片付けができない子どもに「片付けて!」と怒ってしまうことはありませんか?片付けができない子どもに「片付けて」は禁句です。脳科学で解明した片付けができない子どもの心理と、自然に片付け習慣が身に付く3つの言葉をお伝えしていきます。
【目次】
1.おもちゃの片付けができない息子とバトルの毎日
2.片付けができない子どもの心理が脳科学で解明
3.片付け習慣が身に付く3つの言葉
①「片付け」を言い換えた言葉
②何を片付けるか伝える言葉
③ママが感謝を伝える言葉
4.片づけが習慣になった息子
1.おもちゃの片付けができない息子とバトルの毎日
「そろそろ夕ごはんの時間だからおもちゃを片付けてくれる?」
お子さんに声をかけたものの一向に片付けが進まず、「全然片付いてないじゃないの!」と怒ってしまうことはありませんか?
実は片付けができない子どもに「片付けて」というワードは禁句なのです。
片付けができない子どもに片付け習慣を付けるポイントは、「片付け」の中身を分解して子どもに分かりやすい言葉で伝えていくことです。

わたしには片付けが大の苦手な小学校2年生の息子がいます。
「そろそろ片付けよう」と声をかけた時に「はーい」と気持ちよく動いてくれれば助かるけれど、なかなかそうはいきませんでした。
「えーなんでー」と不機嫌になったり、聞こえないふりで遊び続けたりする子ども。
最初は穏やかに声をかけても、挙句の果てには「いい加減に片付けてよ!」と怒りが大爆発してしまう。
これが、我が家の日常の光景でした。
わたしにとって、「使ったものを片付ける」という行為は、「トイレの最後に水を流す」と同じぐらい当たり前のことです。
ですから、子どもにも簡単に浸透すると思っていました。
でも、発達科学コミュニケーションで脳科学を学んで分かりました。
子どもにとって「片付け」はこちらが考えている以上に難しくてレベルが高い行為だということが!
この記事では、脳科学でひも解いた片付けができない子どもの心理と、いつの間にか片付け習慣が付いてしまう3つの言葉をお伝えしていきます。
2.片付けができない子どもの心理が脳科学で解明
◆①「片付け」という言葉の意味がわからない
意味がわからない言葉を聞くと、人間の脳は働きをストップしてしまい行動につながりません。
わたしたち大人と子どもでは「片付け」という言葉を聞いた時に、頭の中に思い浮かぶことが全然違います。
年齢が違う分、片付けを経験してきた量に差があるからです。
わたしたち大人は「リビングを片付けなきゃ」と思った時、「まずは本を本棚に戻そう」「ゴミはないかな」とやることが具体的に思い浮かびます。
しかし子どもは、「リビングを片付けて」と言われた時に頭に浮かぶのは大量の「?」です。
「片付けて」と言われても、何をどうしたらよいのかが思い浮かばなくて動けないのです。

