【お悩み相談室】発達障害・自閉症スペクトラムの子どもを褒めても反応が薄く、伝わっている気がしません。このままでいいのでしょうか?

息子は発達障害・自閉症スペクトラムの4歳です。「褒めることが大事」とは分かっているので、意識して褒めるようにしています。褒めているのですが、息子にはなかなか伝わっていないみたいで、ポカーンとすることも。褒めてもどうせ伝わらないなら、褒めなくてもいいのでは…と思ってしまいます。

 

4歳・男の子のママ

お母さんがしっかり褒めているつもりでも、お子さんに伝わっていないことはよくあります。息子さんはわざとスルーしているわけではないので、もっと褒めていることをアピールしましょう!合わせワザがポイントです。

 

発達科学コミュニケーション
リサーチャー 丸山香緒里

 

【目次】

1.どうして褒めが伝わっていないように感じるの?
①聞いていない
②ショック!褒めは目減りして伝わる
2.発達障害・自閉症スペクトラムの子どもにもっと褒めが伝わるのコミュニケーション
①聞く体制をつくる
②褒めが伝わりにくいなら合わせワザで!

 

1.どうして褒めが伝わっていないように感じるの?

 
 
お母さんが褒めているのに、お子さんには伝わらない…お母さんの一方通行だとつらいですよね。
 
 
特にまだお子さんが4歳と小さいので、褒めたら素直に喜ぶはずなのに!なんて思ってしまいますよね。
 
 
もちろん、息子さんはお母さんのことをわざとスルーしているわけではありません!発達障害・自閉症スペクトラムタイプのお子さんに褒めが伝わりにくい理由はいくつかあります。
 
 

◆①聞いていない

 
 
発達障害・グレーゾーンのお子さんは「視覚優位」、目で見て理解する方が得意だとよく言われますよね。反対に聞いて理解する方はどうかというと、苦手とするお子さんが多いんです。
 
 
話を最後まで聞くのは、言葉を理解する力だけではなく、聞き続ける集中力や、聞き洩らさない注意力も必要です。
 
 
特に聴覚過敏で特定の音が苦手だったり、ざわざわした場所で特定の音だけを聞き取りにくかったりすると、「聞く」こと自体が苦痛になってしまうことがあります。
 
 
端的に伝えようとして、「○○君、すごいね!」という褒め方をしている場合も注意が必要です。褒め言葉が短いと、お子さんが「僕、今お母さんに褒められてる♪」と気づく前に褒めが終わってしまうからです。
 
 
となると、お母さんの立場からすれば、「褒めてるのにスルーされてる!」と感じてしまうことにつながります。
 
 
 
 

◆②ショック!褒めは目減りして伝わる

 
 
発達障害・グレーゾーンのお子さんを育てるお母さんに、必ず知っておいていただきたいことがあります。
 
 
それが、「褒めは目減りして伝わる」ということ。
 
 
発達障害・グレーゾーンのお子さんは脳の発達がゆっくり。発達がゆっくりということは、原始に近いということです。
 
 
いつ敵が襲ってくる変わらない原始時代の最優先は命を守ること。つまり、「ここに敵がいる!」などのネガティブな情報に強く反応してインプットされる脳になっています。
 
 
お母さんが褒めていても、命の危機のない「褒め」の情報に対する優先度が低いために、大切な情報として認識されにくい脳になっているのです。
 
 
お母さんとしては「めちゃくちゃ褒めてあげてるのに!」と思っても、お子さんには「お母さん、なんか言ってるな~」ぐらいにしか認識されていない可能性もあるのです。
 
 
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2.発達障害・自閉症スペクトラムの子どもにもっと褒めが伝わるコミュニケーション

 
 
お子さんが聞くのが苦手、聞いていたとしてもお母さんの意図通りに受け取らない、となれば、お母さんがどんな風に褒めるかはとても大切です。
 
 
子ども自身が「褒められた!」と実感できるには、どんな褒め方をしたらいいでしょうか?
 
