作文を書くのが苦手な発達凸凹キッズはワーキングメモリーを伸ばすことで「できない」を「できる」にしてあげることができます。ドリル嫌いの子が歌を歌うことで記憶力UPを測り、作文や感想文が書ける様になった方法をご紹介します。
【目次】
1.ドリルを使わずに言葉が増え、感想が言えたり書けるようになったやり方があります
2.作文を書く力と一時記憶:ワーキングメモリーの関係とは
3.一言二言だった感想が10行の文章が書けるようになった 好き!なことで伸ばす方法
1.ドリルを使わずに言葉が増え、感想が言えたり書けるようになったやり方があります
感想が「楽しかった」「おもしろかった」で終わってしまう子が多いですよね。
語彙が増えない、問題の意図が理解できない、ゆえにドリルもやりたがらない、などの理由で感想が言えない、書けないといった悩みはありませんか?
ドリルを使わずに言葉が増え、感想が言えたり書けるようになる方法があるんです!
作文に限らず会話でも同じことが起こります。
・聞かれたことを覚えていられないから答えられない
・話し始めると忘れてしまうからアウトプットするところまでできない
といったことが発達障害の子の中で起こっているためです。
発達障害の子の場合、やらせようやらせようとするともっとやりたがらなくなる、かえって逆効果になってしまう場合があります。
せっかく子どもが何かに興味を持ったとしても、強制されることで嫌いになってしまっては、脳を発達させてあげることができません。
ところが、そんな作文嫌いな子どが抵抗感を減らし、子どものやる気を伸ばしてあげる方法を見つけました!
2.作文を書く力と一時記憶:ワーキングメモリーの関係とは
発達障害の子は一時的に見て記憶する能力:ワーキングメモリが弱い傾向があります。
ワーキングメモリーを伸ばすことで、頭で考えたことをアウトプットまで持っていく事ができる様になります。
ワーキングメモリーを発達させてあげて、アウトプットをする手助けをしてあげることで感想が考えられたり、言えたり、書けたりできるようにしてあげられる様になります。
頭で考えたことを一時的に記憶できないと、口に出すまでに忘れてしまうので、話したくても話せないのです。
さらに作文や感想文ともなると、書くことと発言する動作がまた大きなハードルになります。
「作文が苦手な子は歌をたくさん歌わせると良い」
発達科学コミュニケーション創始者の吉野加容子さんは言っています。
作文が書けるようになることと、歌を歌うことはどのように関係しているのか。
歌を歌う時、ダンスをする時に、特に使う脳の部分がワーキングメモリーに関係する前頭葉です。
ワーキングメモリーとは、入ってきた情報を頭の中で保持して、どの情報を覚えておけばいいのか、どの情報は削除していいのかを整理する能力の事です。
ワーキングメモリーは、4つの要素で構成されています。
1)耳から入った情報を覚える
2)目から入った情報を覚える
3)イメージを頭の中で動画のように覚える
4)記憶する部分を使いながら処理をする
これらの動きのほとんどを繰り返し使うため、歌うことやダンスは正に、ワーキングメモリーを伸ばすのにピッタリなわけです。
この様にワーキングメモリーが鍛えられるとアウトプットができるようになることから、感想文や作文を書くことに繋がるわけです。
ドリルを強要せずに、大好きな歌やダンスをしながら、脳が発達してくれるなら楽しんでできお母さんの負担も減らせますよね。
3.一言二言だった感想が10行の文章が書けるようになった 好き!なことで伸ばす方法
◆遊びで言語力を伸ばす
歌が好きな発達凸凹キッズの言語力を伸ばすためのオススメの遊びをご紹介します。
1)歌をたくさん聴く・真似して歌う
聴いた声をそのままリピート、シャドーイング=後から追いかけて同じ内容を口にすることで、ワーキングメモリーを鍛えられます。
さらに、お母さんや周りの人が、その様子を見て褒めてくれたり、一緒に楽しく歌ったり、手を叩いてくれることでお子さんの自信が増えていきます。
この自信が大切。
自信が付くと子どもはもっと発達を加速させていくからです。
前項でご紹介したワーキングメモリーの4つの要素の、1)、4)をしています。
2)リトミック的な動きをする。
「あーたま、かた、ひざ、ぽん!」みなさんも聞いたことがありますよね!
この歌は、体の動かし方を見て、記憶しながら再現、さらに発語することをしていて、歌いながらワーキングメモリーを鍛えています。
さらに、リトミックでよくするのが、音を聴いて止まるとか、早く動く、静かに動くなどの、聴いたことに反応して、体の動きを連動させるレッスン。
前項でご紹介したワーキングメモリーの4つの要素の全てをしていることになります。
歌や動きを楽しみながらワーキングメモリーを鍛え、記憶力UPしていってるわけです。
◆作文を書く時はサポートしてあげる
いきなり文を書くのはハードルが高いものですよね。苦手な子にはママのHelpを!
話した言葉をママが書き出してあげましょう。
そうすることで文字を書いている間に頭にあった事がわからなくなった、忘れてしまったと言う事故が防げます。
楽しかった思い出ならお子さんも頭のイメージをアウトプットしやすいですよね。
そこで、
・書きたいこと=家族で海に行ったこと
・子どもの感想=海に行って楽しかった。また行きたい。
これを作文にするために、こんなふうに1年生の子に質問をしながら文章にしていきました。
ママの質問:「いつ、どこの海に行ったんだっけ?」
子ども:「夏休みに○○の海に家族と行った」
ママ:「何をしたのが楽しかった?」
子ども:「カヤックに乗ったこと」
ママ:「誰とどんな風に乗った?」
子ども:(状況を思い出す)「お兄ちゃんとお父さんと一緒に乗った。そしたらー、お兄ちゃんがふざけて、…」
と話が広がります。
ママ:「その時どう感じた?どうした?」
子ども「ふざけたのが面白かった。お父さんとゲラゲラ笑ったよ」
と、ここまでで1行だった感想が5行になりました。さらに答えを引き出す質問をしていきます。
「どう感じた?」を広げたい時は、「大ちゃん(平井大)なら歌の中でどう言うかな?」などと質問してみると、「『笑ってるこの時間が宝物』って言うかなー」と言う返事か返ってきました。
頭で考えて、書いてとするのはワーキングメモリーが弱い子にはハードルの高い作業になります。
ママが質問をして、答えを書いてあげるだけで大きなハードルをなくしてあげられます。
後は質問を続けて、思い出させてあげる、話を広げてあげることですぐ10行にはできます。
「良く覚えてるねー」、「あの時こんなことできる様になったよね」と声かけをすれば、成功体験の記憶が蘇り、脳がもっと動きます。
ネックだった、作文、感想文の宿題もこれであっという間に内容が完成。脳が動いているので、清書への抵抗感も下げられ、楽しく書ける作文タイムとなりました。
清書が書けたら、「頑張って書けたね!」と成功体験をさらに追加。
発達凸凹キッズのハードルを下げてあげることできることは増えます。
歌やリトミックでワーキングメモリーを鍛え、ママのサポートで作文は書けるようになります。
ぜひ取り入れてみてください。
ママと子どもの毎日を変えるヒントが届きます!
執筆者:五上亮子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)