子どもが苦手なことや初めてのことを怖がって行動できない、なんてことはありませんか?特に発達障害・グレーゾーンの子はやる前から不安で挑戦することに尻込みしてしまいがち。そんな怖がりで不安が強い子どもが行動しやすくなる対応法をお伝えします。 |
【目次】
1.不安が強くで怖がりだとできることもやらなくなる?
2.なぜ発達障害の子どもは不安が強くて怖がりなの?
◆こだわりが強い
◆ネガティブな記憶が残りやすい
◆先のことを見通す力が弱い
3.間違っていた不安な子どもへのわたしの対応
4.不安が強い怖がりな子どもが「挑戦してみよう!」と思える作戦
◆不安の見える化
◆ポジティブな記憶を印象つける働きかけ
◆ワクワクする挑戦で成功体験を積む
1.不安が強くで怖がりだとできることもやらなくなる
発達障害、特に自閉症スペクトラム症(ASD)の傾向がある子どもは不安が強く、怖がりな特性があります。
大人にとっては「そんなことが不安なの?」と思うようなことを子どもが怖がって行動できない、なんてこともあるかもしれません。
わが家のASD特性のある娘も、やったことがない初めてのことを心配しては行動にうつせず尻込みしてしまうということがよくあります。
たとえば今度、英語の授業で新しい外国人の先生が来る、とか体育の授業で体力測定があるなど、いつもとはちょっと違う新しいことが苦手。
1人であれこれと想像し、不安を増大させては「学校には行きたくない…」と自分の殻に閉じこもろうとしてしまいます。
大人からすると、新しい外国人の先生が来るだけ、体力測定があるだけ。
ですから、つい「大丈夫よ」とか「心配し過ぎ!」などと言ってしまいがちです。
しかし、子どもの心の中は不安でいっぱい。
ママの言葉もすんなりと受け入れられないのです。
それなのに、なぜこんなちょっとしたことを怖がってしまうのでしょうか?
2.なぜ発達障害の子どもは不安が強く怖がりなの?
発達障害の子どもが新しいことに不安を感じるのはいくつか原因があります。
◆こだわりが強い
特にASDタイプの子どもはこだわりが強いという特性があり、自分のマイルールを重視する傾向があります。
ですから、いつもの環境で、いつもの予定通りにことが運ぶことについては抵抗なく、行動できたりします。
けれども、新しい初めてのこと、慣れないことには居心地の悪さを感じてしまうのです。
この居心地の悪さを「なんだか怖いな」と感じて、やってみることに尻込みしてしまうのです。
◆ネガティブな記憶が残りやすい
人はこれまでの経験や記憶をもとに考えたり、行動したりしています。
ですから、今までに「うまくいった、よくできた」というポジティブな経験をたくさん積んでいるほど、新しいことに挑戦するハードルは下がります。
発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、元々ネガティブな記憶が残りやすい特性があります。
ですから、できたことよりもうまくいかなかった、失敗したことをより強く印象つけて覚えているのです。
そのため、まだ起きていないことや、初めての経験に対しても、またうまくいかないかも、できないかもといった失敗への恐怖心から行動が起こせなくなるのです。
◆先のことを見通す力が弱い
これは記憶力にも大きく関係していますが、発達障害・グレーゾーンの子どもは今までの経験や周りの状況から、これからどうなるか、という見通しを立てることが苦手です。
その結果。これから起こることに前もって気持ちの準備をすることができず、新しいことに直面すると不安や心配ばかりが大きくなり、行動を起せなくなってしまうのです。
さらに、不安な気持ちは考えているうちにどんどん増幅してきますから、自分で苦手部分をクローズアップしさらに不安に陥ってしまうのです。
そんな新しいことを怖がる子どもの気持ちには、否定することなく「そうなのね、不安だよね」と共感する対応をとるのは正解です!
けれども、子どもの不安への対応を気持ちを受け止めて共感するだけで済ませてしまってはいないでしょうか?
