苦手なことやできないことが多い発達障害の子どもたち。「なんとかして克服させないと!」と必死になっていませんか?今回は苦手克服の新常識と脳科学に基づいた子どもを伸ばすマル秘テクを伝授します。 |
【目次】
1.苦手なことを克服させようと必死になっていませんか?
発達障害グレーゾーンの子どもは、できないことや苦手なことが多くありますよね。
・細かい作業が苦手
・読書が嫌い
・自分の考えをうまく言葉にできない
・字が汚い
・整理整頓が苦手
こんな子どもの苦手を見つけては、「なんとかして克服させないと!」と必死になっていませんか?
発達障害の子どもの苦手分野は、脳の発達が未熟なことが大きく関係しています。つまり本人の努力不足のせいではありません。
また、発達障害の子どもはネガティブな記憶を残しやすいという特性を持っています。そのため、お母さんが克服させようと必死になればなるほど、苦手なことに対する嫌悪感がどんどん強くなってしまうのです。
そこで今回お伝えしたいのは「苦手克服に有効なのは子どもの好きなことを使うこと」ということです。
「好きなことをどんどんやらせた方が子どもは伸びる」というのは巷でもよく耳にしますよね。
でも「苦手なことにどうやって子どもの好きなことを絡めればいいのか分からない…」と悩んでいるお母さんもいるのではないでしょうか?
実は脳の仕組みを理解すれば、子どもが楽しみながら苦手にアプローチすることができちゃうんですよ!
そこで今回は、好きなことをやると脳が発達する理由と、苦手克服のマル秘テクをお伝えします。
2.好きなことをやると脳が発達するワケとは?
では、なぜ好きなことをやらせると、子どもの脳は発達するのでしょうか?ここでは脳の仕組みを考えながら、そのワケを説明していきます。
◆ネットワークが伸びる
私たちの脳は、担当する機能によって「見る」「聞く」「記憶」「理解」「感情」「行動」「伝える」「考える」の8つのエリアに分かれています。
それぞれのエリアは単独で働くこともありますが、複数のエリアで協力して働くことも多くあります。
例えば
・字を書く→「見る」+「行動」
・指示通りに動く→「聞く」+「行動」
・空気を読む→「見る」+「感情」
などです。
エリア同士が協力して働くためには、お互いを結ぶネットワークが必要になります。
実は子どもの得意不得意は、ネットワークがきちんとできあがっているかどうか?にかかってくるのです。
では、ネットワークを伸ばすためはどうすればいいのでしょうか?それは行動することです。
子どもは好きなことだったら、いくらでも没頭して取り組みますよね?つまり、好きなことは自然と行動量が増えるため、脳の発達に効果的なのです。
◆酸素消費が上がる
脳を育てるためには行動させること以外にも必要なことがあります。
それは酸素を使うことです。
私たちの脳は、血液中から酸素を取り込みながら働く仕組みになっています。
脳は「理解できる」ことには酸素を使いますが、「分からない」「つまらない」と感じているときには酸素を使いません。
つまり、子どもに苦手なことを嫌々取り組ませても、脳の発達を期待することはできないということです。
反対に「楽しい!」「面白い!」と子どもに思わせることができれば、脳はぐんぐん成長するんですよ。
3.発達障害の子に効く、苦手克服のマル秘テクとは?
では、子どもの苦手にはどうやってアプローチすればいいのでしょうか?
それは、好きなことを使って苦手な脳のエリアを伸ばすということです。
ここで我が家の息子の話を紹介します。
我が家の息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生です。注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性を持っているために、丁寧に字を書くことが苦手です。
そこで私が息子に取り組ませていることの1つが、絵本を見ながら小さな虫の絵を描くことです。
実は、丁寧に字を書くという行動には
・見本をよく見る(見るエリア)
・注意深く指先を動かす(動かすエリア)
という2つの脳の働きが関係しています。
つまり、きれいな字を書けるようにするためには、脳の「見るエリア」と「動かすエリア」を成長させてあげればいいということです。
書くものは文字でなくてもいいんです。要は好きなことを利用して字を書くときに使う脳のエリアを鍛えればいいんですよ。
さらにここで大事なのは、お母さんの声かけで子どもからやる気を引き出してあげることです。
「細かいところまでしっかり描けてるね!」
「ここの部分、丁寧に色が塗れてるね!」
「見本をよく見てるね!」
などとできている部分をたくさん見つけて褒めてあげてください。お母さんがしっかり褒めてあげることで「できた!」という成功体験を増やすことができ、自信がつきます。
子どもは自信がつくとさらに行動するので、脳はどんどん発達していくんですよ。
いかがでしたか?発達障害の子どもの苦手克服で必要なのは、好きなことを使って苦手な脳のエリアを伸ばすことです。
この休校を利用して、子どもの苦手を得意に変えてあげてくださいね!
執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)