6歳年長さん前後で、なぜかひらがなが読めるけど書けないという子がいます。字を書くのが苦手な場合、発達障害・書字障害を抱えていることも。効果的な支援方法を考えるには見極めてほしいポイントがあります!小学校入学前にぜひお役立てください。
【目次】
1.年長6歳でひらがなが読めるけど書けない
2.字を書くのが苦手なのは発達障害?小学校入学後に困ることは
3.ひらがな習得にはコツがある!練習前の見極めポイント
4.年長6歳、入学前にひらがな「読めるけど書けない」を一歩抜け出す支援法
1.年長6歳でひらがなが読めるけど書けない
6歳年長さんで、ひらがなが読めるけど書けない、そもそも鉛筆を持つことも嫌がる!なんてお子さんはいませんか?
もしお家での練習が進まないなら、子どもの得意な情報処理のタイプを見極めることで効果的な支援ができます。
実は、得意な情報処理のタイプによって文字が書けるようになるプロセスが違うのです!
なかなか「書いてみよう!」という気持ちになってくれないのは、練習の仕方が本人の得意な処理タイプに合っていないからかもしれません。
なんとか書けるようになって欲しくてドリルをやらせようとしたけれど、上手くいかなったという方も多いのではないでしょうか。
わが家の息子もそうでした。
息子はひらがなを読むことは年少さんの終わり頃から少しずつできるようになりましたが、書くことには全く関心がありませんでした。
私は小学校に入れば習うから良いかなとのんびり構えていましたが、意外と保育園でもひらがなを書く機会があるんですよね。
・園の先生やお友だち、家族にお手紙を書く
・工作などで作ったものに作品名や説明、名前を書く
・年始に書初め
息子の通う園では特に書く練習の時間は設けられていませんが、年長さんにもなると周りの子はどんどん書けるようになっていきます。
その中で、1人だけ書けなくて自信を失くしてしまうのは心配だなと思いました。
そこで、市販のドリルを使って家での練習を試みました。
ところが、息子はそのドリルに書いてある文字を読むだけで鉛筆を持つのは拒否…。
無理矢理やらせても嫌がるだけなので、どう進めたら良いのかわかりませんでした。
しかし、その後発達科学コミュニケーションで学ぶ中で、息子には単純にドリルをやるという方法は合っていなかったことに気がつきました。
やり方を変えたら、すんなりと鉛筆をもって3か月ほどで名前や数字が書けるようになったのです!
次項からは、ひらがなが書けないことで小学校入学後に心配な点、そして得意な情報処理タイプを見極めるとは何か?具体的な支援方法と共にお伝えしていきます。
2. 字を書くのが苦手なのは発達障害?小学校入学後に困ることは
年長さんの子が字を書くのが苦手と見受けられる場合に、今後の気になる点について触れておきます。
年長・6歳頃でひらがなが書けない場合は発達障害の可能性もありますし、そうでなかったとしても書字に苦手意識があると小学校入学後に本人が困ってしまう場面があります。
順番にご説明していきますね。
◆発達障害の可能性
色々と手を尽くしてもひらがなが書けない場合、書字障害(ディスグラフィア)という学習障害の可能性があります。
特徴としては、下記のようなことがあります。
・言葉と意味をわかっているのに、その文字が書けない
・鏡文字(反転した状態)になってしまう
・バランスが悪く読みにくい、マスからはみ出る
・形の似た文字を書き間違える(例:「ぬ」と「め」)
・一文字書くのに時間がかかる
書字障害かどうかの診断は専門機関に依頼する必要があります。
心配な場合は地域の療育センターなどに相談してみましょう。
ただし、本当は書く力があるのに単純に書くことに興味がない場合もあるので、今の時点で書けないからといって必ず書字障害とは限りません。
◆就学後字が書けないと小学校入学後に困る?
