発達障害に限らず、不登校の子どもをもつ親御さん!子どもの将来を心配していませんか?文部科学省が、不登校経験のある中学3年の子どもを対象に、5年後どうなっているか追跡調査を行いました。その結果から、私たち親ができることを考えていきましょう! |
【目次】
1.発達障害であるかどうかは関係なし!不登校だった中学3年生が5年後どうなっている?
1-1 中学卒業後はどうしてる?
1-2 中学3年だった子どもが20歳になったとき、どうしてる?
1-3 20歳時点でどんな学校に通っている?
2.不登校でも大丈夫!調査からみえてきたこと
3.不登校の子どもに寄り添い認めること
1.発達障害であるかどうかは関係なし!不登校だった中学3年生が5年後どうなっている?
1-1 中学卒業後はどうしてる?
文部科学省は、平成18年度(2006年)に不登校だった41,0434人の中学3年生の子どもが5年後どうなっているのか調査をしました。(※1)
進路の調査によると、前回の調査(平成5年度の調査)と比べて、高校の進学率が65.3%→85.1%に伸びていることがわかりました。
この85.1%の中には、働きながら高校進学している子どもも含まれています。中学を卒業して就職している子どもも6.0%いました。
中学生時代に不登校経験があっても、約85%の子どもたちは高校に進学していることがわかります。
1-2 中学3年だった子どもが20歳になったときどうしてる?
『学校に通っている』『働いている』『学校に通いながら働いている』子どもたちは、全体でどのくらいか調べると81.9%という結果でした。
不登校経験があっても、20歳になった時点では、約80%の子どもたちは何らかの形で学校にいったり、働いたりしているということがわかりました。
1-3 20歳時点でどんな学校に通っている?
上記1−2の調査のうち、20歳時点で学校に通っている人は、どんな学校に通っているのか、データを見てみると
大学・短大・高専 22.8%
高等学校 9.0%
専門学校・各種学校等 14.9%
という内訳でした。
中学卒業後すぐに、高校進学しなかった場合や、進学した高校が合わなくてやめたりした場合も、再度、高校進学しているケースもあります。
自分の得意なことや好きなことがある子ども、また、将来なりたい職業がある子ども、将来夢がある子どもたちは、意欲をもって進路を選択しています。
専門学校・各種学校等で専門性を身につけ即戦力になるよう勉強したり、高校卒業後さらに大学、短大などに進学している子もいます。
大学・短大・高専に通っている子どもたちも5年前の調査と比べると、8.5%→22.8%と大幅にのびています。
例え事情があって、高校に行かなかったり、途中でやめたとしても「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)」という試験もあります。
それに合格することで、国立・公立・私立の大学、短大、専門学校の受験資格を得ることができます。
高卒認定試験に合格していれば、各種国家試験や就職などの採用試験などの受験資格を得ることもできます。進路の選択肢も広がり未来につながりますね!
こうやって見ると、中学時代に不登校経験があっても、その後さまざまな進路を選択して、学んでいる人がいることがわかります。
2.不登校でも大丈夫!調査からみえてきたこと
不登校経験があったとしても、決してネガティブに考えることはありません。
今回の調査では、不登校により、勉強・友達・進路等でのマイナスがあったという意見もあったようですが、
「休んだことで今の自分がある」
「成長した・視野が広がった」
「出会いがあった」
「人とは違う経験をした」
「人に優しくなった」
など、不登校の経験を振り返りながら前向きに進んでいる様子もみられたようです。
また、「不登校によるマイナスの影響を感じるか」という質問に対しても、約68%以上の人は「感じていない」と答えています。
もちろん、不登校による登校日数不足で、当初目指していた進路を選択できなかったなど、予期せぬ出来事はあったかもしれません。しかし、大切なのは「その後をどう過ごすか」です。
義務教育終了後の進路の選択肢は、幅広く用意されていることを知り、焦らずにお子さんと向き合って、お子さんに合った道を選ぶ視点を持って欲しいと思います。
1つ、就職に関する調査で興味深いものがありますのでご紹介します。
新卒学生向け就職サイト「マイナビ」の運営等を行っている株式会社マイナビが行った調査(※2)の結果です。
「マイナビ2019」に登録している既卒者(新卒)のうち、53.1%が在学中に内定をもらっていたにも関わらず、新卒1年目で転職活動を行っていることが明らかになりました。
大学に進学し、内定をもらい、卒業して入社したのに、すぐに次の会社を探す。「一度就職したが、退職もしくは在職しながら再度就職活動を行っている」という人が54.1%と5割を超えていました。
その理由は、「自己分析が不十分だった(自分のやりたいことやできることがよく分からなかった)」(51.3%)がトップ。
そして、「業界研究・企業研究が不十分だった(行きたい業界・企業が見つけられなかった)」(40.7%)が続いています。
こうやって見ると、不登校があってもなくても、発達の特性があってもなくても、「これが安心」という進路があるわけではないことがわかります。
「理想」や「常識」だけにとらわれず、お子さんに合った道を見つけられるよう、子どもが夢と希望を持って進んでいけるよう、親としてサポートしていきたいですね。
3.不登校の子どもに寄り添い認めること
前述の文部科学省の調査では、不登校時の「支えとなるアドバイスをしてくれた人」の第1位は「母親」でした。不登校期間は、子どもに寄り添い安心できる環境をつくってあげましょう!
原因はなにであれ、不登校になった、不登校を選択したということは、ぎりぎりまで頑張った結果です。まずは、動き出そう!という力がでてくるまでゆっくり休ませてあげてほしいと思います。
不登校になる子どもは、学校では評価されにくいけれど、得意なことや才能があることも多いといわれています。
お子さんの得意や才能を伸ばしてあげられるような声かけや環境づくりもできるとよいですね。
本人を認め、本人のやりたいことを応援し、困ったことがあったり本人が助けをもとめたりしたら、サポートする。そんな見守る姿勢が、子どもたちが将来に向かって動き出す原動力になります。
もしかしたら、ずっと子どもが家にいてずっとゲームをしていたり、ごろごろだらだらしていると、イライラしたり小言もいいたくなるかもしれません。
でも、顔を合わせるたびに小言など言いつづけると、子どもも心を閉ざしてしまいます。
そうならないように、子どもの気持ちに寄り添い、日頃から、親子のコミュニケーションを大切にし、お互い話し合える関係を築いておきたいですね!
※1)文部科学省「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~参照)
※2) 株式会社マイナビ 『マイナビ2019』に登録している既卒者を対象とした「2018年度マイナビ既卒者の就職活動に関する調査」参照
※2) 株式会社マイナビ 『マイナビ2019』に登録している既卒者を対象とした「2018年度マイナビ既卒者の就職活動に関する調査」参照
執筆者:愛川まいこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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