旅行の準備ができない…発達障害・ADHDの子が荷造りが苦手なのは、脳の特性による段取りや集中の難しさが原因です。声かけや関わり方を工夫すれば、子どもは自分から準備できるようになります。旅行準備を通して、自立や自信につなげていきましょう。
1.旅行の準備ができない発達障害・ADHDの子に自分で支度をしてほしい!
2.なぜADHDの子どもは準備や支度ができないの?
3.めんどくさがりな子が旅行の準備や荷造り苦手を克服できる4つの工夫
◆ご褒美でワクワクさせる
◆やることを見える形にする
◆一つだけやってもらう
◆できていることを肯定する
1.旅行の準備ができない発達障害・ADHDの子に自分で支度をしてほしい!
いよいよ秋の行楽シーズン。
三連休のお出かけや、園や学校では遠足、修学旅行など、楽しみなイベントが増えてきますね。
しかし、「旅行の準備ができない」「荷造りが苦手」。
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の子を育てていると、そんな悩みに直面するママは少なくありません。
この記事では、発達障害・ADHDの特性で旅行の準備や荷造りが苦手な子でも、自分から取り組めるようになる工夫をお伝えします。
わが家の息子もADHD傾向があり、小さい頃から準備や荷造りが大の苦手でした。
登園準備は「めんどくさい」と手をつけず、始めてもすぐに気が散ってどこかへ行ってしまう。
「楽しい家族旅行の準備ならやってくれるかな?」と思いましたが、期待外れでした。
お泊まり保育では自分の支度をしている子がいるのに、「なぜうちの子は旅行の準備すらめんどくさがるのだろう?」と気持ちが沈みました。
旅行前から私の方が疲れてしまっていたのです。
小学生になっても「めんどくさい」と渋々動くだけ。
考えなしに荷物を詰めて、必要な下着が足りない…そんなこともあり、結局私がやり直す羽目になってイライラすることも多かったです。
ところが、私が声かけや関わり方を変えただけで、「自分でやる!」と言い出し、楽しそうに荷造りをこなすようになりました。
なぜ、発達障害・ADHDの子は旅行の準備がこんなに苦手なのか?その原因を理解することが、親のサポートの第一歩になります。
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2.なぜADHDの子どもは準備や支度ができないの?
大人だって支度や準備がめんどくさいと思うことはありますが、どうして発達障害ADHDの子どもは極端にできないのでしょうか?
旅行の準備ができない、荷造りが苦手なのは怠けではなく、脳の特性が関係しています。
まずはお子さんの様子をチェックしてみましょう。
◆かんたんチェック(3つ以上あてはまれば要フォロー)
- 旅行の準備の全体像がつかめず、何から始めるかで止まる
- 荷造りリストを見ても着手できない/「あとで」と先延ばしが多い
- 始めても別のことに注意がそれて中断しがち
- 必要・不要の判断や優先順位がズレる(いらない物を詰める/必要な物が足りない)
- 時間の見積もりが苦手で、出発直前に慌てる
ここからは原因を3つに分けて解説します。
◆①見通しを持って物事を進められない
支度をするとき、段取りを立てると見通しが持てるのでスムーズですよね。
段取りを立てるには、目標を決めて、計画通りに進める「遂行(すいこう)機能」という高度な脳の働きを使います。
ADHDの子どもはこの機能が未熟なので、段取りを立てるのが苦手です。
すると、見通しを持てず、今やるべきことが分からなくて作業が進まないということが起こります。
旅行の準備には、大まかに言っても
・必要なものをリストアップする
・旅行バッグやスーツケースを用意する
・リストアップしたものを準備する
・準備したものをパッキングする
このように、やるべきことがたくさんあります。
段取りをうまく立てられず、何をすべきか分からなくなるADHDの子にとって、旅行の準備はとても大変な作業です。
取り組むことを考えるだけで嫌になり、「めんどくさい」と思ってしまうのです。
◆②取り掛かりにくい
そもそもADHDの子どもには、ものごとのやり始めにエンジンがかかりにくいという特性があります。
苦手なことや大変なことに取り組むには、並大抵ではないエネルギーが要るのです。
◆③集中が続かない
また、特性により不注意の傾向があって、気が散りやすいです。一つのことに長く集中できず、最後までやり遂げることが苦手です。
このようなADHDの子どもが自ら支度や準備に取り組むには、
・やる気を引き出す
・やることを明確にする
ことがポイントになってきます。
3.めんどくさがりな子が旅行の準備や荷造り苦手を克服できる4つの工夫
支度が苦手でめんどくさいと思うADHDタイプの息子が進んで旅行の準備をするためには、
・ご褒美でワクワクさせる
・やることを見える形にする
・一つだけやってもらう
・できていることを肯定する
という4つのステップで進めると効果的でした。
◆①ご褒美でワクワクさせる
「今回の旅行ではあなたの好きな○○に行くのが楽しみだね!」と先の楽しみを具体的に思い描いてあげます。
また「準備ができたらゲーム時間30分延長していいよ」など、ご褒美を用意してあげると嫌なことに取り組みやすくなります。
その子専用のトラベルグッズを用意してあげるのもいいですね。
