息子は発達障害グレーゾーンの6歳です。トイレの電気はつけっぱなし、ゴミは捨てないなどだらしない行動が目立ち困っています。いくら注意しても改善されずイライラします。どうすればいいのでしょうか?
6歳・男の子のママ
子どものだらしない行動を見ているとついイライラしてしまいますよね。そこで今回は、発達障害の子どもがだらしない行動を取る原因と効果的な対応を紹介します。
発達科学コミュニケーション
トレーナー 森あや
【目次】
1.「ちゃんとして!」とガミガミ注意しまくっていた私
2.発達障害の子どもがだらしない原因とは?
◆不注意傾向がある
◆見通しを持って行動することが苦手
◆エンジンがかかりにくい
3.だらしない子どもに効くシンプルな対応を伝授します!
①できないことは親が手伝う
②改善したい行動を1つ決める
③できたことだけ注目する
1.「ちゃんとして!」とガミガミ注意しまくっていた私
苦手なことやできないことが多く、困った行動が目立つ発達障害・グレーゾーンの子どもたち。中でも
・使ったものを片付けない
・トイレの電気がつけっ放し
・ゴミを捨てない
・洗濯物をすぐに出さない
こんな風にだらしない行動に悩んでいるお母さんも多いですよね。
我が家の息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生です。注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性を持っており、何かやったら「やりっ放し」とうことが多く、以前の私はしょっちゅうガミガミ叱っていました。
ところがいくら注意しても息子のだらしなさは一向に改善されない…だから相談者さんのお気持ちはよく分かります。
「なんで何回も注意してるのに直らないの!?」とイライラしてしまいますよね。
実は発達障害の子どものだらしなさには脳の特性が大きく関係しています。だからいくらしつけても効果はないんです。
そこで今回は、子どものだらしない行動の原因と効果的な対応についてお話しします。
2.発達障害の子どもがだらしない原因とは?
では、なぜ発達障害グレーゾーンの子どもはだらしない行動が目立つのでしょうか?
子どもがだらしない原因としては
・やる気がないから
・本人が困っておらず必要性を感じていないから
・スキルが身についていないから
など色々なことが考えられます。しかし、まず理解して欲しいのは発達障害の子どもは脳の発達が未熟であると言う点です。
そこで、ここでは発達障害グレーゾーンの子どもならではの、主な原因を2つ紹介します。
◆不注意傾向がある
発達障害の子どもは不注意な傾向があり、気が散りやすい、1つのことに集中できないなどの様子が目立ちます。
そのために、1つの作業をやり終える前に次の行動に移ってしまうことも多く
・トイレの電気を消さないで部屋に戻ってくる
・鼻をかんだティッシュが放置されている
・使ったものを片付けないで他の作業に移る
などとだらしない行動が目立ってしまうんですね。
◆見通しを持って行動することが苦手
私たちの脳には「ワーキングメモリ」と言う情報処理を行う機能があります。
ワーキングメモリとは脳のメモ帳のようなもので、情報を一時的に覚えておきながら目的に合わせて取り出し、考える働きのことです。
ところが発達障害の子どもは、ワーキングメモリの働きが弱い傾向があります。そのために、見通しを持って行動することが苦手であり、
・電気代がもったいないからこまめに電気は消そう
・作業しやすいように使ったものは元に戻そう
などと先々のことを考えながら行動することがなかなかできないのです。
◆エンジンがかかりにくい
3つ目の理由は、エンジンがかかりにくいことです。
発達障害・グレーゾーンの子どもは脳の発達が未熟なため、やりたくない活動をするときには大人の何倍ものエネルギーを必要とします。
先ほどもお伝えしたように、子どものだらしなさの原因の1つは「本人が必要性を感じていないから」です。
だからモチベーションも上がらず、身の回りのことをきっちりこなすことができないんですね。
子どものだらしない行動を見ていると、「このままでは将来困る!」と不安になりガミガミ叱ってしまうお母さんも多いと思います。
しかし、ここまでお伝えしたように、子どものだらしなさには脳の特性が関係しているために本人にもコントロールが難しいものなんです。
そのため、叱れば叱るほど子どもは自信をなくしやる気を失い、
・行動力が下がり、ますますだらしない行動が目立つようになってしまう
・親子関係が悪くなり、反抗的な態度を取るようになる
など、困りごとが大きくなってしまいます。
ですから、だらしない子どもに対応するときには、
・ガミガミ叱るのをやめる
・効率的な工夫をする
と言う2つのポイントが大事なんですよ。
3.だらしない子どもに効くシンプルな対応を伝授します!