 

◆①聞く体制をつくる

 
 
子ども自身がお母さんの褒めをスルーせず、ちゃんと受け止めるためには「聞く体制」が整っていることが第1歩になります。
 
 
たとえば、子どもがテレビに夢中のときに話しかける…絶対に聞いてないですよね!必ず子どもがお母さんに注目していることを確認してから褒めましょう。
 
 
そのためには、「ねぇねぇ○○く~ん、あのさぁ~、お母さんね…」と必ず前置きをしましょう。明るく優しい声だと子どもも「何々?」と注目してくれますよ!
 
 
ゆったりとした口調で、お子さんが聞く体制になっているか確認しましょう。
 
 
私には自閉症スペクトラムと診断されている6歳の息子がいますが、私が矢継ぎ早に話をしてしまっていたために、うまく会話が続かなかったり、勘違いしたまま行動したり、話しかけているのに全く反応がなくてイライラしたりしていました。
 
 
息子の場合は、テレビがついていなくても、窓に映りこんだ自分の姿が気になって聞いていないということもありました。
 
 
前置きの時間を十分とり、息子の目の前に立って余計なものが目に入らない状態にしてから話しかけるようにすると、しっかり注目して聞いてくれるようになりましたよ!
 
 
息子を含め、発達障害の子どもたちは言語理解には問題がないのに、聞く体制になっていないために話が理解できていないケースがあります。
 
 
息子の場合、聞く体制のチェックを続けるうちに、「話しかけたら聞く」という習慣ができました。今では少し離れた場所から「○○~!」と呼んでも反応してくれますよ!
 
 

◆②褒めが伝わりにくいなら合わせワザで!

 
 
お子さんの「聞く体制」が整ったら、いよいよ褒めを伝えます。
 
 
ここで1つ質問です!
 
A. 洗濯を干しながら「すごいね~」と褒める
B. 子どもの目の前で笑顔で「すごいねっ!」と褒める
 
 
どちらの方が褒められた感じがしますか?Bの方が褒められた気がする、という方が多いのではないでしょうか。
 
 
これがポイントの1つです。言葉は「すごいね」と同じなのに、Bの方が褒めれたと感じるのはなぜでしょうか?人間の脳は、実は言葉による情報よりも、それ以外の情報を優先的に処理しているのです。
 
 
ですから、どんな言葉で褒めるかよりも、表情や声色、雰囲気を「褒め」にすることが大切なのです!無表情で「すごいねー」と言われても「本当にそう思ってる?」と疑ってしまいますよね。
 
 
発達障害やグレーゾーンで、言葉の発達がゆっくりなお子さん、低年齢のお子さんの場合は、どんなことを言うかよりも雰囲気や声色、表情を意識した方が伝わりやすくなります。
 
 
褒めるときは笑顔で、高めのテンションで、声色もワンオクターブ上げると褒めが伝わりやすくなります。
 
 
もう1つ質問をさせてください。
 
B.子どもの目の前で笑顔で「すごいねっ!」と褒める
C. Bに加えて拍手する
どちらの方が褒めが伝わりますか?
 
 
C、とお答えになる方が多いと思います。ただ言葉で褒めるよりも、視覚的な情報を加えるとより伝わりやすくなります。特に視覚優位の子には身振り手振り、ジェスチャーはお勧めです!
 
 
笑顔という表情に加えて、拍手グッジョブサインバンザイをしたり、腕で大きなマルを作ったり、グータッチ・ハイタッチ、握手を求めたりしてみましょう!
 
 
子どもがまだ小さいならぎゅっと抱きしめたり、膝に乗せるのも効果的です。
 
 
 
 
もちろん、毎回するのは大変ですから、さらっと「○○してるね」と子どもの行動を言葉にするのを中心にして大丈夫です。
 
 
でも、お母さんは「ここはしっかり褒めたい!」と思ったときは、ぜひ言葉に加えて、表情や声色を褒めバージョンにし、ジェスチャースキンシップを加えて、子どもにお母さんの気持ちをしっかりと届けてあげてくださいね。
 
 
親子のコミュニケーションに関しては、こちらでも解説しています。併せてお読みいただき、褒め上手なお母さんになってくださいね!
 
 
 
 
 
褒めを伝える方法はまだまだあります!

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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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