子どもが返事しない・話を聞かないことが気になっていませんか?実はADHD・ASDの特性から子どもはワザと無視しているわけではないのです。家庭でできる呼びかけにすぐ反応するようになる会話の3ステップをご紹介します。今日から実践できる声かけや接し方で、少しずつコミュニケーションを改善しましょう。
【目次】
1.発達障害が関係?返事をしない・話を聞いていない息子
2.ADHD・ASDの脳から読み解く無視する原因
3.無視されず、話を聞くようになる会話3ステップ
①耳に届く話しかけ
②楽しくなる会話の始め方
③コミュニケーションって楽しい!と思う言葉かけ
1.発達障害が関係?返事をしない・話を聞いていない息子
子どもが全然返事をしてくれない、反応が薄い、無視される。
こんな話を聞くと子どもが思春期に入ったのかな?思春期あるあるだな、と想像することもありますよね。
ところが、思春期にはまだ早いよな、と思う幼児期や小学校低学年なのに無視されるってどういうこと?とお悩みのお母さん方もいらっしゃると思います。
私も少し前まで息子が返事をしなかったり、反応が薄い様子が気になっているお母さんでした。
名前を呼んでも返事をしない、「これってどう思う?」と聞いても「ん~…」ということが多かったのです。
「何回も呼んでるのに聞こえてないの?」「話を聞いてないでしょ!」とイライラして言ってしまうこともしばしば。

我が家の息子は幼稚園児の頃からこんな様子がよく見られ、無視されるなんて!と悲しい気持ちになったりもしました。
そんな中、息子の集団行動の苦手さが目立つようになり、悩む中で発達科学コミュニケーションに出会いました。
学びを進めて行く中で、子どもが無視すること、反応が薄いことには発達障害・グレーゾーンの脳の発達にばらつきがあることが関係すると分かったのです。
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2.ADHD・ASDの脳から読み解く無視する原因
発達障害・グレーゾーン傾向の子どもが無視する、話を聞かない、反応が薄い様子は、脳の発達に凸凹があることから出てくる特徴の一つと言えます。
思春期特有の親の存在の煩わしさや気恥ずかしさからくる意図的な無視とは異なり、呼びかけがそもそも聞こえていません。
そのために、本人はわざとしているわけではなく結果的に返事をしない、無視した状態に見えてしまっているのです。
なぜ言っていることが聞こえていないかというと、これには聞く力の弱さが関係しています。
聞く力の弱さは、主に以下の3つの発達障害の特性が絡んで表に出ている様子です。
①過集中
②興味の偏り・興味の幅の狭さ
③視覚優位
一つずつ見ていきましょう。

◆①過集中
発達障害・特に注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプによく見られる特性の一つとして、過剰に集中しすぎる状態のこと(過集中)があげられます。
集中して一つのことに取り組めるのは素晴らしい強みと言えますが、集中しすぎて飲食を忘れたり、疲れすぎてしまうこともあります。
大人でも何かに集中しているとき、流れている音楽が聞こえなくなったり、人の声が耳に入らなくなったりしますよね。
過集中のある子どもは、大人が思っている以上に集中しているときは人の声が耳に入らないのです。
◆②興味の偏り・興味の幅の狭さ
次に、興味の偏り・興味の幅が狭いことが声が届かない、反応が薄いことに繋がります。
特に自閉症スペクトラム症(ASD)タイプによく見られる傾向です。
興味がないことに対しては、コミュニケーションの苦手さもあることから会話の必要性が分からずに反応が薄くなったり、話を聞いていないような状態になりがちです。
また興味の幅が狭く深いので、その対象に集中してしまうと時間を忘れるほどに没頭してしまい、先ほど述べた過集中の状態になりやすいです。
◆③視覚優位
さらにADHD・ASDの特性のある子ども全般に多く見られがちな、視覚優位であることも呼びかけても反応が薄い、返事をしないことに繋がる要因です。
視覚優位とは、ものを見ての理解はしやすいけれど、耳からの情報だけでは理解が難しいということです。
耳から聞いただけでは話の内容を理解できないために、結果的に無視しているように見えたり、反応が薄いように見えてしまうのです。
こうして見ていくと、本人は悪気があって返事をしない、無視しているわけではないことが分かりますよね。
けれど周りの人が、無視されたと腹を立てたり、「ちゃんと聞いてよね」と注意していたら、本人としてはコミュニケーションそのものに対してネガティブな印象を持ってしまいます。
そしてさらに反応が悪くなってしまうと思いませんか?
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3.無視されず、話を聞くようになる会話3ステップ
では、どうしたら呼びかけを無視されずに子どもが話を聞くようになるのか、おうちでできる会話の3ステップをお伝えします。
◆①耳に届く話しかけ
まず一番最初のステップとして、声にプラスして視覚も利用して分かりやすく子どもに呼びかけることからスタートします。
つい離れたところから呼んでいませんか?
子どもの背後から声をかけて会話をしようとしていませんか?
先ほどお伝えした通り、ADHD・ASDの特性がある子どもには呼びかけが耳に届いていないことが多いのです。
子どもの顔の前に来て「ねえねえ、〇〇ちゃん」と名前を呼びながら優しく肩を叩き、触覚的な刺激も与えて注意をこちらに向けやすくします。
そこで目が合ったら、ニコッと笑顔で反応します。

