息子はADHDの傾向がある、発達障害グレーゾーンの小学2年生です。忘れ物やなくしものが多いのですが、いくら叱っても効果がありません。どうすればいいのでしょうか?
小2・男の子のママ
忘れ物やなくしものが多いと学校生活にも影響が出るので、お母さんも心配ですよね。実は正しい対応をすれば、不注意な行動は改善できるんですよ!
発達科学コミュニケーション
トレーナー 森あや
【目次】
1.忘れ物やなくしものが多い子どもに悩んでいませんか?
2.発達障害ADHDタイプの不注意な行動の理由とは?
◆マルチタスクが苦手
◆ワーキングメモリが弱い
3.忘れ物・なくしものを解消する秘訣はコレ!
◆スモールステップで成功体験を積ませる
◆サポートをする
1.忘れ物やなくしものが多い子どもに悩んでいませんか?
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの子どもは、落ち着きがない、衝動的に行動してしまう、不注意など気になる行動が多いですよね。
その中でも、小学校に上がると目立ってくるのが忘れ物やなくしものが多いという問題。
我が家の息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生です。ADHDタイプの特性を持っているので
・ランドセルにノートを入れ忘れる
・水筒や教科書などをしょっちゅう学校に忘れてくる
・消しゴムや鉛筆など文房具をすぐになくす
という不注意な行動に以前はよく悩まされていました。
体操服をなくしてしまったために、慌てて学校指定の専門店に行ったこともあります。
また夏は水筒を1日放置しただけで悪臭がしますし、文房具はストックがすぐなくなるのでイライラしてつい叱ってしまうことも…。
だからご相談者さんのお気持ちはよく分かります!
忘れ物やなくしものが多いと本人が困るだけではなく、先生に注意される機会が増えますし、中学校に上がると成績にも影響してきます。
そのため、お母さんもついつい心配になって叱ることが多くなりますよね。
ところがこのADHDタイプの不注意な行動は全て脳の特性が大きく関係しており、本人にもコントロールが難しいものです。
ですからいくら叱っても、子どもは自信をなくすばかりで、
・キレやすくなる
・衝動的な行動が目立つようになる
など問題行動が増えてしまうことにもなりかねないんです。
またADHDには、衝動性・多動性・不注意という3つの特性があります。
実は衝動性や多動性は成長とともに目立たなくなることが多いのですが、不注意は成長しても残りやすく、大人になってからも悩んでいる人が多いんです。
だからこそ、子どものうちから適切な対応をしてあげることがとても大事なんですよ。
そこで今回は、忘れ物やなくしものが多い子どもに効果的な対応をお話しします。
2.発達障害ADHDタイプの不注意な行動の理由とは?
では、どうして発達障害ADHDタイプの子どもは忘れ物やなくしものが多いのでしょうか?
ここでは主な理由を2つ紹介します。
◆マルチタスクが苦手
発達障害ADHDタイプは注意力が働きにくい傾向があります。
注意力には大きく分けて、
・続ける力→1つのことに集中して取り組む力
・見つける力→大事なものを見つける力
・同時に見つける力→一度に複数のことに注意を向ける力
・切り替える力→別の行動へ注意を切り替える力
の4種類あります。
この中でも忘れ物やなくしものに関係しているのは「同時に見つける力」です。
発達障害ADHDタイプの子どもは、一度に複数のことに注意を向けることが苦手なので
・先生の話を聞きながら、帰りの準備をきっちりやることができない
・次の行動で頭がいっぱいになり、使ったものを適当に放置してしまう
などと不注意な行動が目立ってしまうのです。
◆ワーキングメモリが弱い
私たちの脳には、ワーキングメモリと言う情報処理機能が備わっています。ここでは、
・大事な情報を一時的に記憶する
・物事の優先順位を考える
・情報を整理する
など、日常生活で必要とされる様々な働きをしています。
ところが発達障害ADHDタイプの子どもはワーキングメモリの働きが弱い傾向があります。そのために、
・やるべきことがたくさんあると忘れてしまう
・時間割を見て必要な物を準備することができない
・使ったものをどこに置いたのか忘れてしまい、ものをなくす
・整理整頓をすることができない
などと不注意な行動が増えてしまうんですね。
3.忘れ物・なくしものを解消する秘訣はコレ!
そこで今回は、忘れ物やなくしものを解消する秘訣を2つ紹介します。
◆スモールステップで成功体験を積ませる
注意力やワーキングメモリは、無意識に使う能力であるため本人にもコントロールがしにくいものです。
そこで必要なのは、スモールステップで成功体験を積ませること。
お母さんにはうんとハードルを下げて、できているところをしっかり褒めてあげて欲しいのです。
例えば忘れ物が多いのであれば
・まずは連絡帳を書いてきたところから褒める
・「水筒持って帰ってこれたね」などとにかく持って返ってきたものを見つけて褒める
などから当たり前にできていることからスタートして自信をつけてあげてください。
なくしものが多いのであれば
・「ドア閉めてくれてありがとう」「電気消してくれたんだ」とまずは「元の状態に戻せた」状況を見つけて褒める
・どんな些細なものでも使ったものを元の場所に戻せたらすかさず褒める
というように褒めることで「使ったら元に戻す」ということを意識させるようにします。
子どもは褒められると自信がつき、自分で考えて行動するようになります。その結果、
・自分で忘れ物をしないように気を付ける
・使ったものを元の場所に戻すことが習慣化する
など行動に変化が出てくるんですよ。
◆サポートをする
2つ目はサポートすることです。
・宿題が終わったらその流れで一緒に翌日の準備をする
・学校に持っていくものは玄関に全て置いておく
・ランドセルの内側に「上着を持って帰る」とメモを入れる
など、子どもの苦手を上手にサポートしてあげてください。
子どもを自立させるためには一切手出しをしない方がいい、と考える人もいますがそれは違います。
忘れ物やなくしものが多い子どもに必要なのは成功体験です。サポートすることで
・できた!という経験を増やし自信をつける
・自分の不注意行動を減らすための対策を学習させる
ことが大事なんですよ。
また不注意な行動を予防することももちろん大事ですが、ミスをしたときの対応も大事です。
子ども本人も忘れ物やなくしものをしたときにはショックを受けていることも多いので
・失敗を責めないで次はどうすればいいのか一緒に考える
・なくしたり学校に忘れてきても大丈夫なように、傘や水筒、文房具は複数個買っておく
などの対策が有効ですよ。
さて我が家の息子ですが、
・帰りに机の中を確認してから教室を出る
・消しゴムを使ったらすぐに筆箱に戻す
など忘れ物やなくしものをしないように気をつけて行動することができるようになってきました。さらに、
・学校に何か忘れてきたときは自分でメモをランドセルに入れる
・ものをなくしてしまったら、担任の先生にまずは相談する
など自分の失敗に対応できるようになってきたのです。
いかがでしたか?忘れ物やなくしものが多い子どもに効果的な対応は、
・スモールステップで成功体験を積ませる
・サポートをする
の2つです。
相談者さんも今日から始めて、息子さんの不注意な行動を解消してくださいね。
またこちらの記事では、子どもの注意力をUPさせる教材が無料でダウンロードできます。合わせてチェックしてくださいね。
執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)