塾講師として勉強を教えていた際、プリントに×がつくと癇癪を起こす小学生の対応に困っていました。そんな私が脳科学に基づいたコミュニケーションを学び、手に入れた癇癪に効く魔法についてお話します。
【目次】
1.プリントの×印で癇癪を起こす小学生
2.癇癪と発達障害との関係
3.癇癪がピタっ!とおさまった!!その魔法とは?
4.勉強で癇癪を起こさないために一番大切なこと
1.プリントの×印で癇癪を起こす小学生
私は塾講師の仕事をしているのですが、誤答をすると不機嫌になってしまう子の対応に悩んでいました。
発達障害グレーゾーンの小学3年生の男の子は、授業でプリントに×印がつくと態度が一変!怒り出し癇癪を起こしてそのプリントをぐしゃぐしゃに…
私はこの行動に困惑し、つい反射的に「こら!」「ダメ!」「なんでそんなことするの!?」と大きな声で注意していました。
けれども私の注意に反発して、行動はさらにエスカレートするばかり。
最後は泣きながら帰ってしまう。ということもよくありました。
そこで私は、今度はできるだけ優しく、その小学生の心の地雷を踏まないようにと気を使うようになりました。
間違いを指摘するときは私の方も緊張します。
できるだけ優しく、 「間違ってもいいんだよ」「一緒に直そうね」などと前置きをしてプリントを返すのですが、効果はありません。
×がついていることを確認するなり、ぐしゃぐしゃ!とやってしまいます。 私は感情を押し殺してなだめるのが精いっぱいで、突然怒りをぶちまける彼の豹変ぶりに戸惑うばかりでした。
2.癇癪と発達障害との関係
勉強中の癇癪は、子どもが自分の欲求を上手く言葉で表現できなかったり、 感情をコントロールできなかったりするときに起こります。
癇癪と発達障害との直接の関連性ははっきりしていませんが、
・行動や興味へのこだわり
・自分の気持ちの表現が苦手
・他者の気持ちを汲むことが苦手
・感情のコントロールが苦手
といった発達障害の特徴が癇癪に繋がることがあります。
勉強が苦手な発達障害グレーゾーンの小学生は、一生懸命やってもプリントにたくさんの×がついてしまい、そのことにイライラして癇癪を起こしてしまいます。
その態度について怒られることで、どんどん自信をなくし、どんどん勉強が嫌いになるという負のループに陥るのです。
癇癪は、脳の動物的な部分が暴れ出している状態で、一度暴れ出すと本人の意思ではコントロールすることができません。
対策としては、どういった場面で癇癪を起こすことが多いのかを観察して、癇癪を起こしそうな場面を避けることが重要です。
けれども、塾では間違った問題を〇にする訳にはいきません。
そこで私は、発達科学コミュニケーションで学んだ対処法を試してみることにした。
3.癇癪がピタっ!とおさまった!!その魔法とは?
ある日、私はいつものようにプリントをぐしゃっ!としそうになったその小学生に、別の用紙を渡して、
「この紙ならグシャグシャにしてもビリビリに破いてもいいよ」
と笑顔で言ってみたのです。
するとその子はその紙をグシャグシャにして、全身の力を指先にこめて小さく小さくちぎりました。
そうしているときのその子の顔はとても苦しそうで、まさに、脳の中で暴れる動物と闘っているようでした。
けれども、ちぎった紙をその場にパッと投げだした途端、いつもの穏やかな表情になって、こう言ったのです。
「あーすっきりした!」
私はあまりの驚きと彼の清々しい表情が嬉しくて、そこら中に飛び散った紙切れのことなど構わずに「よかったねー!」と大笑いしました。
その後も癇癪が起こりそうになると自分から紙を取りに来て、丸めて、ちぎって、教室にばらまいて発散することが何度かありました。
私はそのたびに「自分でちゃんと気持ちをコントロールできたね」と褒めました。
そうしているうちに次第に癇癪を起こす頻度は減り、たまに起きても、感情をコントロールできるようになっていきました。
4.勉強で癇癪を起こさないために一番大切なこと
もちろん、いきなり紙切れを渡したからと言って、癇癪がおさまる訳ではありません。
この魔法をかけるために必要なのは子どもとの信頼関係を築き、勉強をする場面でたくさん褒めてあげることです。
勉強を始めたことを褒め、丁寧に書いた文字を褒め、たとえ途中まででも、やったことを褒める
勉強の時間=褒められる時間
にしてあげることで、勉強へのやる気と自信が育まれます。
そうして育んだ自信があれば、たまにイライラしても、感情を自分でコントロールすることができるようになります。
勉強で癇癪を起こしがちな小学生にはぜひ、1枚の魔法の用紙とたくさんの褒め言葉をご準備ください!
脳に届く声かけで子どもを伸ばす方法が知りたい方はこちら!
執筆者:草なぎりみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)