自分で選んだ歯ブラシセットを買ってもらった息子は、「これを早く荷物に入れて旅行に行きたいな」と気持ちが盛り上がってきました。
◆②やることを見える形にする
ADHDの子は自分で計画したり見通しを立てるのが苦手なので、やるべきことが分からなかったり、途中で忘れたりします。
視覚優位といって目で見た方が理解して覚えておけることが多いので、次のように進めました。
・準備するものリストを作る:
旅行の日程や季節、気温などを確認しながら、子どもと会話しながら進めます。簡単なイラストを描くのもおすすめです。
・荷造りの工夫:
荷造りの際は、歯ブラシセット、湯上りセット(パジャマと肌着)、翌日の着替えセット(洋服・靴下・ハンカチ)など、使うシーン別に小分けすると、必要な時にパッと見て取り出せますよ。
・動画を使って準備の手順とゴールを見せる:
パッキング術をYouTubeなどで検索し、あらかじめ選んでおいた動画を子どもと一緒に見てみましょう。
息子はキャビンアテンダントの方がパッキングをする動画を見て、たくさんの荷物が魔法のようにスーツケース一個に収まる様子にすっかり心奪われました。
そして、「すごいな!ぼくも荷物のパッキングやってみたい!」とやる気に火がつきました。
◆③一つだけやってもらう
いきなり準備を全部任せると集中が途切れたり、うまくできずにやる気がダウンする可能性があります。
そこで、本人がやりたいことを一つだけやってもらいました。
息子はパッキングをやりたかったので、そこだけを任せて、他のことはどんどん私が手伝って済ませます。
すると息子は、動画を思い出して、大きなものを底に入れたり、集中して手順よく、きれいに荷物を詰めることができました。
まずはやりたいことを一つだけ!スモールステップで進めていくことが、やる気と集中力を継続させるコツです。
◆④できていることを肯定する
できていることを褒めてもらえると、子どものやる気が継続します。
褒めるといっても、
「よく考えてるね」
「ここに靴下を詰めるのいいね」
など、していることをそのまま言葉にすればOKなんです。
もし上手でなくても、
「もう半分終わったね」
「○○君がやってくれたから早く終わった!うれしいよ」
とできていることを見つけて伝えれば大丈夫です。
ママに言葉にしてもらうことで、子どもは「上手に○○できた!」という成功体験を味わい、「他のこともやろう!次もやってみよう」と思えます。
パッキング作業を完了させた息子に、「こんなにきれいにできるなんて、あなたはパッキング名人だね!スゴイ!」と伝えると、「ぼくは、パッキングが得意なんだ」と誇らしげでした。
こんな風に、子どもがした行動に名前を付けてあげれば「○○のできる自分」という自信になります。
自信がつくと、行動が増えます。
実際に、息子はだんだんパッキング以外のことも進んでやるようになっていきました!今では「めんどくさい」と言わずに準備をしてくれますよ。
今日からできる“旅行の準備の練習”3ポイント
1.短くはっきり伝える
2.目で見てわかる形にする
3.やることを区切って「ここまでできた!」を積み重ねる
狙い:ママが子どもが行動しやすいように工夫することで「できた!」を積み重ね、自信をもって準備に取り組めるようになります。
いかがでしたか?
最初は「めんどくさい」と投げ出していた息子も、今では私が横で見守るだけで準備が進み、旅行前も家族みんな笑顔で過ごせるようになりました。
ADHDの子にとって旅行準備は、単なる荷造りではなく“脳を育てる練習”の場になります。
・ご褒美でワクワクさせる
・やることを見える形にする
・一つだけやってもらう
・できていることを肯定する
荷造り苦手を克服できる4つの工夫で、サクッと支度ができるサポートをしていきましょう。
ご参考になれば嬉しいです。
旅行の準備や荷造りがなかなか進まない子の“切り替え力”を、ママの関わりで伸ばす方法を動画でご紹介!
ADHDタイプの子の旅行準備についてのよくある質問(FAQ)
Q1:小学生の子どもが旅行の準備をできないのは問題ですか?
A1:結論、心配しすぎなくて大丈夫です。 ADHDタイプの子は“切り替えが苦手”という特性があり、準備でも「次に何をしたらいいか」という見通しが立てにくいのです。まずは見通しを一緒に示してあげることで、「できた!」を積み重ね、自信につなげていけます。詳しくは行動が切り替えられない子へのママの声かけトレーニングを参照。
Q2:旅行の準備で親がイライラしてしまう時はどうすればいい?
A2:旅行前は「早くして!」とつい急かしてしまいがちですが、ADHDタイプの子には逆効果です。大切なのは、子どもが「自分の意思で切り替えられた!」 という経験を積むこと。たとえ時間がかかっても待つことで、次第に自分から準備を始められるようになります。実践例は 行動が遅い子がサッと動く声かけ にまとまっています。
Q3:時間通りに準備ができない時はどう声をかければいい?
A3:全部を任せて「早くして!」と叱るのは逆効果です。 ①予告をする ②実況中継をする ③カウントダウンをする、といった方法で子どもがスッと動きやすくなります。具体例は“時間通りに準備ができないADHDの子どもに効く声かけ3選をどうぞ。
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執筆者:小川陽子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)