では、だらしない子どもに効く対応とは何なのでしょうか?ここでは私が実際に息子に行った方法をお伝えします。
◆①できないことは親が手伝う
まず1つ目は、1人でできないことは一緒にやってあげるなどのサポートをすることです。
だらしない子どもに一番やってはいけないのが叱ることです。かと言って、子どもに任せっきりで何もしないのでは、失敗経験を増やし自信を失うだけですよね。
ここでポイントなのは、子どもに「ここの部分は自分でできた!」と成功体験を積ませることです。
例えば
・すべてお母さんが片付けるのではなく、本1冊だけは子どもに片付けてもらう
・鉛筆を削るのはお母さんがやって、筆箱に入れるのは子どもにやらせる
など「最後の1つ」だけ子どもにやってもらいましょう。
最初から完璧に1人でやらせようとしても、お母さんがイライラするだけです。
こんな風にグッとハードルを下げて「確実にできること」から始めると、
・お母さんも叱らずに済む
・お母さんと一緒にやることで、やり方を学べる
・その結果、だんだんと1人でできることが増えてくる
という変化が出てきます。
さらに自信がつくと、子どもは「だらしなさを改善しよう」と自発的に行動を変えるようになります。
お母さんが手伝ってあげた方が、子どもは早く自立するんですよ。
◆②改善したい行動を1つ決める
2つ目は、改善したい行動を1つだけ決めることです。
だらしない子どもを見ていると、改善したい行動がたくさん出てくると思いますが、ちょっと待ってください。
あれもこれもと欲張るよりも、1つのことに絞って徹底的に対処した方がきちんと効果が出ます。
子どもの困りごとを解消する上で大事なポイントは、「まずは一番困っている行動から着手する」ということなんですよ。
ちなみに私の場合は、「まずはトイレの電気を消して欲しい」という目標から始めました。
◆③できたことだけ注目する
先ほどもお伝えしたように、だらしない子どもをいくら叱っても問題行動を改善することはできません。
しかし、反対に子どもは褒められると自信がつき自分で考えて行動するようになるんです。
そこでやって欲しいのは、「できていないときは目をつむって、できていることだけ褒める」ということです。
私の場合は、息子がトイレに行ったときは「チャンス!」と目を光らせて
「ちゃんと流せたね」
「ドア閉めてくれたんだね」
などとまずは電気以外のできているところをしっかり褒めるところから始めました。そして電気を消してくれたときはすかさず、「電気消してくれたんだね!」と褒め逃さないようにしました。
そんな声かけを続けること、約1週間。あんなにだらしなかった息子に変化が現れました。
トイレの電気を消すことが習慣化しただけでなく、スリッパを揃えたり、なくなったトイレットペーパーを交換して芯を捨てるなど、私が要求していないことまで自分からするようになったのです。
子どもは自信がつくと、こんな風に行動がガラッと変わり、好ましい行動が習慣化していくんですよ。
いかがでしたか?だらしない子どもに効果的な対応は
・できないことは親が手伝う
・改善したい行動を1つ決める
・できていないことは目をつむって、できたことだけ注目する
ことの3つです。
だらしない子どもに必要なのは親子関係を良くして、自信をつけることです。
子どもの成長を待つつもりで、焦らずゆっくりと取り組んでくださいね!
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執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)