「ライフスキルトレーニング」とは日常を生き抜く力、生活スキルを身につけること。中学生までなら親の目もまだ届き、フォローがしやすいためとても大事な時期です。どのようなサポートが必要なのか詳しい説明とともに楽しく習得する方法もお伝えしています! |
【目次】
1.発達障害・グレーゾーンの子どもに必要な生活スキルとは?
「ライフスキル」とは何かご存知ですか?「ライフスキル」とは、日常生活で必要となるスキルのことです。「生活スキル」というとわかりやすいですね。
小学校でも、
・何時に起きましたか?
・朝ごはんを食べましたか?
・歯みがきをしましたか?
・何時に寝ましたか?
・ハンカチやティッシュは持っていますか?
・爪は短く切っていますか?
という風に、生活習慣を確認する機会がありますよね?これらは基本的なライフスキルです。
多くの子は、 小さい頃からのくらしの中で、ライフスキルを自然に身につけます。
しかし発達障害・グレーゾーンの子どもには、ライフスキルを身につけることが難しい場面があります。
例えば
・朝起きるのがつらい
・時間の管理や調整がむずかしい
・お金をすぐに使ってしまう
・身だしなみが整えられない
・整理整頓が苦手
・忘れ物が多い
・夜になっても眠れない
などがあります。これらの苦手な場面は、中学卒業くらいまでは家族のフォローもあって、さほど問題になりません。
しかし、お子さんが高校生になるとどうでしょうか?高校生になると、1人での活動が増えていきます。友だちと買い物をしたり遊んだり、アルバイトも始めて、好きなようにお金を使うこともできます。
このように、子どもの活動範囲が広がると、家族のフォローが届きにくくなってしまいます。
この頃から、ライフスキル不足が原因で
・お金を使いすぎて、金銭トラブルを抱えてしまう
・電車やバスなどの交通機関をうまく使えない
・怪しい勧誘にのってしまう
・片付けや掃除ができず、ご近所トラブルに発展する
などのトラブルにあい、日常生活に支障が出るようになってしまいます。
生活スキルの一つ「片づけ」を言葉の力からアプローチした記事はこちらです。
このようなトラブルが重なると、外出することが嫌になって不登校になったり、家にひきこもるなどの二次障害を引き起こしてしまうため自立した生活がさらに難しくなります。
そうならないように、家族のフォローがしやすい中学卒業までに、ライフスキルを身につけることが重要なのです。
また、ライフスキルを身につけると
・安定した生活を送れる
・本来の力を発揮できる
・将来の夢が広がる
こんなふうに、お子さんに発達障害・グレーゾーンがあっても、大活躍できる場が広がるのです!
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2.「ソーシャルスキル」より「ライフスキル」を重んじる方がうまくいく
一方、発達障害・グレーゾーンのお子さんをお持ちの方がよくご存知なのが「ソーシャルスキル」です。
ソーシャルスキルは、名前のとおり社会的なスキルです。社会、つまり他の人に合わせることが重視されています。
ソーシャルスキル・トレーニング(SST)とは、対人関係やコミュニケーションのとり方を身につけるための練習です。
「物の貸し借り」や「授業中のふるまい方」など場面を設定して、適切なふるまい方を練習して身につけます。
しかし、発達障害・グレーゾーンの子どもは、集団生活や他の人に合わせて行動することが苦手です。
そのことでトラブルに発展することも多いので、苦手なところを補うために、親や支援者はソーシャルスキル・トレーニングに力を入れがちになってしまいます。
もちろん、ソーシャルスキル・トレーニングの成果が発揮できる場面もありますが、子どもの年齢や特性によって場面や範囲も限られます。つまり、応用がききにくいのです。
特に自閉症スペクトラム(ASD)の子どもの場合、人に合わせて行動することが難しいので、ソーシャルスキルを伸ばそうとしても、限界があります。
一方のライフスキルは、子どもの生活や人生のためのスキルです。基本的にはその子本人のためのものであり、人に合わせることは必ずしも重要ではありません。
ライフスキルは、ソーシャルスキルに比べてスキルを発揮できる場面が多く、子どもの特性に合わせて身につけやすいのです。
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3.中学生にも効果的!「お手伝い」と「ご褒美」作戦
それでは、ライフスキルを身につけるために必要なことはなんでしょうか?
まず、現在のお子さんの特性や、日常生活での行動をよく観察してみましょう。お子さんが将来、一人暮らしをすることを想定しながら見てみると、得意なこと、苦手なことが分かりやすいです。
参考までに、WHO(世界保健機関)が、子どもや学生向けに必要なライフスキルをまとめたものを、発達障害・グレーゾーン向けにしぼって10種類に分けて紹介します。
・身だしなみ:服装や見た目を整える、清潔にする
・健康管理:体の調子を整える、体調が悪いときに病院に行く
・住まい:整理整頓、掃除、公共料金の支払いができる
・金銭管理:お金を計画的に使い、1人で買い物ができる
・進路選択:将来の見通しを立てて行動できる
・外出:時間や行き先、費用などを守って移動できる
・対人関係:マナーやルールを身につけ、トラブルを防ぐ
・余暇:休み時間や休日を、快適に過ごすことができる
・地域参加:家庭や学校以外で、人と交流できる場を持つ
・法的な問題:詐欺や法的なトラブルを防ぐ
え?こんなに?と思われますが、これらの全てを身につける必要はありません。お子さんの特性や得意・不得意、将来の目標によって必要最低限のスキルを身につけられれば十分です。
身につけたいスキルに関しては
・スモールステップで1つずつ取り組む
・得意なことは伸ばしてあげる
・苦手なことはサポートしてあげる
・あたりまえのことでも、できていたら褒める
・今までできなかったことができたら、もちろん褒める
・うまくいかなくても、努力したことを褒める
という姿勢で接してあげてください。
これらは全て「発達科学コミュケーション」では基本的な接し方です。
また、お子さんにライフスキルを身につけるために、日ごろの生活に「お手伝い」をぜひ取り入れてください。年齢や段階に合わせて、楽々できることを重ねて増やしていきましょう。
またお手伝いとご褒美はセットにし、お子さんのモチベーションアップに繋げるようにしましょう。お子さんが喜ぶご褒美設定をしてあげてくださいね!
お手伝いをすることで褒める機会が増え、子どもの自信につながります。そしてお手伝いに必要な動作は、脳のはたらきを活性化して発達させます。
お子さんの生活スキルも、その都度確認できます。そして、お子さんのお手伝いのスキルが上がると、お母さんにとっても嬉しいですよね!
自分のことは自分できるように。
家族の一員として当たり前のように家のことができるように。
お金についても学ぶこと。
しっかり考えて動くことが習慣としてできるように。
大人になって生活スキルの欠如が原因で幸せを逃すなんてことのないように。
ぜひ、お子さんに合ったライフスキルトレーニングを取り入れて、日常生活をスムーズに送れるようにしてあげてくださいね。
また、生活スキルの一つ「片付け」を楽しく身につけるコツをこちらでもご紹介しています。合わせてチェックしてくださいね。
生き抜く力に必要な生活スキルについて学んで実践していきましょう!
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執筆者:渡辺みゆき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)