきました。
🔸波があることを理解する
「行く」と言っていた子どもが直前になり、行かないと気持ちが変わるのもよくある事です。
お休みが続くようなことがあっても『子どもが自分で決めるのが大事だよね』と親は焦らず子どものペースを尊重する共通認識を皆で持ちました。
車に乗ったけどやっぱり引き返した、という場合も『行きたい気持ちがあって頑張ったんだね』とできなかった事に注目するのではなく、肯定的な見方を親同士で行いながら子どもを見守りました。
親同士がそれぞれの子どもの特性を理解しているので、子ども同士のトラブルが起こった時や特性ゆえの困難なこともさりげなくフォローする体制ができています。
周りの理解と支えがあることで子ども達が楽しみに参加することも増え、トラブル自体も減ってきました。
5.不登校親の会で作った居場所での子どもの変化
現在は月に1~2回不登校の親の会で子ども交流会を行っています。
安心できる人と場所の中で子ども達は積極的に自分のやりたい事を提案してくれるようになりました。
調理師になりたい夢がある子はお菓子作りや食べる活動に強い興味があり、食材の提案をしてくれます。
運動が好きな子は屋外で野球やドッチボール、体育館で卓球やバドミントンでイキイキと身体を動かし、終了時間になっても『楽しかった!まだやりたい』と笑顔で話してくれます。
イベントが好きな子はバーべキューやスイカ割り、花火や肝試し、クリスマス会を提案し、どうしたらみんなで楽しめるか親も交えて、ワクワクしながら企画を考えます。
その中で子ども同士の距離も縮まり、不登校になった理由を話し合ったり、会話は交わさなくても相手の考えてることが分かるんだよ、と教えてくれるなど、お互いを尊重して理解する雰囲気が生まれてきました。
安心できる居場所で好きな事・やりたい事を継続していくと、昼夜逆転している子どもが開始時間前から待っていてくれたり、引きこもりがちがった子どもが家から出る貴重な機会になったり、自分の意見をなかなか言えない子が積極的に発言するなど沢山の成長が見られています。
子どもは子どもを通して成長する!不登校の仲間がいる事で自分を認め、みんな違ってみんないい!を感じられる温かい雰囲気に溢れる居場所となりました。
居場所とは「人」であり、「好き」や「○○したい」の中にあり、人や社会との「繋がり」や「関係性」の中にこそあると思います。
いかがでしたか?
不登校親の会の仲間を通して社会の足がかりとなる居場所の活動をこれからも充実させていきます。
同じような志を持った仲間と叶えたい未来を実現する居場所作りの参考になれば幸いです。
行動する事で道を切り開いていきましょう!
執筆者:みしまひかり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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