発達障害の子が靴下を嫌がるのはなぜ?感覚過敏で履けないときのお家対応

 

子どもが靴下を履けない、服を嫌がるのはわがままではなく感覚過敏が関係していることもあります。靴下の縫い目やしわを嫌がる子どもへのお家でできる対応や、スムーズに着替えられる工夫を解説します。
 

【目次】

 

監修者:吉野加容子

発達科学コミュニケーション創始者/パステル総研主宰/発達科学ラボ代表

 

脳科学をベースに、発達障害・発達グレーゾーンの子どもの発達支援を専門とする。広島大学教育学部卒業後、東京学芸大学大学院修士課程、慶應義塾大学大学院博士課程で学び、民間企業での脳科学研究、医療機関での発達支援、大学での教育に従事。

 

15年以上にわたり発達に悩む親子と向き合う中で、「子どもの発達を本当に伸ばすのは、家庭での365日の関わりである」という結論にたどり着く。

 

病院や学校だけでは支援が届きにくい発達グレーゾーンの子どもたちに対して、家庭で再現できる支援を確立するため、脳科学・教育学・心理学を融合した独自メソッド「発達科学コミュニケーション」を開発。

 

これまでに数多くの親子の変化を生み出し、“ママが変われば子どもが変わる”という発達支援の新しい当たり前を広げている。

著書に『発達障害とグレーゾーン 子どもの未来を変えるお母さんの教室』『脳を育てる親の話し方』『脳が喜ぶ子育て』など。

1.発達障害の子が靴下を嫌がる・履けない…毎朝困っていませんか

 
「靴下が気持ち悪い!」
「ちゃんと履けない!」
何度履き直してもすぐに脱いでしまう。 子どもが靴下や服を嫌がり、毎朝の着替えがなかなか進まないことはありませんか?
朝は時間がないので、靴下ひとつで着替えが止まってしまうと、
「昨日は履けたのに、どうして今日はダメなの?」
「そんなに気にしなくてもいいのに」と言いたくなることもありますよね。
 
わが家の発達障害・グレーゾーンの娘も4歳のころ、着替えのたびに癇癪を起こすことがありました。
 
特に困っていたのが靴下です。
・靴下の縫い目が気持ち悪い
・かかとの位置が少しでもずれると脱ぎ捨てる
・靴下の内側の糸が肌に当たると履けない
・靴を履くと靴下がしわになり癇癪
 
 
 
 
やっと履けたと思っても「気持ち悪い!」と靴下を脱ぎ捨ててしまい、着替えが進まないこともありました。けれど、子どもは困らせようとして靴下を脱いでいるわけではありません。
 
発達障害・グレーゾーンの子どもの中には、私たちなら気にならないような小さな刺激を、とても強く感じる子がいます。「履かない」のではなく「履きたいけれど、気持ち悪くて履いていられない」のかもしれないのです。
 
まずは、なぜ靴下がそこまで気になるのかを見ていきましょう。
 
 

2.靴下を嫌がるのはわがまま?感覚過敏で「気持ち悪い」と感じる理由

 
 
感覚過敏とは、音や光、肌に触れるものなどを、人より強く感じやすい状態のことです。
目や耳、鼻、皮膚などの器官そのものに問題があるわけではなく、脳での感覚の受け取り方に違いがあり、服のタグや靴下のしわなどを強く不快に感じる場合があります。
 
靴下の場合、
・つま先の縫い目が当たる
・少ししわができる
・靴下の中で布がずれる
・糸やタグが肌に触れる
といった小さな違いでも、強い不快感になることがあります。
 
 
 
 
さらに知っておきたいのが、いつも同じように嫌がるとは限らないことです。昨日は履けた靴下なのに、今日は「無理!」となることもあります。
 
子どもは、疲れていたり寝不足だったりすると、いつもなら我慢できる小さな不快感にも強く反応しやすくなります。
 
ですから、
「昨日は履けたでしょ」
「いつも履いている靴下なのに」と考えるより、
「今日はいつもよりつらく感じているのかもしれない」と見ることが大切です。
 
靴下の違和感がどんどん強くなると、子ども自身もどうしたらよいかわからなくなります。そんなときに、「早く履いて!」「それくらい我慢して」と急かされると、さらに余裕がなくなり、「もう無理!」と泣いたり怒ったりすることがあります。
 
このときの癇癪は、単なるわがままというより、自分ひとりでは気持ちを立て直しにくくなっている状態です。
 
表面には「怒り」として現れていても、その内側にはさまざまなつらさやストレスがあり、大人が外側から落ち着くのを手伝う必要があります。
 
では、実際に靴下を嫌がったとき、どのように対応すればよいのでしょうか。
 
 

3.感覚過敏で靴下や服を嫌がる子へのお家対応

 
 
大切なのは、「どうしたら履かせられる?」と考える前に、「何が嫌なのだろう?」と考えることです。子どもの感じ方に合わせて環境を整えていくことで、着替えやすくなることがあります。
 

◆①癇癪になったら、まず刺激を減らす

 
「気持ち悪い!」と泣いたり怒ったりしているときに、
「どこが嫌なの?」
「ちゃんと説明して」
「早く履きなさい」
とたくさん話しかけても、子どもには届きにくいことがあります。
まずは、嫌がっている刺激を減らすことを優先します。
 
靴下を脱ぎたいならいったん脱ぐ。
靴や服が気持ち悪いなら、一度外してみる。
周りが騒がしければ静かな場所に移動し、声をかけるとしても、「大丈夫だよ」「ここにいるよ」
など、短い言葉で十分です。癇癪が強いときは説得するのではなく、安全を確保して刺激を減らし、落ち着くのを待ちます。
 