◆②楽しくなる会話の始め方
呼んで反応があれば、次はお母さんの会話の始め方です。
食事や勉強の時間、特に小学校に入ると宿題があるので早めに終わらせたいと思い、「〇〇やろうね〜」とすぐに指示を出したくなりますよね。
これだとせっかく意識がお母さんに向いたのに、子どもにとっては興味のないこと、むしろやりたくないことで結局反応が薄くなったり、スルーされたりしてしまいます。
「クイズです!今夜のメニューは何でしょうか?」
「この動画初めて見た!どんなキャラクターが出てるの?」
など、子どもが答えやすいことから聞いてみたり、興味のあることに説明してもらうなどで会話をスタートしましょう。
それから「あと少しでご飯の時間だからこれ終わらせちゃおうか!」と言うと、後の行動もスムーズになりやすいです。
◆③コミュニケーションって楽しい!と思う言葉かけ
子どもが反応して行動してくれたら、よかった~とそのままにしておくのはもったいないですよ!
最後のステップとして、会話のやり取りがあると楽しいんだ!という記憶を子どもにどんどん貯めていきましょう。
「すぐに行動できてかっこいい!これでゆっくりテレビが見れるね。」
「こんな情報はお母さん知らなかった!教えてくれてありがとうね。」
「すぐに返事してくれてお母さん嬉しかった!」
など、反応してくれたことが嬉しいということを言葉で伝えます。
いちいち近くに行って話しかけるのは面倒だな、やってほしいことの前に関係のない話をするのは時間がもったいないな、と思われる方もいると思います。
一見遠回りに見える対応ですが、早い段階でお母さんの声がしっかりと子どもに届く状態にして、会話・行動(アウトプット)することが大切です。
なぜなら脳はアウトプットしたときにグングン成長していくからです。
呼びかけに反応して会話が生まれ行動に繋げることができたら、子どももコミュニケーションって楽しい!とポジティブなことと捉えるようになります。
呼びかけに対して返事をするようになり、反応がさらに良くなっていきます。
現在、我が家の息子は小学3年生ですが、以前のような無視する、反応が薄い様子はかなり減り、呼べば「何?」と目線を合わせて返事をしてくれるようになりました。
話しかけ方、会話の終わり方など日常の些細なことではありますが、小さなことでも楽しい!嬉しい!の積み重ねが、子どもの将来を変えると今は確信しています!
同じように悩んでいるお母さんの参考になれば嬉しいです。
ADHD・ASDで返事をしない子の反応がよくなる秘策を他にもお伝えしています!
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返事しない・話を聞かない子どもへの対応のよくある質問(FAQ)
Q1:子どもが返事をしない・話を聞かない原因は何ですか?
A1:ADHD・ASDなどの発達特性による「注意の切り替えにくさ」や「感覚処理の負担」が原因のことがあります。 聞こえているのに返事をしないのではなく、脳の処理のスピードや興味の集中によって“反応が返りにくい“場合があります。
Q2:子どもが返事をする・話を聞くようになるにはどうしたらいい?
A2:子どもに伝わりやすい環境を整え、短く・具体的に伝える工夫が必要です。 まずは視線や体の向きを合わせ、子どもが「聞く準備が整った状態」で声かけをすると反応が安定しやすくなります。
Q3:家庭でできる“返事する・話を聞く力”を育てる声かけは?
A3:名前を呼んで1秒待つ、選択肢で伝える、できた瞬間をすかさず肯定するなどがあります。 毎日の声かけを少し変えるだけで、呼びかけへの反応がよくなる子も多いです。小さな成功体験を積み重ねていきましょう。
執筆者:菅美結
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)