今の時代、PCやスマホのお陰で大人になってしまえば字を書く機会は少なくなりますね。
しかし、学生のうちはまだまだ書くことから逃れられず、書くのが苦手なままだと様々な場面で損をしてしまいます。
具体的には、
・書くのに時間がかかって板書が追いつかず、途中で消されてしまう
・ひらがな・カタカナ・漢字の練習でたくさん赤ペンを入れられてしまう
・字が正しく書けていないために、テストの点数が下がってしまう
というようなことがあります。
このようなことが続くと、学習自体への意欲や自信も失ってしまいますね。
PCやタブレットでの学習も進んできて、将来的には今の手書きスタイルも変わっていくかもしれません。
ただ現時点では、日々の授業やテスト、受験においても書くことを避けられないのが実情です。
3. ひらがな習得にはコツがある!練習前の見極めポイント
小学校入学に向けて、書くことの苦手意識を少しでも減らしておきたいですね。
前向きに習得してもらうには、得意な情報処理タイプによる子どもの学習スタイルを知ると上手くいきます。
情報処理の仕方には、大きく分けると「目が得意(同時処理)タイプ」と「耳が得意(継次処理)タイプ」という2つのタイプがあります。
◆目が得意(同時処理)タイプ
目で見た複数の情報を同時に1つのまとまりとして考えることが得意です。
文字や数字の形を把握したり、地図上での位置関係の把握などが上手にできます。
学習においては、手っ取り早く見本やモデルを見せてあげることが有効です。
◆耳が得意(継次処理)タイプ
情報を時間の流れに沿って連続的に処理していきます。
単語・綴りを書くことや算数の繰り上がり計算、話しことばを聞くことが得意になります。
学習では、順を追って説明をしてあげることで理解が進みやすくなります。
お子さんはどちらでしょうか。
息子はどちらかというと、耳が得意(継次処理)タイプでした。
見極めのヒントになったのは折り紙の折り方です。
折り方の本には、折る順番ごとに折り方の説明と図が載っていますね。
息子は手を動かす前に、折り方の説明を順番通り何度も音読しながら覚えていきました。
目が得意(同時処理)タイプの子であれば、図の方を見て折っていこうとするでしょう。
得意な情報処理のタイプわかると、字を書くことだけでなくその他の学習や、何か新しいことするときにも応用することができます。
正確に見極めるのは難しいかもしれませんが、お子さんを観察して仮説を立ててみてください。
4. 年長6歳、入学前にひらがな「読めるけど書けない」を一歩抜け出す支援法
わが子の得意な情報処理の仮説が立ったら、ひらがなの練習方法を考えてみましょう。
子どもの得意な情報処理の学習スタイルタイプに則した方法で、小さな「できた!」を積み重ねながら進めることがポイントです。
まずは、ひらがなを書いてみたい!書くって楽しいかも!と思わせることを目標にします。
少しでも書けたら、できたところを褒めてあげてください。
自分の名前など、なじみのあるものから1文字ずつ始めましょう。
◆目が得意(同時処理)タイプ向け
例:見本を5秒見せて、隠した後書けるところまで書く(見せる時間は子どもに合わせて調整します)
字画ごとに色分けしてあげるとわかりやすくなります。
このとき、書き順については指摘しません。
まずは形にできればOKとし、書き順は後から修正していきます。
◆耳が得意(継次処理)タイプ向け
例:一字画ごと、書き順通りに書き方を説明しながら見本をなぞる
【よ】の場合
1)右斜め上に向かって短い線をかく
2)上から下に向かって線を書いてくるりんぱ!
こんな感じで、いつも同じことばで説明をしてあげると覚えやすいです。
どちらのタイプも始めから鉛筆を持つのが難しければ、別の方法からやってみましょう。
空中に指で書いてみたり尻文字にしてみたり、見本を指でなぞったり、お子さんと楽しくできそうなものを試してみてください。
いかがでしたか?
ひらがなの読み書きはできる・できないがはっきりわかりますし、特に年長さんで書けないと焦ってしまいますよね。
ぜひお子さんを観察して、得意な情報処理を見極めてみてください。
ただし、いちばん避けたいのは小学校に入る前に字を書くのが嫌いになってしまうことです。
練習するときは「毎日やるよ!」などと決めこまず、ゆるく・楽しく・少しずつやってみてくださいね。
発達障害グレーゾーンの子育てを学べます!
執筆者:諸住乃莉子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)