そして子どもが落ち着いてから、
「つま先が気持ち悪かった?」
「しわになっていたかな?」と一緒に振り返ります。
癇癪の最中に原因を聞き出そうとしないことがポイントです。
 
落ち着いたあとなら、「ここが嫌だった」と子ども自身が気づけることもあります。
 
 
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◆②履きやすい靴下・服を選ぶ

 
感覚過敏がある子どもは、洋服や靴下のちょっとした違いで着心地が大きく変わることがあります。感覚過敏のある子どもは、洋服や靴下のちょっとした違いで着心地が大きく変わります。
 
わが家で大きな発見だったのが、靴下のサイズでした。最初は「締め付けない方がいいだろう」と考え、少し大きめの靴下を選んでいました。ところが、大きい靴下は靴の中でずれやすく、歩くとしわができてしまいます。
 
娘にとっては、この「ずれる」「しわになる」という感覚の方がつらかったのです。そこで、足にフィットする靴下を選ぶようにすると、気持ち悪さがかなり減りました。
 
縫い目が少ない方がいい子もいれば、ゆるい靴下よりピタッとした靴下を好む子もいます。大切なのは、一般的に着心地がよいものを探すことではなく、その子が心地よいものを探すことです。
 

◆③「何が嫌?」を観察して、着られる条件を見つける

 
そして、いちばん大切なのが観察です。「靴下が嫌い」といっても、嫌なのは靴下そのものとは限りません。
・つま先の縫い目
・かかとの位置
・靴下のしわ
・内側の糸
・布の動く感じ
・締め付け
・反対に、ゆるくてずれる感じ
など、子どもによって気になるポイントは違います。
 
ママが探偵になったつもりで、
「これは大丈夫だったね」
「この靴下は靴を履いてもずれないね」
「これはつま先が嫌だったのかな?」
と一緒に確かめていきます。
 
できれば、朝の忙しい時間ではなく、子どもが落ち着いているときに試しておくのがおすすめです。「今日はこの2つならどっちにする?」と、履ける靴下の中から子どもが選べるようにしておくのもひとつの方法です。
 
こうして、「これは大丈夫」「これは苦手」がわかってくると、子ども自身も少しずつ自分の感じ方を理解できるようになります。
 
 

4.「履かせる」より、自分に合う方法を見つけられる子に育てよう

 
 
靴下を嫌がる子どもを前にすると、
「いつになったら普通に履けるようになるのだろう」
「これくらい慣れさせた方がいいのかな」
と、心配になることもあるかもしれません。けれど、目指したいのは、嫌な感覚をただ我慢できるようにすることではありません。
「私はこれが苦手」
「こうすれば大丈夫」
と、自分に合う方法を見つけられるようになることです。
 
わが家の娘も、以前は靴下ひとつで大きな癇癪になっていましたが、今では「内側に刺繍の糸がある靴下はやめて」と、苦手な靴下を説明してくれます。子どもが安心できる環境の中で、「自分の気持ちを言葉にできる経験」を積んでいくと、感情のコントロールも少しずつ育っていきます。
 
子どもの感じ方を否定せず、「そう感じているんだね」と受け止めながら、一緒に着られる方法を探してみてください。
 
子どもの「嫌だ」は、困った行動ではなく、自分に合う方法を見つけるための手がかりになります。
 
▲子どもの小さな「できた」を見つけることが、癇癪を減らす第一歩でした。
 
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▼▼朝の着替えで癇癪になってしまう子どもについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
 
▼▼「感覚過敏」に荒療治はNG!接し方のコツをお伝えしています。

 
 

靴下を嫌がる感覚過敏の子どもによくある質問(FAQ)

 
 

Q1:子どもが靴下を履けないのは感覚過敏なのでしょうか?

A1:靴下の縫い目やフィット感、しわなどを強く気にして履けない場合、触覚過敏など感覚の感じ方が関係していることがあります。子どもによって苦手な刺激は違うため、「どこが気持ち悪いのか」を観察してみることが大切です。
 
 

Q2: 靴下を嫌がる子どもにはどんな靴下を選べばいいですか?

A2:感覚過敏のある子どもは、靴下が中でずれてしわになると不快感が強くなることがあります。大きめサイズより、ぴったりか少し小さめの靴下の方がフィットして履きやすい場合もあります。縫い目が少ないものやタグのないものを選ぶのもおすすめです。
 
 

Q3:靴下が気持ち悪いと癇癪を起こすときはどう対応すればいいですか?

A3:癇癪になっているときは、無理に靴下を履かせたり、理由を聞いたりせず、まず嫌な刺激を減らしましょう。いったん靴下を脱ぐ、静かな場所に移動するなどして、落ち着くのを待ちます。気持ちが戻ってから「つま先が気持ち悪かった?」「しわになっていたかな?」と一緒に確認すると、子ども自身も苦手な感覚に気づきやすくなります。
 
 
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執筆者:本田ひかり
発達科学コミュニケーションアンバサダー

 

保育園の頃から癇癪や登園しぶりのあった娘にうまく関われず、自分は「子育てに向いていない」と感じていました。

 

小学2年生で登校しぶりが悪化し不登校に。外に出ることも難しくなった娘に「このままじゃだめだ」と思いながら、どうしていいかわからず。

 

そんな中で発達科学コミュニケーションを学び、子どもを変えようとするのではなく、関わり方を見直したとき、少しずつ親子の空気が変わっていきました。

 

かつては家にこもり外出も難しかった娘は、現在思春期。友達と過ごす時間を楽しめるようになりました。

 

かつての私のように、わが子に合う子育てがわからず苦しんでいるママへ、無理に頑張らなくても親子は変わっていく。そんな関わり方を届けたいと思い発信しています。

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