毎朝起きない息子と親子バトルをしていた私。
少し前の我が家の朝は毎日壮絶でした。
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の息子は、朝がとても苦手。
今日こそ、親子バトルなしでうまく起こす! そう心に決めて、起こし始めます。
「おはよう!朝だよ♪」
「そろそろ起きる時間だよー!」
はじめは優しく声をかけますが、全く起きない息子。
そのうち私の口調は強くなります。
「ねぇ、いつまで寝てるの?」
「朝だってば!」
それでも起きない息子に苛立ち、最終的には無理矢理たたき起こす。
「もういい加減に起きて!」
「ねぇ!起きてっていってるでしょ!」
そんな私の口調や態度に応戦するようにして親子バトルが始まります。
「いやだ、もっと寝る!」
「何で勝手に布団を取るの!?」
「やめろ!!」
「こっちに来るな!!」
何かを投げつけたり、たたいたり。
朝から起きることに癇癪をおこす…
もともと発達障害・ADHDの息子には
・怒りっぽい
・生活リズムを壊しやすい=朝上手く起きれない、夜なかなか寝付けない
といった特性があります。
そのうえ、やりなさい!などと命令されたりするのが嫌いです。
共働きの我が家の朝は、時間との勝負。
ただでさえ時間に追われ、イライラしてしまっている私は、心に余裕がない状態でした。
他の兄弟のこともあるし、ずっと付きっ切りで起こす時間もないため、最終的には無理矢理起こすという負の流れです。
息子の特性を分かっていながらも、うまく対応できず、毎朝親子バトル勃発。
私は毎日のように朝から疲れ切っていました。
朝、バトル無しで気持ちよく息子が起きることができる、 そんないい方法はないんだろうか…。
指示が伝わっていない、もしくは難易度が高いのかもしれません。
なぜ、なかなか起きることが出来ないんだろう…。
ADHDタイプのお子さんは、睡眠自体に問題がある子も少なくありません。
我が家の息子も、睡眠リズムが整いにくいタイプのようです。
それにしても なぜここまで「起きる」ことに抵抗するのでしょう?
そして、なぜ、ただ起きられないだけでなく、 怒りや癇癪に繋がってしまうのでしょうか?
もしかすると、母からの「起きてね」の指示がお子さんまで届いていない、理解できていないのかもしれません。
なぜなら、「起きる」とひと言でいっても、「起きる」にはたくさんの手順が含まれているからです。
目を開ける、布団から出る、座る、立つ。
ざっくり分けても4つの手順があります。
つまり、お子さんにとって「起きる」という指示は抽象的で、実際は具体的に何をすればいいのかが理解できていない可能性があるということなのです。
また、指示内容は理解できたとしても、お子さんにとってその行動の難易度が高い、という可能性もあります。
そもそも、朝苦手なことにプラスして、何をしたらいいのかがよく分からない、もしくは指示レベルの難易度が高く、やる気が起こらない。
こんな状態の時に 「いい加減にして!」 「さっさと起きて!何回言えばいいの!」 などと怒られ続け、詰められ続ける…。
そりゃ、癇癪を起こしたくなるのもわかる気がしますよね。
実際、抽象的な指示を受けた時の脳の中では
①指示内容を考える
②行動する
この2ステップの処理が行われています。
行動を起こすためには、まず①のステップ、”考える”ことをしないと脳の中での処理が行動まで進まない状況だったのです。
この脳の処理について知った時、 息子にとって「朝起きる」ことは試練の山だったんだと気づき、 そんな息子に追い打ちをかけるような声かけをしていた自分を責めました。
毎朝頑張って頑張って起きている息子。
少しでも楽に起こしてあげられる方法はないのでしょうか。
「起きる」という指示をスモールステップに分解してみよう!
前述した通り、抽象的な指示を受けた脳内では2ステップの処理をしないといけません。
もともと、朝は苦手、順序だてて考えることも苦手なことが多いADHDキッズたち。
そんな彼らへは抽象的な指示ではなく、具体的な指示をだしてみましょう。
具体的な指示とは、伝えられた本人がサッとイメージして動きやすい指示のことです。
では、どうやって抽象的な指示を具体的な指示に変換するか?ですが、
ポイントは、スモールステップに分解することなんです。
つまり、「起きる」というひとつの行動をもっと細かく分けるということ。
私はこんな風に分解してみました。
「起きる」
↓
・目を開ける
・布団からでる (手をだして /足をだして/体をだして)
・座る
・立つ
・ママの背中にのる(おんぶで食卓へ)
そして、こんな風に声をかけます。
「おはよう、朝だよー」
声が耳に届いて反応があれば、
「ミッションいくよー!まずは目を開けてみて♪」
開けられたら、
「お!目が開きましたー!〇〇くん、いいね!」
「さぁ、次のミッションは…布団から出ます!」
「最初に出るのは手かな?足かな?」
分解したことを1つずつ伝え、出来たらすぐに褒めます。
そして、次のステップへと進んでいきます。
最初のうちは上手くいかないことも多く、失敗に終わることもありましたが、
“頑張って、頑張って起きようとしているんだ“
これを知っているだけで、私の心の在り方は違い、 これまでのように怒鳴ったり問い詰めたりすることは自然と無くなっていました。
やったのは、「起きる」という行動をスモールステップに分解して伝えただけ!
この対応を続けることで、数ヶ月前まで壮絶親子バトルを繰り返していた我が家の朝に笑い声が聞こえるようになりました。
時にはプチ癇癪に繋がってしまう時もありますが、そんな時は、 “今一生懸命起きようとしているんだ“ ということを思い出し、 「お!頑張って起きようとしてるね!」 と肯定の声かけをかけるようにしています。
最近では、 「朝だよ、起きれるかな?」 の声かけだけで目を開け、布団から出られる日も出てきました。
数ヶ月前からは有り得ない息子の姿にに驚かされる日もあるほどです。
いかがでしたでしょうか?
毎朝、壮絶な親子バトルで悩んでいる…という方、ぜひ「起きる」をスモールステップに分解して伝えてみてください。
そして、お子さんは“頑張って起きようとしている“ということも頭の片隅に入れておいてくださいね。
朝の親子バトル時間で悩んでいるご家庭に、少しでも笑顔の時間が増えますように。
執筆者:山田こはる
(発達科学コミュニケーション トレーナー)
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