発達障害・グレーゾーンの子の小学校入学の不安を解消!入学前にすべきこと

 

夏休みが終わると、年長の子どもたちは就学準備が本格的に始まります。入学前の限られた時間で一体何をすればいいのか、先輩ママにインタビューしました。発達障害・グレーゾーンの子どもの小学校入学が不安でたまらないお母さん。入学準備はこれで完璧です! 

 

【目次】

 

1.心配してもキリがない!発達障害グレーゾーンの子どもの課題を絞るべし

 
 
夏休みが終わると小学校入学まで残すところ約半年となり、就学時検診や学校説明会など小学校入学に向けてさまざまな準備が始まります。
 
 
特にお子さんの発達が不安なお母さんは心配が尽きないことと思います。
 
 
ランドセルや学習机などはすでに購入されている方もいらしゃるかと思いますが、まだまだこれから本格的に準備をされるという方が多いと思います。
 
 
小学校で子どもが使うものは学校指定のものを用意することもあるので、学校説明会のあとに準備したほうがいいですよ。
 
 
準備といってもこういった物を用意するだけでなく、ひらがなや数の概念などの学習面やひとりですることが増える生活面といったことにお子さんが対応できるだろうか?と心配ですよね。
 
 
「小学校入学前準備はこれで大丈夫?」
「もっと他にできることはないのかな…」
「本当にうちの子、大丈夫?」
 
 
と心配だらけの年長さんのお母さん。
 
 
そのご心配はごもっともです!
 
 
小学校に入学したら、45分着席して、興味があろうとなかろうとお話を聞かなければいけません。お友達と仲良くして、集団のペースに合わせて生活することが求められます。
 
 
考えるだけで発達障害・グレーゾーンのお子さんには厳しそう…という状況が待ち構えています。発達について学んでいるお母さんだからこそ、不安になって当たり前なんです!
 
 
そこで、実際に小学校に入学してどうだったのか、どんな準備が必要なのか、現在1年生のお子さんを持つお母さんにインタビューを行いました。
 
 
発達障害・自閉症スペクトラムの診断があり、普通級で頑張る息子さんを持つ、発達科学コミュニケーションリサーチャー・Mさんのご経験をぜひ参考にしてくださいね。
 
 

―――Mさんのお子さんは発達障害の診断があるんですよね。この1年、小学校生活はいかがでしたか?

 
 
「息子は幼稚園に入学してすぐ自閉症スペクトラムと診断を受けました。
 
もともとルールに厳格なタイプなので、時間割が決まっている小学校生活は比較的過ごしやすいんじゃないかと思っていました。
 
実際に、集団行動には問題なくついていけていて、係のお仕事も積極的にこなしているようです。
 
学習面についても、先生からは『がんばりましょうをつけるレベルではなく、ちゃんとわかっています』と言っていただけています。たしかに小テストなどは問題なく解けているようですが、問題文をちゃんと読まずに感覚的に解いている部分も見られました。
 
一番の課題は友達との付き合い方です。
 
相手の事情おかまいなしにグイグイ行くタイプなのでだれとでもすぐに仲良くなれますが、距離感が近い分トラブルに発展しがちです。
 
この1年、息子が手を出してしまうことも、出されてしまうこともありました。こういったトラブルは学校から電話がかかってきて、相手の子のお名前も知らされて、お詫びして…と、とにかく私がストレスフルですね。」
 
 

――息子さんの課題がいくつか出ましたが、入学以前に小学校生活で心配されていたことはありますか?

 
 
「息子は同級生が3人しかいない超小規模の縦割り保育の幼稚園から、マンモス校の小学校に進学しました。環境の違いももちろんですが、息子の発達特性という面では、3つの心配ごとがありました。
 
1つ目は多動気味に加えて体幹が弱いので、45分間座っていられるかということ。
 
2つ目はお友達関係。
 
3つ目は人の話を最後まで聞いたり、静かにする場面と話していい場面を区別したりといった、場の空気を読むことが難しいかもしれない、ということでした。
 
多動に加えてしゃべりっぱなし、誰にでもグイグイ行く、というのが息子の特徴。幼稚園時代は『元気のいい子ね』で終わっていたのですが、さすがに小学生になったら厳しい目で見られることもあるかもしれない!と怖かったですね。」
 
 
 
