小学校の先生から「授業中に立ち歩きが多すぎます」とお電話があると、どうしていいかわからないですよね。多動のない自閉症の子が「立ち歩きが多い」と指摘されるとママも驚くでしょう。自閉症の子の立ち歩きの理由と解決のための対応をお届けします。
【目次】
1.「お子さんが授業中立ち歩いています」学校からのお電話で困っていませんか?
2.小学校入学直後から毎日立ち歩いていた自閉症の息子
3.自閉症児が立ち歩くのは「言語化できていない困りごと」が隠れているから!
4.ママが子どもの「困っていること」を言語化してあげよう!
1.「お子さんが授業中立ち歩いています」学校からのお電話で困っていませんか?
小学生、特に低学年のお子さんで、授業中に立ち歩くことを学校から頻回に指摘されて困っているママはいらっしゃいませんか?
担任の先生から「お母さんから立ち歩かないように言い聞かせてください」とまで言われてしまっているママもいらっしゃるかもしれませんね。
そういわれても、ママは学校に一日中張り付いてみているわけでないのでどうしてよいかわからず困ってしまいますよね。
2.小学校入学直後から毎日立ち歩いていた自閉症の息子
私には現在小学2年生になる息子がいます。
保育園時代に指示が通りにくい、興味がない活動の時には逃げてしまう、と指摘があり、発達科学コミュニケーション受講・療育への通所を開始しました。
息子の物事のとらえ方は独特ではあるものの、私が発達コミュニケーションにおいて子育ての勉強をしたり療育の助けを借りたりしたことで、保育園での活動には支障がなく、楽しく行事に参加するようになりました。
また、保育園時代に、児童精神科において自閉症と診断されました。
小学校に入学しても、保育園時代と同様に、うまくやっていけると思っていました。
しかし、入学式当日から体育館での式が終わって教室に入って席に着くなり「長すぎるからもう帰った方がいいと思う」と大きい声で叫んでいました。
翌日からは
「授業のほとんどを立ち歩いていて非常に困っています」
「授業中は座ります、と何度話しても聞いてくれません。お母さんからも立ち歩かないように話してもらえませんか?」
と毎日お電話がかかってくる始末。
私の携帯電話の着信歴は学校名がずらずらと。
就学支援シートという、保育園や家庭からの発達特性がある子に対して配慮してほしい点などを記入した手紙をお渡しするなど、万端に準備はしたつもりでした。
ですが、そんなことになってしまったことに驚いていました。
また、立ち歩きといえば、注意欠陥多動性障害(ADHD)の代名詞であるイメージも当時の私にはあり、ADHDの要素のない自閉症の息子が立ち歩くってどういうことなのか、わからず困ってしまっていました。
3.自閉症児が立ち歩くのは「言語化できていない困りごと」が隠れているから!
子どもの問題行動には、その背景および原因となる事前の出来事などが隠れているものです。
低学年の自閉症の子どもの立ち歩きは、何かしらのことに困っているのだけれど、それをうまく言葉にできない、ゆえに立ち歩くことで「ぼくは(わたしは)こまっています!」とアピールしているのです。
立ち歩きという行動は、子どもから発せられる黄色信号として大人はとらえてあげなくてはいけません。
何も立ち歩いて大人を困らせたいという気持ちは初めから持っていません。
大切なのは、子どもが何かしらかに困っていてそれをアピールしていることに大人が気付いてあげることです。
立ち歩いている子どもに「立ち歩くことは悪いことです。すわってください」という声かけは効果がないばかりか、「自分の気持ちに気づいてくれない」と心を閉ざしてしまいますので、避けたいですね。
次の章で、私が学校と連携してとった対応について書いていきます。
4.ママが子どもの「困っていること」を言語化してあげよう!
ママの役割は、ずばり、何かしらかに困っている子どもの「困り」を言語化して先生に伝えてあげることです。
そのために子どもの行動観察をしていきましょう。
息子の学校では入学2週間後に授業参観がありましたので、参観で息子の行動をじっくり観察することにしました。
出席番号順で、たまたま息子は1番前のど真ん中の座席でした。
参観の時も、先生から話に聞いていた通り、立ち歩きだらけ。
私が注目したのは、立ち歩きの始まりと終わりです。
何があれば立ち歩きがおこり、何があれば終わるのかをじっくり観察しました。
立ち歩きは、先生が一つ指示を出すタイミングではじまり、立ち歩きは、自分の座席から半径1m以内。
横から後ろをじっくり見まわしてから座席に戻っていました。
これで原因は明らかになりました。
一番前のど真ん中の座席で、先生以外の人の顔が見えない状態、しかも先生の指示が出てすぐに何をしていいかわからず、立ち歩いてほかの子たちの行動を観察していたのです。
先生には、座席は2列目より後ろにかえてもらい、生徒複数人が視界に入る状態にしてもらいました。
また、立ち歩きがおこる理由は、息子の場合は「どうしていいのかわからない」という不安な気持ちからなので、立ち歩きが始まってしまったら行動を注意する前に、何が分からなくて困っているのか聞いてください、とお願いしました。
席替えはその数日後にしてくださり、すっかり学校からのお電話はなくなりました。
先生も注意することより「何に困っているのかな?」と考えてくださったことで、息子も「ここがわからないので教えてください」と言葉で訴えられるようになってきたようです。
発達でこぼこがある子どもには「一番前のど真ん中は一番いい席」としばしば考えられているようです。
たしかに視界に入るものを減らすことで問題行動が減るタイプのお子さんもいらっしゃるようですが、私の息子に関しては、この席は一番不安を強めてしまう良くない席であったことが立ち歩きを通して理解できました。
学校での子どもの行動観察をするには、授業参観が一番のチャンスです。
そのタイミングを逃した場合でも、学校の先生にお願いして授業をろうかからのぞかせてもらうことも学校によっては可能かもしれません。
ママと担任の先生だけでうまく解決できない場合は、スクールカウンセラーの先生とも連携して、専門的な視点からの観察もお願いしてみてもよいですよ。
授業中の立ち歩きは、理由や背景は個々の子どもで違えども、「ぼく(わたし)困っています!」と言葉にならない黄色信号です。
立ち歩きがみられた場合は、周囲の大人が至急、その困りを言語化して助けてあげましょう。
ママはその言語化の助けをするべく、学校の先生たちと連携をとってあげてくださいね。
発達障害凸凹キッズの子育でのヒントをお伝えしています
執筆者:いぬいまき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)