3.間違っていた不安な子どもへのわたしの対応
実は、私も以前は娘の話を聞いて「心配だよね~」と共感するだけの対応で済ませていました。
しかし、子どもが感じている不安感はどうなったかというと…どこかへ消えてなくなったりはしていないのです。
むしろ、ママも分かってくれる!間違っていない!と自分の感じた不安を肯定されたかのように受けとってしまうこともあります。
子どもの気持ちを受け止めて共感するだけでは、怖がりな子どもは不安に立ち向かって行動する気持ちにはなれません。
いつまでたっても怖いからやらない、ママ助けて~ではママの気持ちもモヤモヤしてしまいますよね。
4.不安が強い怖がりな子どもが「挑戦してみよう!」と思える作戦
では、どのような対応をしていくと慣れないこと、新しいことにも挑戦しようという気持ちをもつことができるでしょうか?
◆不安の見える化
これから起きることが想像できずに怖がって行動できない…ならば何が不安なのか、どうしたらいいかを子どもに分かるように説明をします。例えば、
「新しい英語の先生は女の人でミシェル先生、○○ちゃんの隣で授業を受ける」
「体育には体育館シューズを持っていく」
「体力測定は上体をそらしたり、ジャンプする高さを計る」
「体育には体育館シューズを持っていく」
「体力測定は上体をそらしたり、ジャンプする高さを計る」
など、説明しながら予定表などに書いて子どもと一緒に確認します。
必要なら、目で見て分かるように写真や動画で説明するとより伝わりやすいですね。
こうして不安を見える化することで、これからどんなことが起こるのか想像しやすくなり、「なんだ、そうなんだ!」と分かることで行動するためのハードルが下がってきます。
◆ポジティブな記憶を印象つける働きかけ
普段ネガティブな記憶が残りやすい子どもは自分が頑張ったことには注目せずに、できていない部分ばかりを気にしています。
ですから、ちょっとした頑張りにも子ども自身でも気付けるように、声をかけてあげて欲しいのです。
「算数のテスト、頑張ったんだね」
「授業で手をあげたの?すごいじゃん!」
「授業で手をあげたの?すごいじゃん!」
など、できたかどうかではなく、小さなことでも頑張ってやった経験を認めることで、子どもも自分の頑張りに気づき、やる気にもつながってきます。
◆ワクワクする挑戦で成功体験を積む
だれでも苦手なことはやりたくない。
けれども興味があることなら、ちょっと怖いけどやってみたい、そんなことはありませんか?
そこでおすすめなのが、子どもの興味のあることで小さなチャレンジを促してみることです。例えば、
・料理好きな子には、作ったことがないメニューにチャレンジしてみる。
・本が好きな子には、欲しい本を買う時には自分で支払いをしてみる。
・本が好きな子には、欲しい本を買う時には自分で支払いをしてみる。
など、興味のある、好きなことをやるタイミングでちょっと頑張ったらできることをやらせてみるのです。
このときのポイントは、無理強いはさせないこと。
ちょっと頑張れはできるという提案をしてあげてくださいね。
ここで、やってみたらできた!という成功体験を積むことができると、それが子どもにとって自信となり次にチャレンジする意欲につながってきます。
いかがだったでしょう? 不安に共感することは、とても大切です。
ただ、それだけでは子どもの不安な気持ちは解決しません。
共感した上で、その不安を分かりやすく見える化し、頑張りを認めることで、子どもが新しいことに挑戦するきっかけとなります。
さらに、小さな成功体験を少しずつ積み重ねることで、不安が強い発達凸凹の子どもが自分で自信をつけることにつながってくるのです。
子どもは成長していくにつれて、親の助けなしにやらなければいけないことがたくさんでてきます。
そのときに、いろいろな経験が子どものやる気を後押ししてくれるよう、まずは、小さな成功体験を積んで自信をつけてあげてくださいね。
不安が強い子どもが自分から行動できる子になるヒントはこちらから
執筆者:井上喜美子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)