 
◆ポイント解説
 
 
小学校への入学は子どもにとっても親にとっても不安なものです。心配し始めたらキリがありません。
 
 
「何もかも心配!」という気持ちはありますが、だからこそMさんのように本当に心配なことを絞っておくことが大切だと思っています。
 
 
入学まで半年以上あります。今の段階で心配なことを絞っておけば、入学するまでに重点的に支援して発達させることもできます。
 
 
入学前になって課題が残っていたとしても、課題が絞れていること先生方に相談しやすいですし、お母さんが支援してきたことを評価してくださるはずです。
 
 
また、「何もかも心配!」と課題が漠然としているよりも、入学してからの様子を見てうまくいっているかどうか、判断しやすくなります。
 
 
Mさんのように、多くても3つぐらいに絞るのがオススメです。これから約半年の間で重点的にサポートすることができるからです。
 
 
また、先生もお忙しいので、アレもコレも…とお願いされると対応が難しくなってしまいます。実際に学校で対応してくださる先生が、「これぐらいなら対応できるな」と思う量でないと、支援自体が難しくなってしまうんですよ!
 
 
 
 
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2.年中の6月からスタート!先輩ママが実践した小学校入学準備、大公開

 
 

――Mさんは具体的にどのような入学準備をされてきましたか?

 
 
「一番最初に意識したのが年中の5月でした。
 
実は私たちは海外に住んでいるのですが、それまでは漠然と日本に帰国して小学校に入学することを考えていました。『でも、本当にそれでいいのか?』と思い始めたのが年中の5月です。
 
年長の4月に日本に帰国して、1年だけ幼稚園に通わせてすぐに就学というのを計画していましたが、『結構あわただしいんじゃない?』と疑問に感じ始めたんです。
 
そこからすぐに日本人学校の見学を予約して、年中の6月に主人と見学に行きました。教頭先生が対応してくださって、息子の発達検査の結果をお見せしたり、当時の息子の課題をお話ししたりしました。
 
結果として、視覚支援のための設備が完備されていること、さまざまなバックグラウンドの生徒がいて個性が尊重されていたり、ルールが文字ではっきりと提示されていたりすること、などから、日本に帰国せずこのまま海外の日本人学校への進学を決めました。
 
それからは夏祭りや運動会など、学校が開放されるイベントに息子を連れて行きました。大体半年に1度ぐらいのペースだったと思います。
 
オープンスクールは何度もありましたが、あえてイベントだけ行くことに決めたのは、とにかく息子に『学校って楽しいんだ!』と思ってほしかったからです。
 
夏祭りでは出店がたくさん出ていたのですが、息子が『ほしい!』『食べたい!』といったものはすべて買ってあげましたね(笑)
 
こうして私の狙い通り、息子自身にも『小学校って楽しい!』『1年生になりたい!』という思いが湧いてきたようです。
 
もう『学校の日常』を見せても大丈夫!と確信して、入学直前の1月、正式に息子を連れて見学に行かせていただきました。
 
校舎を一通り見学させていただいて、授業の風景を見せていただいたり、先生に対応をお願いしなければいけないことをまとめてお渡ししたりしました。
 
この辺りは、日本の小学校のスケジュールとは異なるかもしれませんが、先に『学校って楽しい!』と思わせることが大切なのは同じですよね。」
 
 
 
 

――息子さんを連れての学校見学はどうでしたか?

 
 
「先生が丁寧に案内してくださり、とても安心しました。元々初めての場所は大丈夫なタイプですが、実際に授業をしている様子をのぞかせていただいて本人もイメージがついたようです。
 
『学校でお勉強する』といっても子どもには今一つ伝わらないので、見学に行かせてもらって実際に見せて理解を促す、というのはとても大切だと思います。
 
担当してくださった先生は、人懐っこかったり、いろいろなものに興味を持っておしゃべりしたりする息子にとても驚いていらっしゃるようでした。
 
このあたりは『自閉症スペクトラム』という診断名が作る先入観なのかな、と思いました。
 
あと、先生が息子の前で『発達障害と診断されてるんですね』とおっしゃったときは、焦りました。息子への告知はまだまだ先だと思っていたので。息子自身は覚えてなさそうだったので安心しましたが…
 
ともかく、息子が『○○先生とお勉強したい!』と小学校入学に対してやる気になったので、見学して先生とお話しするメリットは大きいと感じました。」
 
 
 
