1.ADHDタイプの子どもが、勉強することを困難にしている原因
私は発達科学コミュニケーショントレーナーとして、日々発達凸凹の子育てに悩むお母さんのご相談を受けています。発達相談の中で断トツ1位のお悩みがあります。
それは「全然、勉強しないんです!」というお悩み。
・宿題をしない
・宿題を出さない
・宿題があることを知らない
から始まり、
・授業に出てもすぐ忘れる
・授業を聞いても理解できない
・授業に必要な物を準備できない
という悩みまで、勉強に関する相談はあとを絶ちません。
そして結局、勉強する・しないの親子バトルになってしまうというのが現状。私には発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの息子がいますが、実は私たち親子もそうでした。
ですが、今は違います!
勉強は確かに苦手ですが、息子は自分から勉強しようとしますし、宿題もやってます。
では、なぜ子どもが勉強するようになったのか? と言うと…
秘密は「集中力」なんです!
どんなに勉強するように言われても、どんなに本人が勉強したいと願っても、ADHDタイプの子に勉強することを困難にさせてしまっている原因は集中力の不足なんです!
ならば、集中力を高めればいい!ということになりますよね。
脳科学的には、集中力はトレーニングできます!お母さんの接し方1つで集中力を高めることも可能です。
ところが、発達の相談を受け続けるなかで、集中力を伸ばす接し方を誤解している人が多い!と気づきました。
2.我が子のタイプにぴったりの勉強法を探すのが難しい現状
お子さんの「集中力」を上げたい、「勉強」させたいと思った時、情報を何から収集していますか?
・インターネット
・本
・通信教材
・塾
・家庭教師…
いろいろありますよね。
もちろん私も研究のためにさまざまな情報を集めます。 ところがその研究の中で気づいたことがあるんです。
それは情報量が多すぎる!ということ。
世の中的に「いいよ」「効果的だよ」といわれるものが大量にあるのですが、はっきり言って発達パステル(グレーゾーン)の子に使えるテクニックではないことも多いです。
でも、本に、ネットに「こうすれば集中力がのびる!」と書いてあるのですから、全部やりたくなるのがお母さんの心理です。
…で、全部やろうとした結果どうなるかというと、
・親子で揉める
・トラブルになる
・喧嘩になる
これが、情報量が多い時代のパステル子育ての難しさでもあるのです。
発達科学コミュニケーションのモットーは「あれもこれもやらない」です。
お母さんが「頑張りすぎて」うっかりやってしまっているNG対応があれば、ぜひこの機会に変えていきましょう!
まずご自身を振り返ってみてください。例えば、こんなNG対応をやっていませんか?
・苦手科目を重点的にやらせる
・たくさん書かせて覚えさせようとする
・間違えたところは完璧にできるまでやり直しさせる
・他の子と比べる
・勉強は長い時間やらせたい
どうですか? うっかりやってしまっている対応ありませんか?
ちなみに昔の私は全部やっていました! みごとにADHDタイプの息子は勉強が大嫌いになりました。
次は、我が家でこれをどう変えていったという実例をご紹介します!
3.集中力をアップさせるには○○を把握すること!
お子さんは毎日お家でどれくらい勉強しますか?
ある調査によると
小学生で1時間半、とか
中学2年生で1時間半、とか
中学3年生(部活引退後)で4−5時間、とか
同じ中3でもモーレツ勉強する子は休日9時間、とか…
いろんなデータがあります。
このデータを見てどう思いましたか? きっと真面目なお母さんほど「や、やばい。今日帰ってきたら早速、子どもと話をしよう!」なんて思ってしまいがち。
では、もう一つ質問します。
勉強のときのお子さんの集中力が何分持続するか、把握していますか?
お母さんの「●分は勉強してほしい」「●分くらいやるのが当たり前よね」という考え方ではなく、リアルにお子さんが集中力を持続できる時間です。
10分? 30分? 60分? どうですか?
実は、勉強嫌いな子の集中力を伸ばすのに大事なのは、世の中の「平均値」ではなく子どもの「等身大」のチカラを把握することです。
子どもの今もっているチカラや心の状態にフィットした「時間設定」ができているかどうか、 これが子どもたちの勉強嫌いを解消するコツなのです。
ちなみに私は息子が小6の頃、「1日1時間は勉強しなさいよ!」といっていました。
でも全然やらないのでガミガミ言い続け、「やれ!」「やれ!」オーラを出しまくり、やらなければゲーム禁止などの罰を与え、親子関係は悪化の一途を辿りました。
もちろん、集中力が高まることもありませんでした。
その後、発達科学コミュニケーションに出会い、息子の集中力を観察する習慣がついて気づいたのは…
息子の集中力は10分だな…ということ。
10分!短かっ!(笑)
でも、これもパステルの子の脳の特性でもあります。ガミガミいってできるようになるものではないのです。
そこで我が家はどうしたかというと、勉強は10分やればよし!というルールに変更。
子どもたちの集中力は見通しの力とも連動します。
10分でゴール!という見通しが立ちやすい長さと、60分でゴール…「えー、まじで長いんだけど」と見通しが立たない長さ。
集中力が発揮できるのは見通しがつくとき、ゴールがわかるとき、です。
だから最初はできる長さからスタート!「勉強を10分やるってこういうことかー」 「おお、やってみたらできたわー」こうやってプチ成功体験の積み重ねが勉強すること、集中することを可能にしていくのです。
勉強を60分やらせようと思っても10分しか頭が働いていないなら残り50分がもったいない。 もったいないだけでなく多くのお母さんが集中できていない50分の間に否定的な関わりをしてしまいがち。
「まだ、そこまでしか終わってないの?」「ダラダラしないで」「もっと早くできないの?」
こんな否定的な関わりを50分、しかも毎日続けるくらいなら、思い切って「できる時間」に絞って、子どもに「できた!」「やった!」というポジティブな体験をさせてあげましょう。
この対応をしたところ、10分勉強男子だった我が家のADHDタイプの息子が、テスト前は3−4時間連続の家庭教師タイムを乗り切れるまでになりました。
当然、特性として集中力の続きにくさはあるので、やる内容、やる順番、休憩の入れ方を工夫しながらやるわけですが、ここは母の腕のみせどころ。
さらに今では、学校の授業でも集中力を発揮するようになり、頑張って先生の話を聞いたり、ノートをとったりするようになりました。
時間を増やしてダメなら思い切って減らす! こんな非常識な方法で、子どもに集中力がつき、勉強嫌いが解消していくのです。
この先ずっと勉強時間を減らしたまま行くわけではありません。集中するチカラ・勉強するチカラがついてきたら、そこから加速させるんです。
高くジャンプしようと思ったらぐっとしゃがんで力をためてジャンプしますよね! それと一緒で、今は力をためるときなのです。
お子さんにフィットした勉強スタイルをお母さんがプロデュースしてくださいね!
集中力が続かない!勉強嫌い!発達障害ADHDキッズの勉強習慣をつくるママの新常識
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
わが子に合った勉強法を見つけるコツがわかります‼