◆②「片付けを始めること」が脳にとって非常に負担だから
何か行動する時には、脳が身体に「○○しなさい」と指令を出す、という話は聞いたことがあると思います。
しかし、脳もヘトヘトに疲れて指令を出すのがイヤになってしまう時があります。それは、新しい行動を始めなければいけない時です。
脳は「新しい行動を始めようとする時に一番疲弊する」という性質をもっているのです!
身体は普通、行動し終わった時に疲れますよね。
脳は逆で、行動を始める時に疲れて、行動を始めれば力をキープできるのです。
美味しく夕食を食べた後、シンクに山盛りの汚れた食器を目の前にした時のあなたの気持ちを想像してみてください。「うわ、いやだな」と一瞬ひるみませんか。
この「これからこの食器を全て洗わなきゃ…」と思った時、脳は一番疲弊してしまってやりたくないのです。
わたしたちは大人なので、仕方なく重い腰を上げて洗います。
洗い始める、つまり行動を始めてしまえばスムーズに進むことを経験上知っているからです。
しかし、子どもは脳が疲弊してしまうとなかなか最初の一歩を踏み出せないのです。
特に、片付けは楽しく遊んだ後に行うことが多いものです。
楽しいことをやめて、「片付け」というワクワクしない新しい行動を始めるのは、とても脳に負担がかかってうまく身体に指令が出せないのです。
◆③ネガティブな記憶が呼び起されて動けない
わたしは、なかなか片付けができない子どもに、
「早く片付けて」
「どうしていつも同じことを言わせるの?」
「使った人が片付けるのが当たり前でしょ」
と大きな声で怖い顔で言うことが何度もありました。
すると、片付け=お母さんが怖い顔で怒る、というネガティブな記憶が子どもの脳に残ってしまいます。
「片付け」というワードを聞くと、ネガティブな記憶が呼び起されてしまうので、余計に最初の一歩のハードルが上がってしまうのです。
次の項では、息子に自然に片付け習慣が付いた3つの言葉をお伝えします。
3.片付け習慣が身に付く3つの言葉
◆①「片付け」を言い換えた言葉
息子に一番効果があったのは「片付け」という言葉を使わないことでした。
「片付けよう」の代わりに使ったのは、「おもちゃたちもお家に帰ろう」です。
今までずっと楽しく遊んでいたおもちゃに、子どもは「もっと遊んでいたいな…」と愛着の気持ちを抱いています。
「片付けて」と言われると悲しくて残念な気持ちになってしまうのです。
そこで、「自分たちもこれからお風呂に入ったり、ご飯を食べたりして寝るから、おもちゃたちもお家で休んでもらおうよ」と提案してみたら、息子は驚くほどスーッと受け容れてくれました。
わが家では「おもちゃたちもお家に帰ろう」が、片付けスタートの合言葉になり、遊びの延長で気持ちよく取り組めるようになりました。
◆②何を片付けるか伝える言葉
「片付けてね」と言われても、何を手に取ったらいいのかわからないのが子どもです。
そこで、片付けるものを言葉で具体的に示します。
ポイントは大きいもの→細かいものの順で声をかけていくことです。
(1)散らかった部屋の中でもすぐに見つかる大きなもの
「まずは、絵本を集めてみよう」
すると、子どもは「絵本だけを探す」ことだけに集中すればよいと分かるので動き出します。
「では、その本を本棚に入れよう」
子どもは、「本棚に入れる作業」に集中し、これで絵本が片付きました!
絵本以外にも、ぬいぐるみ・プラレール・スケッチブックなど目立つものが探しやすかったです。
(2)少し細かいけれど分類しやすいもの
「次は、工作に使った道具を集めてみよう」
子どもはセロテープ、スティックのり、ハサミなどを探してきます。
我が家では、工作の道具を1箇所にまとめてあるのでそこに戻すだけです。
(3)かなり細かいもの
「最後は、色鉛筆を集めてみよう」
レゴブロック、小さなミニカーなど、他の物の中に紛れやすいものは最後に指定するとよいです。
今までの片付けで部屋がだいぶ見やすくなっているので子どもでも見つけやすくなっています。
ここまでで部屋に残ったものは、わたしが空き箱にまとめて入れてしまいます。
また、明らかにゴミと分かるものは、子どもがモノを集めている間にサッと捨ててしまいます。
子どもが自力で全てを片付けきることよりも、「こうやって種類ごとに見つけていくと片付けやすいな」と子どもが体感することがまずは大切だからです。

◆③ママが感謝を伝える言葉
わたしが片付けの場面で怒り過ぎたせいで、「片付け」というワードにネガティブな記憶しかなかった息子。
ネガティブな記憶をポジティブな記憶に上書きするために、感謝の気持ちをシャワーのようにこまめに伝えていきました。
絵本を集めてきたら、「絵本を集めてきてくれてありがとう!」
本棚に戻したら、「本を戻してくれてありがとう!」
このように、すべての工程で「ありがとう!」と伝えました。
すると息子に「ぼくが片付けをするとお母さんは嬉しいんだ。ぼくが役に立っているんだ。」と伝わって、ニコニコするようになりました。
顔がニコニコになると、片付けがどんどん進んでいくのです。
わたしは発コミュで脳科学を学んで、子どもにとって片付けがどれほど難しくてレベルが高いか分かったので心の底から「ありがとう」と伝えることができました。
4.片づけが習慣になった息子
「おもちゃたちもお家に帰ろう」が片付けの合言葉だった息子ですが、今ではその言葉がなくても自分で片付けられるようになりました。

わが家では片付けのタイミングがお風呂に入る前と決まっています。
お風呂に入る時間もだいたい決まっています。
わたしは遊びに夢中になっている息子に「あと〇分でお風呂だよ」と声をかけるだけです。
すると息子は自分のタイミングで「そろそろ車庫入れしまーす」とプラレールやミニカーを片付け始めます。
床に散らばった工作道具は「ハサミとか危ないものから片付けよう」と種類ごとに片付けている様子が見られます。
3つの言葉を意識して声かけしてきたことで息子に片付け習慣がついたことが嬉しいです。
楽しく遊んだ後に「片付けて!」と怒りたくないですよね。穏やかに片付け習慣を付けたい方の参考になったら幸いです。
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♡小冊子のご感想
癇癪や暴力を起こす息子に、「なんでそんなことするの」と思っていましたが、原因がわかったことで、子どもを見る目が変わりました。これからは冷静に対応できそうです。
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執筆者:はた まゆ子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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