 
◆ポイント解説
 
 
時間をかけて「学校は楽しいところ!」と印象付けたのがMさんの入学準備のポイントでしたね。
 
 
ここ数年はコロナの影響で行事やオープンスクールの予定が決まらなかったり、中止されてしまったりした学校も多かったと思います。
 
 
実際に我が家の小学校も、行事がいくつか中止になり、オープンスクールは家族のみという形で開催されました。外部の方が行事についでに見学する…というのが難しい1年でした。
 
 
コロナの影響は今後もしばらく続きます。楽しいところ!とインプットできる機会は逃さないように、積極的に情報収集することが必要です。
 
 
また、小学校にはいろいろな先生がいて、発達に関する知識も理解も異なります。
 
 
どんな先生に出会っても、「こういう先生がいるんだな」という情報収集!Mさんは、入学後は「まだ告知していませんので本人には言わないでください」としっかり伝えたそうです
 
 
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3.入学前の学校見学と意識付けは必須

 
 
小学校入学まで約半年。実際問題、年中さんから入学準備を進めていらっしゃる方はそう多くないですよね。
 
 
何も準備してないから心配になってきた…という方、これからの1ヶ月でやれることはたくさんあります。
 
 
私から、必ずやってほしい2つのことをご提案します。
 
 

◆①お子さんを連れて学校見学

 
 
ポジティブな点もネガティブな点も把握するためには、実際に見学して先生とお話してみるのが一番です。
 
 
まだ、子どもにとっても実際に見てみるのが一番理解できるはず。今は夏休み前ということで先生もお忙しいタイミングかもしれませんが、日程をお任せすれば、見学は可能だと思います。
 
 
4月入学予定の子どもが見学したい!と連絡してきて、無下に扱われることはありませんので、安心して連絡してみてくださいね!
 
 
学校見学は30分~1時間程度になるかと思いますが、この短い時間の中で、お子さんの「楽しそう!」をたくさん見つけてあげてください。
 
 
例えば、楽しそうな遊具がある!池がある!お庭がある!など、授業と全然関係ないことでもOKです!
 
 
発達科学コミュニケーショントレーナー・リサーチャーのなかには、入学式の前日に見学できたという人もたくさんいます。入学式の日までチャンスはあります。
 
 
見学に行くときのポイント!子どもの前で困りごとや心配なこと、診断名なんか話したくないですよね。できれば子どもを連れて行く見学と、親だけで先生と話す見学、分けて伺いたいものです。
 
 
もしも複数回見学するのは難しいという場合は、お子さんを連れていくことを優先しましょう。先生にはお手紙を渡すのがポイントです!
 
 
お子さんの得意なこと、困りごと、心配なこと。おうちで対応していることなどをA4一枚にまとめてお渡ししましょう。
 
 
このA4一枚というのがポイントです。先生方もお忙しいので、あまりたくさんのことを書いても読んでもらえません。必ず端的に短くスッキリまとめましょう。
 
 
親としてはいろいろ心配なことは多いのですが、まずはA4一枚におさまるように、「事前に先生に知っておいてほしいこと」「一番不安なこと」に絞ってみましょう!
 
 
パステル総研でも、オリジナルのサポートレターを無料配布していますので、ぜひご活用くださいね。
 
 
 
 
お手紙をお渡しする場合、お手紙がその後どうなるかを確認しておきましょう。
 
 
見学に対応してくださる先生が担任になるケースは稀です。しっかり活用されるように、「できれば入学式までに担任の先生にお渡しいただけるとありがたいのですが、可能ですか?」とお願いしてみてください。
 
 

◆②入学前の意識付け

 
 
子どもはとにかく「小学校って楽しそう!小学生になれるってかっこいい!」と思わせる意識付けが大切です。気を抜かず、入学式の日までインプットし続けましょう!
 
 
 
 
教育評論家・親野智可等先生も、小学校入学準備に必要なことを語っていらっしゃいます。
 
 
 
入学前にぜひやってほしいポジティブなインプットの方法があります。
 
 
 
不安は尽きませんが、親が不安だと子どもに伝わるもの。今こそドーンと構えておきたいですね。お母さんも「小学校、楽しみだね!」という気持ちを持ってください。
 
 
今回インタビューにご協力いただいたMさんの息子さんですが、今のところ大きなトラブルはなく、毎日楽しく登校しているそうです!
 
 
それでも、やはり不安!という方のために、発達障害・グレーゾーンのお母さんが持っておいてほしい、「学校に対する考え方」についてお伝えしていきます。
 

 

どうしても不安!という方は、「そもそもどうして学校に行くのか?」ということと改めて向き合ってみてくださいね。
 
 
 
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
 
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