息子は発達障害グレーゾーンの7歳です。私の目から見ると口出ししたくなる行動が多く、アドバイスしても「これでいい!」と全然言うことを聞いてくれません。良かれと思ってアドバイスしているのにイライラしてしまいます…。
7歳・男の子のママ
アドバイスをしているのに子どもが聞き入れてくれないと、お母さんもイライラしますよね。そこで今回は、子どもがやる気を出すために必要な重要ポイントについてお話しします。
発達科学コミュニケーション
トレーナー 森あや
【目次】
1.アドバイスをスルーする息子にイライラ!だった私
発達障害グレーゾーンの子どもは脳の発達が未熟なために、
・不注意傾向がある
・こだわりが強い
・衝動的に行動してしまう
など様々な特性を持っています。そのため、日々の行動を見ていると「もっとこうした方がいいんじゃない?」と突っ込みたくなる行動が多いですよね。
我が家の息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生です。基本的に行動が雑だったり独特なこだわりを持っているので、日常生活の中では突っ込みたくなる場面が多くあります。そのため、
「おもちゃコーナーは整頓した方が使いやすいんじゃない?」
「先にこれをやった方がいいんじゃない?」
などと以前の私はついつい口出しして自分の考えを押し付けていました。
ところが息子からは「これでいい!」と言う返事が返ってくるだけ。全然言うことを聞いてくれないことにイライラしていました。
だから相談者さんのお気持ちはよく分かります。
実は子どものやる気を引き出すためには、ある重要なポイントを知っておく必要があるんです。
そこで今回は、アドバイスをしても言うことを聞いてくれない!と悩むお母さんにお伝えしたいことをお話しします。
2.子どもが言うことを聞かないのは〇〇がないからです
そもそも、私たちはどうして子どもについついあれこれ口出しをしてしまうのでしょうか?
「整理整頓ができるようになって欲しい」
「効率よく物事をこなせるようになって欲しい」
など「将来困らないようにいろいろなことをできるようになって欲しい」と言う思いからですよね。
ではなぜ発達障害グレーゾーンの子どもは、なかなか言うことを聞いてくれないのでしょうか?
それはずばり「やる理由がない」からです。お母さんは「このままだと将来困る」と必要性を感じていても、子どもは何の必要性も感じていないからです。
実は子どものやる気を引き出すためには
・「面白そう」と注意を向ける
・「役に立ちそう」とやるべき理由を見つける
・「できそうだ」と自信を持って取り組む
・「やってよかった」と満足感を得る
と言う4つの要素が必要であると考えられています。
この中の「注意」と「自信」についてはこちらの記事で詳しくお話ししていますよ。
今回取り上げたいのは「理由」です。「理由」には
・「成績が悪いと怒られる」などの外部の命令や報酬によるもの
・「新しい情報を知りたい」「もっとうまくなりたい」など自分の好奇心や向上心から生まれるもの
の2種類あります。さらに発達障害グレーゾーンであるかどうかに関わらず、
・外からの働きかけで動いている子どもは、要求される以上のことはせず諦めやすい
・自分の意欲で動いている子どもは粘り強く取り組むことができる
とも言われているのです。
発達障害グレーゾーンの子どもは
・脳の発達が未熟なためにエンジンがかかりにくい
・見通しを持って行動することが苦手
など様々な特性を持っているため、定型発達の子どもに比べるとやる気を引き出すためにはコツが必要です。
さらにネガティブな記憶を持ちやすいと言う特性もあるため、お母さんがあれこれ口出しをしてしまうと、片付けや勉強などその行動自体に嫌悪感を抱いてしまうことにもなりかねません。
だからこそ、お母さんには子どものやる気のメカニズムを知っておいて欲しいのです。
3.何も言っていないのに!?突然大掃除を始めた我が家の息子
では、発達障害グレーゾーンの子どもから「自発的なやる気」を引き出すためにはお母さんはどうすればいいのでしょうか?
それは肯定的なコミュニケーションを取ることです。
お母さんが「こうしたら?」「ああしたら?」と言うのは、裏を返せば子どもが今やっている行動を否定していることにもなります。
だからお母さんにはまず、子どもの行動を認めてあげて欲しいのです。
ここで我が家の息子の話を紹介します。
息子は基本的に物を溜め込みやすく、整理整頓も積極的にしないタイプです。
我が家では押し入れの下の段を息子のコーナーとして与えているのですが、私の目から見ると「これゴミじゃないの?」「せめて箱には入れようよ…」など突っ込みどころが満載な状態でした。
しかし私はあれこれいうのを諦めました。その代わりにやったのは「息子の考えを認める」ということだけ。
「押し入れのドアが開け閉め可能な状態を保つ」というルールだけは作ってあとは
「この紙は大事なんだね」
「こうやって収納すると使いやすいんだね」
「ちゃんと押し入れにしまってくれてありがとう」
などと、ひとまず息子のやり方を受け入れてあげることにしたのです。
そんなある日、習い事のコース変更に伴って大きなブロック教材が我が家に届くことになりました。
しかし、リビングに教材を置くちょうどいいスペースがない。でも大事な教材だから、そこら辺に適当に置いておきたくない、と息子はしばらく悩みました。
そこで息子は「押し入れを片付ける!」と大掃除を始めました。ゴミ袋を持ってきて、今まで頑固として捨てなかった紙類や工作などを自らどんどん捨て始めたのです。
そこでも私は「これも捨てたら?」などと口出しはせずに、
「いる物といらない物をちゃんと分けてるんだね」
「ゴミ袋に入れてくれたんだね」
「わー!押し入れが広くなってきたね!」
と息子がやっていることをそのまま口に出すようにしました。
そして片付けは押入れだけではなく、本棚や勉強机にまで波及しました。
さらにこうして大掃除したことで「片付いている方が便利だ」と気づいたらしく、定期的にいらないものを自分で見直して処分するようになったのです。
子どもは自分で「やる理由」を見つけると一気に行動し始めて、習慣まで変わっていくんですね。
いかがでしたか?「アドバイスを全然聞いてくれない!」とイライラしてしまうお母さんに知っておいてほしいことは、「自分でやる理由を見つければ子どもはどんどん行動し始める」ということです。
まずは子どものやり方を認めて見守ってあげる、と言うことをぜひやってみてくださいね。
執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)