【お悩み相談室】発達障害のある一人っ子の、家でダラダラしている過ごし方が気になってイライラします。

コロナ休校時や学校が休みの時など、子供を見ていると家での生活にストレスを感じます。学校生活がうまく行くためにも、成長のためにも工夫して過ごして欲しいですが、家でゲームばかり。少しでも運動を日常に取り入れて欲しくても、私の話を聞いてくれません。どんな声かけをしたら良いでしょうか?

中1・男子のママ

コロナ休校を始め、家でのお子さんの過ごし方、気になりますよね。特に成長期のお子さんは、心身の健康のためにも体を動かして欲しいものですが、思春期の子の対応には工夫が入ります。子どもの自立を促すお母さんの関わり方をご紹介しますね。

 

発達科学コミュニケーション
リサーチャー 秋村若菜

【目次】

 

1.一つ屋根の下、一人息子の過ごし方が目についてイライラするとき

 
 
休校が延長になり、家にいる時間が長かったですよね。学校再開となると、子どもの過ごし方は視界に入るし気になりますよね。
 
 
学校に行かないと明らかに活動量は減ります。1日のうちに運動する時間を設けてもらいたいと思うのが親心だと思います。大人であっても自己管理は難しいものですけどね。
 
 
うちの息子は質問者さんと同じ一人っ子。人と関わるよりも家でゲームをすることが好き。1日1回も家から出ずに、自分の部屋でスマホばかり。動いていないから食欲もありません。
 
 
コロナ休校中など欠席が続くと、日中何と無く常に不機嫌です。思春期の男子、私と一緒の時間は楽しいわけではないでしょうけど、体を動かさなことでストレスはたまっているはず。外に出て運動しよう!と、私は顔を見るたび声をかけていました。
 
 
でも息子にとっては、余計な指示だったことでしょう。私が話をすると即、「うるさい黙って!」と言い切るようになりました。
 
 
ところが私は、親が真剣に話をしているときは聞きなさい!というスタンス。結果、親子喧嘩に発展。一つ屋根の下で暮らしながら、私と口も聞かないし、顔を合わせないようになりました。
 
 
 
 

2.親の話を聞かないわけがちゃんとある

 
 
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)のある息子は、特性により精神的に努力負荷が高いことを避ける傾向があります。そのため息子は自ら運動を取り入れることや、学校から出された課題に取り組むことを避けています
 

 

学校へ提出する期限が迫っているのに課題と向き合えない。ひたすら眠くて外に出ることが面倒な気持ち。このままでは学校で体育についていけないと、親に言わないだけで本人なりに悩んでいる様子
 
 
年齢が小さい場合は親のキッカケ作りが有効です。でも中学生になると、指示されて動くのではなく動きだすタイミングは自分で決めたいものです。
 
 
体を動かす必要性も、効果的なトレーニングも、スマホでいくらでも欲しい情報を得られる状況。ダメ出しやアドバイスなんて息子は求めていないので、親の話はただただうるさいだけでした。
 
 
 
 

3.休校中、自立を促すために親ができること・やめること

 
 
大切な我が子は目の前の息子一人だけ。近い距離で育てていた子が、親から離れようとする思春期。自立へ向かうために関わり方を変えて行く必要があります
 
 
そのために親は、口出しを続けてはいけません。具体的にどう関わっていくと良いか実体験を書いていきますね。
 
 

◆ステップ①誰の課題なのか?

 
 
距離をとりたい時期だと頭では分かっているけど、本人に全ておまかせにはできませんでした。このままだとゲーム三昧になるのでは?健康と成長のために体を動かさないと、将来どうなるんだろうか?私は心配していました。
 
 
今の生活スタイルを続けたとして、その結果が最終的にふりかかるのは息子本人です。学年が変わって登校する際、体力が落ちて困るのも本人。学業についても息子の課題です。
 
 
息子が困っている姿を見たくないと不安を感じてしまうのは私の課題で、息子へ押し付けるのは良くないことなのです。
 
 
息子が、自分の課題を引き受け自分で解決していけるように、子どもの課題と親の課題を分けて関わっていくことにしました。
 
 

◆ステップ②イライラの感情に隠れた気持ちは?

 
 
話を聞かない息子へ、常にイライラしていた私が、対応を変えるために取り組んだ次のステップは、イライラの奥に隠れた、本当の感情を探ることでした。
 
 
このまま自分の部屋に引きこもってしまうかも?という不安や、休校中だからこそアクティブな過ごし方を見聞きしては勝手に焦っていました
 
 
これらの思いを抱き、イライラしていたのは私の課題です。自分の感情を楽にしたいために、息子を思い通りにしたかったという自分の欲求に気づきました。
 
 
そして、もう親から何も言われたくないのだという、息子の気持ちを受け入れていきました。
 
 

◆ステップ③一人の人間として関わる

 
 
小学校の中学年くらいから、子どもはとっくに本人なりの考えを持っています。そもそも我が子であっても違う人生を歩んでいく、自分とは違う他者です。親は子どもが安心して自立へ向かえるよう援助していく立場なのです。
 
 
息子の課題なのに、口出しをやめなかった私は「言われなくても分かっていたよね。余計なことを言い続けていてゴメンね」と、息子へ謝りました。
 
 
ゲームばかりの姿を見ていると、不安になってしまうこと。成長期に体を動かさなくて大丈夫なのか気になってしまうと、私の感情をそのまま打ち明けました。
 
 
親は心配するものだから何を言っても許されるという甘えは違います。このように私は、息子のことを一人の人として関わっていきました。
 
 

◆ステップ④我が子の自立を促すためにできること

 
 
休校中は学ぶチャンスという、親ののぞむ状況とは違います。でも、自分の状況に気づいていること、ゲームとはいえ自分なりに楽しく過ごしていること、歯磨きしてお風呂に入っていることなど当たり前の目立たない「できていること」を、細かく見つけて伝えていきました。
 
 
我が子を心配する、というのは息子の能力を信じていないから。見方を変えたら、まだまだ秘めた力がありその気になれば何だってできる子だと、私は気がつきました。
 
 
これだけゲームの腕があるのも、好きなことに対しては思い切り集中して取り組めるという特性を強みに変えられる!本人が必要だと感じたら、勉強も復活するだろうし、遅れも取り戻せるはず。
 
 
 
 
こうして私は常に息子を励まし息子自身を丸ごと信じていることを言語化して伝えました。
 
 

4.私の知らない我が子の一面

 
 
5月に入って、家族中の気持ちが明るくなった気がします。今では親子の関係性は修復し、息子はリビングでゲームしたりテレビを見て過ごしています。
 
 
最近、息子が打ち明けてくれました。部屋では勉強もしているし、実は自主的に筋トレをしていたそう。腹筋は毎日!他の部位はインターバルをおいて、自分の理想に向かってトレーニングをしているとのことでした。
 
 
 
 
何とシックスパックに憧れているらしく、贅肉がない息子のお腹は、既にうっすら割れているように見えました。さらに息子は有酸素運動を取り入れようと荷物置きにしていたトランポリンを復活させ、タイム計ってにジャンプしています。
 
 
私は、イライラと向き合い課題を分ける癖をつけ、プラスの言葉をかけ続けました。息子は自立心が芽生え情報収集して行動を起こしていたのです。
 
 
我が子を思う、親の応援の気持ちは伝わっています。安心して距離をとってみてください。そして自ら考えて成長する力を信じてください。
 
 
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執筆者:秋村若菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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